829 新しい遊びが流行しそう
「ほれ、返すぞ」
流星城に帰還し、強化されたリンコを持ち上げルーシーに手渡した。
「何でわざわざ手渡されたんスか!?」
「いや、何となく。どうよ?強くなっただろ?」
「強くなってるかどうかなんて、持っても分からないっスから!」
「なにすんのさ!?いきなり持ち上げられたんだけど!!」
リンコがワーワー騒いでいるが、おもしろキャラなので、どうもいたずらがしたくなるのだ。同じ様に和泉もおもしろキャラだから、つい高い高いとかしたくなる。
「リンコの仕事って一日ごとにチェンジするのかと思ってたんだが、今日もルーシーの助手をやるんだな」
「毎日コロコロ変わってたら仕事が覚えられないじゃないっスか。一週間経ったらセレスティーナに手渡して、その一週間後にイズミに手渡される予定っスね」
「やっぱりお前も手渡すんじゃないか!」
「なんか面白かったから、ウチもセレスティーナに手渡すことにしたっス!」
「わたしは道具じゃないよ!!」
どうやら助手は次の人に手渡されるという新ルールができたようだ。
「ところでゴマちゃん見なかったか?」
「ああ、向こうにいたっスよ。ちょっと持ってくるっス!」
すたたたたたた
『発見!』
『うぇええ!?ちょ、おわああああああ!はーなーせー!』
たたたたっ
「あっちに落ちてたっス!」
「お、おう。わざわざ持って来てくれて感謝するぞ」
ゴマちゃんを手渡された。
「何なんだよもう!!」
この流れ・・・、人間を手渡すのが流行るかもしれん!
なんかすごくおもしれーもん!ルーシーもめっちゃニヤけてるし。
「よーし!ゴマちゃん、準備は出来てるな?」
「ああ、バッチリだぜ!」
「ん?二人でお出掛けっスか?」
「まだ数名しか知らないことなんだが実はな、共同出資したガチャで面白い乗り物をゲットしたんだ」
「共同出資?それって魔石のことっスか?」
「正解だ。共同出資なわけだから参加メンバーは全員その乗り物の所有者ってことになる。ってことで今からちょっとゴマちゃんと一緒に摂津まで行ってくる!」
丹波に行く時はシャイナを連れてく予定だ。
「いや、その乗り物って何なんスか!」
「すごく面白い乗り物だ!でも操作をミスったら死ぬから危険なんだよ。とりあえず参加メンバー全員が試乗したらルーシーも乗せてやろう」
「やったーーーーー!って死ぬような乗り物はイヤなんスけど!!」
「その時は俺も一緒に死ぬから大丈夫だ。あ、リンコ。あの乗り物のことは秘密にしてくれ!言ったらクビだから」
「いきなりクビって酷くない!?えーと、乗り物ってアレのことだよね?」
「うむ。噂が広まったらしゃべってもいいから、それまで我慢してくれればいい」
「わかった」
「リンコだけ知ってるとか生意気っスね!でもまあ聞かないでおいてやるっス」
というわけで、ゴマちゃんと手を繋いで堺ダンジョン前に転移した。
「む!?ダンジョン前って言ってたのに街の中じゃん!」
「京の都ダンジョンと似たようなもんだ。堺ダンジョンも街の中にある」
「へーーーーー!」
アイテムボックスから試作2号機を取り出した。
「赤い流星殿じゃないですか!いや~この前はビックリしました!まさか空にぶっ飛んで行くとは・・・」
おおう、あの時話した兵士か。
彼が見てるとなると、今日も格好良く去らねばならんようだ。
「ハハッ!面白かっただろう?今日はカーラの城まで行こうと思ってな」
「ほほう、カーラ殿の城ですか。ということは摂津の国ですね?」
「うむ。方角はたぶんあっちだな・・・」
一旦アイテムボックスにバイクを収納し、少し場所を変えて障害物の有無を確かめてから、方角を合わせてもう一度取り出した。
「よし、こんなもんだろ。ゴマちゃん、後ろに跨ってシートベルトを着けてくれ」
「メッチャ怖いんだけど!大丈夫なんだろな?」
「大丈夫だ、もん、えーと、もう操作には慣れたから安心してくれ」
あぶねー。『大丈夫だ、問題無い』って完全に死亡フラグじゃねえか!
俺一人の時ならまだしも、仲間を巻き添えにはできん!
カチャッ
シートベルトがしっかり着用出来ているか確認し、スターターをポチる。
ヴォン!
フィーーン フィーーン フィーーン
「じゃあ出発するぞ!舌を噛まないようにようにな」
「うひょーーーーー!こえーーーーー!」
兵士の方を振り返ると目をキラキラさせていたので、サムズアップで応えた。
右足で正方形をぶっ叩く。
ドシューーーーーーーーーー!
そしてゴマちゃん乗せたバイクは、ナナメ前方に向かってぶっ飛んて行った。
「メッチャ怖かったーーーーーーーーーー!でもスゲーーーーーーーーーー!本当に空を飛んでるんだけど!!」
「感動モノだろ?でも発進する時、建物に激突したら100%死ぬから、ゴマちゃんに運転させるのはちょっと無理かな。着陸に失敗してもたぶん死ぬ」
「こがっちの後ろでいい!操縦したい気持ちが無いわけじゃないけど、遊んでて死にたくねーし!」
「そうか、自重してくれるなら俺も助かる」
そんな感じでゴマちゃんと会話しながら摂津の国を上空から眺めているのだが、堺以外の街の規模も大きく、やはり人口が多い国のようだ。
そういやこの世界の東京ってどんな感じなんだろな。東京っつーか江戸?
徳川家康が天下獲って江戸の人口が爆増してくんだけど、確か1600年くらいの江戸の人口は15万人くらいで、京が40万、摂津が20万って感じだった気がする。
時代はともかく、この世界とは土地の面積も世界観もまるで違うから、総人口からして不明で、俺が知ってる常識とは何もかも違うんだろうけど。
まあ何にしても江戸は一度行ってみたいな。
とはいえ揉め事を起こしたいわけじゃないから、行く時はシャアリバーンに変身して、街に溶け込みながらこっそり様子を窺おう。
いや、メタルヒーロー勢揃いで行くべきか・・・。(←街に溶け込む気ゼロ)
「こがっち!アレって城じゃね?」
「・・・ん?」
メタルヒーロー達が江戸の街を練り歩いている妄想から我に返ると、街の向こうに美しい城が建っているのが見えた。
なぜか分からんが、謎の妄想をしながらもカーラの城に吸い寄せられるように、試作2号機を走らせていたらしい。
俺、地味に凄くね?
ミスフィートさんのように、カーラの居場所まで分かるようになっていたのか。
でもリンコの時みたいに、村娘に道案内してもらうイベントが発生しなかったので、今日は面接官の仕事はナシだな。
どっちみちゴマちゃんと一緒だから、村娘を後ろに乗せて親睦を深めるなんてことは無理なんだけどさ。
さてさて、カーラは元気にしてるかな?
試作2号機のことがバレたら乗せろ乗せろうるさいと思うから、とりあえず旅のメンバー全員を乗せるまでは内緒にしておこう。
そんなことを考えながら、城門前にバイクを着陸させた。




