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830 突然ルーサイア港に行くことになった

 

「小烏丸!」


 ガシッ


 両手を広げて突撃してきたカーラを気合で受け止める。


「久しぶりだな!元気にしてたか?」

「元気は元気だけど、やる事が多すぎて毎日が大変でさ~」

「地域どころか国一つ統治するんだ、大名の気持ちが分かったろ?」

「隊長もこんなに苦労してたんだね。ホント地獄だよ!ステファンとロンドが頑張ってくれてるから少し落ち着いてきたけど、もう全然人材不足なんだよね~」


 拘りなのか、なぜかカーラは玉座の間で仕事をしてたっぽいんだが、彼女の豪華な机の向こうにも机が二つあって、おそらくその二人の側近が使用しているのだろう。今はどこかに出掛けているようだが。


「ステファンとロンドか・・・。いつの間にか育ってたんだな。その二人って確か足軽大将だったか?」

「うん。ホントは侍大将にしたかったんだけど、さすがにボヤッキーらと同格は無いかなーと思って自重した」

「いくらお気に入りでも実力以上の出世は恥ずかしい思いをするぞ?本人のためにもならんから、地道に成り上がった方がいい」

「それってあたいらのことじゃん!いきなり侍大将になったから、知らないことだらけで毎日恥かいてるし!」


 どうやらゴマちゃんは、身分不相応で大変恥ずかしい思いをしているようだ。


「ゴマちゃんや旅のメンバーは武力を評価しての出世だからな。陸奥や美濃で大活躍したろ?」

「陸奥ではすごく頑張ったけど、それってミスフィート軍に関係なくね?」

「まあな。でも強いものは強いんだ。他の武将達も全員脳筋だったけど今じゃバリバリ内政してるし、ゴマちゃんもやってればいつか慣れるから安心しろ」

「アハハハハハ!確かにみんな脳筋だったよねーーーーー!」

「へーーー!あんなに仕事できるのに脳筋だったのか。じゃあ何とかなるか~」


 カーラとゴマちゃんってあまり接点が無かったんだけど、どちらも特攻隊長タイプだから気が合うかもしれんな。


「話は変わるが、俺が来たってことはもう好きな時に転移して来られるようになったってわけだ!流星城やルーサイアに行きたくなったら、いつでも通信機で呼び出してくれ。忙しいんで頻繁に呼び出されるのは勘弁だが」

「おーーーーー!最高じゃん!ちょっとルーサイア港まで魚買いに行こうかな?」

「いきなり魚を欲しがるとはしぶいな。あ、そうか!摂津って海はあるけど船が無いのか・・・」

「そうなんだよ!堺の街まで行けば買えなくはないけど、ここからだと遠いし鮮度もイマイチだから、とてもじゃないけど刺身で食いたいと思わないんだよね」

「実は堺の街を歩いたことがないんで、現場の状況がまったく分からん。とにかく鮮度が悪い魚は刺身にしちゃイカンぞ!んじゃちょっくら尾張まで行くか?」

「ステファンかロンドが戻ってからね。たぶんすぐだから」

「わかった」



 カーラから摂津の状況を聞きながら三人で談笑していると、玉座の間の入り口の扉を開けてスラッとした茶髪の美男子が入って来た。彼がステファンだ。



「・・・ってことだから、ちょっとルーサイア港で魚買ってくる!今日の夕食は期待していいよ!」

「刺身ですか!?メチャメチャ期待して待ってます!」

「んじゃ行くか~。刺身を作るなら17時には戻った方がいいな」

「いや、仕事がカツカツだから、買い物だけしてすぐ戻って来るよ」

「そうか。じゃあ流星城でまったりするのは次回だな」

「うん。余裕できたら連絡するから」



 カーラとゴマちゃんと手を繋ぎ、ルーサイア港に転移した。


 相変わらず港は釣り人で大盛況だ。中型船が一隻戻ったばかりらしく、魚がギッシリ詰まった3台のトロッコが市場へと入って行く。



「カーラ、すごく良いタイミングで来たみたいだぞ!権力を振りかざして大人買いするといい」

「アハハハハハ!でもアレって伊勢とか京の都に輸送されていくヤツじゃない?横取りしちゃっていいの?」

「船をもう一周させればいいだけのことよ。船長には俺が言っといてやるから、カーラは市場を攻めていいぞ」

「ぷくくく!船長ガンバ!じゃあ行ってくる!」


 カーラが魚市場に突撃していった。

 間違いなく今のトロッコはつるっパゲにされることだろう。


「いいのかよ?そんな無茶苦茶やって」

「この港って元々俺が仕切ってたんだ。今はランスロットって名のエルフが一番偉い立場なんだが、そのランスロットに漁業を叩き込んだのは俺だ。先輩が突然やって来てメチャクチャやりだしても、後輩は我慢するしかないのだ」

