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赤い流星 ―――ガチャを回したら最強の服が出た。でも永久にコスプレ生活って、地獄か!!  作者: ほむらさん


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805/900

805 パトランに懐かれた

 近江勢に差し入れした効果は絶大で、最強の糖度を誇るスイカとメロンの驚異的な美味さにやられて、朝から大盛り上がりだ。


 とくに近江育ちのレナとパトランがやばかった。


 こんなに甘いフルーツを食べたのは生まれて初めての経験らしく、目がキラキラ輝いて子供のような無邪気な笑顔で本当に幸せそうだ。


 品種改良?ナニソレ?って感じの武力至上主義な世界だから、野生の果物どころか畑で収穫された物を食してみたところで糖度もたかが知れてるのだ。


 しかし京の都ダンジョンの大自然フロアで収穫できる果物なんかは、品種改良を重ねたような最高級レベルの物が用意されている。もう本当に格が違うのですよ。


 懐かしい味とかだったら思い出して涙を流したりするんだろうけど、そういうのじゃなくて、ただただ大興奮している感じだな。


 当然スイカとメロンが1個ずつ程度じゃ足りなくて、桃やイチゴや梨なんかにも手を伸ばし、少し出発が遅れることとなったが、眠気は完全に吹き飛んだようだ。


 野菜はともかく、フルーツはすぐ無くなりそうな勢いだな。


 ・・・しゃーない。近い内に追加の差し入れしてやるか~。


 京の都ダンジョンで毎日凄まじい量が収穫されてるから、この程度の差し入れではビクともしないのだ。



「美味かった。礼を言うぞ」

「おう。近い内にまた差し入れしてやろう」


 真っ先にゼーレネイマスに感謝された。

 我慢強い子なんで普段口には出さないけど、甘味に飢えていたのかもしれん。


「マジで美味かったっス!こんなのどこで手に入れたんスか?」

「京の、おっと!お前達が潜ってたあのダンジョンだぞ」


「「なんだって!?」」


 正体がバレるわけにいかんから、この国で迂闊な事は言えんのだ。


「いやいやいやいや、あそこって魔物しか出ないじゃないですか!」

「木なんか一本も生えてないし、果物なんてどこにも無かったよな!?」

「実はな、上の階層に引き返すことで大自然フロアに行くことが出来るんだ。俺は31階層までしか進んでないからそこまでしか分からんけど」

「大自然フロア!?普通のダンジョンじゃない場所があったのか!」

「マジかよ!戻れば別の場所に行けるなんて、完全に盲点だったな~」


 ケンちゃんとセイヤだけなら途中でヘタレて気付いた可能性があったけど、ゼーレネイマスが進む以外の選択をしないだろう。全部ヤツのせいだな。


「美味しかったーーーーー!幸せーーーーーーーーーー!」

「こんな美味しい果物が存在するなんて夢にも思わなかったよ!」

「ぶっちゃけ近江で手に入れるのはほぼ不可能かな?そこにいる赤いのに頼めばまた差し入れしてくれるから、おねだりしとくといいよ」


 レナとパトランがこっちを見た。


「美味しい果物、ありがとうございました!」

「絶対只者じゃないと思ってたよ!鉄の身体だし。実は果物屋だったんだね!」

「鉄の身体の果物屋って、無駄に防御力高えな!ってか俺は果物屋じゃねえ!」


 なんだかパトランにとんでもない勘違いをされているな。

 でも鉄のボディーなのは事実だから、向こうも困惑しているのかもしれん。


「なかなか面白かったな!」

「んじゃ俺らはダンジョンに戻る。後は任せた」

「労役頑張って下さい!」



 清光さんと虎徹さんはアリアダンジョンに転移した。



「そうそれ!!」


 パトランがこっちを指差している。


「何で突然出たり消えたりするのさ?意味が分からない!」

「あ~、ピカピカ四人衆はちょっと頭がおかしいのよ」

「頭おかしい言うなし」

「四人衆?三人しか見てないんだけど?」

「もう一人いるの。銀色のピカピカがね」

「それっていつ出て来るのさ?」

「さあ?今は仕事が忙しいみたいだよ」

「仕事・・・、何の仕事をしてるのかまったく想像できない・・・」



 道路公団でござる。


 おそらく鉄のボディーを想像してるのだろうけど、これは世を忍ぶ仮の姿だ。

 普段はその辺によくいる大バカ殿様だから、普通に仕事ができるのだよ。



「しゃーない。少しだけ仕事風景を見せてやるか」

「おお!?」



 空中にチビ結界を二つずつ並べていっぱい浮かせた。

 そしてパトランの手を握り、チビ結界の上に転移。


「うわっ!何これ!?え?え?」


 そしていっぱい浮かべたチビ結界に転移しまくって、元いた場所に戻った。


「こんな仕事だ」


 当然ながら彼女は頭から『?』をいっぱい出して混乱している。


「いや、もっと分からなくなったんだけど!!」

「何意味不明なことやってんのよ!パトラン騙されないでね!こんな仕事あるわけないじゃない!」

「あの四角いやつ、私も意味が分かりません!!」

「俺も分からない。メチャクチャ硬いってのは知ってるけど」

「青いピカピカもアレいっぱい出してるの見たぞ!」


 メタルヒーローは謎がいっぱいなのだ。

 スピルバーンは一瞬で家を建てるし、ギャラバーンは人魂使いだからな。


「いつまで遊んでいる。そろそろ行くぞ!」



 ボスの鶴の一声で、ようやく一行は旅を再開した。



 一日いなかったので、どの辺まで進んだのかさっぱり分からんが、どちらにせよ左に琵琶湖って状況でずっと道を真っすぐ進むだけだ。


 まあ次の街まですぐ到着するような旅路じゃないので、あと何日かかるかなんて考えたら負けだ。歩くのが大変だと考えず、このまったりした旅を楽しむくらいで丁度いいだろう。


 レザルド軍の兵士とさえ遭遇しなければ、結構楽しい遠足なのだ。



 ペタペタペタペタ


「やっぱ鉄だよな!重くないのかい?」

「お前は自分の身体を重いと感じるか?俺にとってはその程度の感覚だ。ちなみにこのボディーは鉄とも違うもっと凄いやつなんだぞ!」

「あんた力持ちなんだね!」


 何を考えてるのか知らんけど、パトランがコンバットスーツをよじ登ってきて肩車の体勢になった。


「あーーーっはっはっはっはっはっは!」

「いや、女だろうが大人が乗っかったら普通に重いわ!」

「女に重いとか言うなーーーーー!失礼な男だね!」



 いや、何なんだコイツは!


 やたらと懐かれてるけど、素顔を見せたわけでもないので、男として好かれているとかそういうのじゃなく、面白いオモチャを見つけたような感じなんだろか?


 さっきチビ結界の上に転移して遊んだのは失敗だったかもしれん。

 なんか面白いし美味しいフルーツもくれたしで、気に入られてしまったようだ。


 ただなんとなく尾張っ子に近いモノを感じるから注意しないとな・・・。

 もうこれ以上嫁を増やすわけにはいかんのだよ!

 

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