「ひでえ先輩がいたもんだな!」


 そんな会話をしながら船に近付いていく。


「おそらく船長はランスロットの弟子達の誰かだとは思うが、摂津や和泉にも港を作る必要がありそうだから、また船長を何人か頂戴するか」

「先輩最悪じゃねえか!船長泥棒じゃん!」


 すごく知った顔が船から降りて来た。


「船長ってランスロットだったんかい!」


 不意に名前を呼ばれたランスロットがこっちを見た。


「ぶッ!小烏丸さんじゃないですか!!」


 タタタタッ


「突然どうしたんです!?ユリさんから京の都にいるって聞きましたけど」

「お?ユリと話したのか」

「彼女はミケネコ城主なんですから、定期的に仕事の話をする間柄ですよ」

「そういやそうだった。ああ、えーとだな、カーラが魚をご所望でな。今トロッコで市場に運んだ魚は全部頂戴した。もう一周行ってくれ」

「・・・・・・はい!?」

「金はちゃんと支払うから大丈夫だ。ちょっと魚が全部消え去っただけだ」

「ちょっと全部って何だよ!?」

「えーと、まあそれはいいんですが、港って完成したんですか?」

「港?」


 一体何の話だ?


「各地に港を造っていく予定だって言ってたじゃないですか!『船長候補を何人か選んでおいてくれないか?』って」


「「・・・・・・・・・・・・・・・・・」」


「ゴマちゃん大変だ!前来た時に船長の注文してたのすっかり忘れてた!」

「そんな大事なこと忘れちゃダメじゃん!」

「ちょ、忘れてたんですか!?」

「いや~、忙しくて港を造ってる余裕が無かったんだ。でも安心してくれ!本格的に港が必要になったから、近い内に摂津の国と和泉の国に港を造る」

「船はあるんですか?」

「無い!・・・と思ったけど、この前ドワーフに注文したのを思い出した」

「こがっち忘れすぎだろ!もうボケ始めてるんじゃねえだろうな?」

「ま、まだ俺は大丈夫なハズだ!忙しすぎるのが悪いんだ」



 実は論功行賞でドワーフの送迎をしてた時に船の注文をしたのだ。

 20隻くらい頼むぜガハハハハーって感じで。


 ただ船が完成しても、俺がエンジンを作らなきゃならんのだよな。

 あれくらいチョチョイノチョイと作れるけど。


 そろそろ一隻くらい出来上がってるかもしれん。近いうちに受け取りに行こう。



「小烏丸!アレ全部買い占めてきた!今日は刺身食い放題だーーーーー!」


 お、カーラの用事が終わったようだ。


「ランスロットじゃない!・・・あ。大丈夫!ちょっと全部買い占めちゃったけど、割り増しでお金払ってきたから!」

「カーラもちょっと全部って言ってる!似た者夫婦か!!」

「小烏丸も言ってたの?ウケる!」

「じゃあランスロット、港が完成したら船長を貰いに来るんで、船長候補に告知して心構えさせといてくれ。中型船を20隻くらい造る予定だから」

「了解です!でも20人も船長いませんからね!」

「船の完成までまだまだ掛かるから大丈夫だ。でも予想外に早く完成するかもしれんから、そのつもりで鍛えといてくれ!」

「ホントいつも無茶言うなあ・・・。やりますけど!」

「先輩は理不尽な生き物らしいぜ?」



 ってことで、カーラの買い物と船長の予約はバッチリだ!

 港を造る前に、まずは船を受け取りに行くとしよう。


 うん。やっぱ俺はボケてない。忙しすぎるのが悪いんだ!

 

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一隻アイテムボックスの中にあるけどね。けどモノが違いすぎて使えんか? てか湖は海ほど高い波立たないだろうし。 あ、琵琶湖で思いだした。バードマンコンテストやんないの? 近江平定したら新たな催し…
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