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赤い流星 ―――ガチャを回したら最強の服が出た。でも永久にコスプレ生活って、地獄か!!  作者: ほむらさん


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796 お約束ってヤツ

 セイヤハウスの完成までには程遠く、おそらく夜までかかるだろう。

 しかし俺には、ニャルル達の初ガチャを見守る使命があるのだ。


 ダンジョンメンバーが狩りから戻って来るのは大体16時頃。

 あと1時間ってとこか。


 パトランに服を渡そうと思ったが、長きに渡る野盗生活で洒落にならん程汚れている事に気付き、丸洗いしてやりたくてムズムズしてきた。


 いや、ダメだ!


 俺が動くと嫁が増えてしまう可能性が極めて高い。

 ここはレミィに任せた方がいいだろう。



「ゼーレネイマス、そっちにお風呂を出してくれ。丸洗いしなければならない程パトランが野生化している」

「野生化って、酷い言い草じゃないか!!」

「確かに野生化しておるな。そのままでは連れて行けぬ」

「ぐぬぬぬ・・・」


 ゼーレネイマスがマジックバッグからお風呂セット2号を出してくれた。こう見えて潔癖症の気がある大魔王なので、同行者は清潔でなければならないのだ。


「レミィ、パトランを丸洗いしてやってくれ。30分で頼む」

「丸洗い?あ~、領主の館であなたがよくやられてたヤツね!」

「よくそんな昔のこと覚えてたな!」

「あの頃は楽しかったね~♪」

「ハハッ、懐かしいな。おっと、あまり時間が無いぞ!」

「ついでだからレナも一緒に入らない?」

「そうですね~」

「間違いなく湯船が真っ黒になるほど汚れてるから、まずはパトランを徹底的に洗うんだ!」

「わかってる!私に任せて!」



 レミィにパトランの着替えを渡すと、女性達が狭い脱衣所に入り込み、シャーっとカーテンが閉まった。


 丸洗いはレミィに託したので、ゼーレネイマスとケンちゃんと一緒にセイヤハウスの完成を見守ることにした。



「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」



「これ完成するの20時くらいになるんじゃねえか?」

「そんな時間だと外は真っ暗じゃないっスか!」

「放っといてメシとか食ってた方がいいかもな~」

「そうっスね~。今日はコカトリスが食いたい気分かも!」



「「キャーーーーーーーーーーーーーーー!!」」



「何だ!?」



 タタタタタタッ


 女性達の悲鳴を聞き、ケンちゃんと一緒に現場まで駆けつけた。



「何があった?」

「大丈夫か!?」


 辺りを見渡すと、立派な角を生やした魔物・・・いや、牡鹿がいた。


「なんだ、鹿じゃないか」

「野盗でも出たのかと思ったぜ・・・」

「いや、野盗ならさっき出会ったばっかだろ。それに今は風呂に入って・・・」



 ―――――ケンちゃんと一緒に振り返ると、三人の素っ裸の女がいた。



「「きゃあああああああああああーーーーーーーーーー!!」」



「しまった!お約束をやっちまった!!」

「いてッ!いてててて!石を投げないでくれ!」

「ケンちゃん、撤退だ!」

「痛えッッ!ちょ、置いていかないで下さいよ!!」



 石を投げられながら元の場所に逃げ帰ると、ゼーレネイマスは一歩も動いていないし、セイヤも必死に家を建てている所だった。



「悲鳴が聞こえたから飛んでいったのに、俺達は悪くないっスよね!?」

「残念ながら、助けに行った事などもう関係無いのだ。『女性の裸を見た』これだけでもう俺達は有罪なのだ」

「理不尽じゃないっスか!!」

「女ってのは理不尽な生き物なんだ」



 しかしラッキースケベイベントが発生したってのに、真っ先に動いて石を投げられてそうなセイヤが無反応だと?


 まさか、熟女がいなかったから反応しなかったんじゃないだろうな!?


 ・・・いや、魔法に集中してただけか。



 それから15分くらい経過し、ようやくお風呂のカーテンが開いた。



「おおお!パトラン、随分と見違えたな!」

「すげーーーーー!メチャクチャ美人になってる!」


 何事も無かったかのようにパトランを褒めたが、やっぱりキッと睨まれた。


「覗き魔1号、丸洗い終わったよ」

「1号ってどっちなんですか?」

「赤い方」

「じゃあケンが覗き魔2号ね?」


 すでに二人とも変なあだ名を付けられていた。


「覗き魔って酷すぎね!?悲鳴が聞こえたから助けに行っただけなのに!」

「ケンちゃん、今は歯向かうな。放っとけばそのうち沈静化される」

「アニキ、なんかこういうのに慣れてません?」

「突然部屋に飛び込んで来たマミちゃん先生が全裸土下座を始めて、それを偶然目撃したレムが大騒ぎした時よりはマシだと思っている」

「マミちゃん先生って確か信濃の城にいた女性っスよね?ってか何なんスかその意味不明な状況は!!」

「知らん!定期的にそういうイベントが発生するんだよ!」


 ケンちゃんとそんな会話をしてたら、新しい服に着替えたパトランがもじもじしていることに気が付いた。


「やっぱセクシー系の服を選んで正解だったな」

「レナの服とは結構違う感じですよね」

「そうそう!流石はシャアリバーンね。その女性にどんな服が似合うのか本当によくわかってる!」

「すごく似合ってますよ!」

「あ、ありがと。でもこんな良い服を着るのなんか生まれて初めての経験で、死ぬほど恥ずかしいよ!」

「私の服も頂き物なんですよ!こんな素敵な服が存在するなんて、夢にも思いませんでした!」


 レナも気に入ってくれているようで良かった。


 そういや尾張の服が三河並みのクオリティーになってきたって話なんだが、全然買いに行く暇が無いんだよね。フィオリーナにいっぱい買っといてもらうかな?


「あとは武器ね」


 レミィがマジックバッグから刀を一振り取り出した。


「私の二番目の弟子になった証として刀を授けます。これは普通の剣と違って繊細な武器なの。明日から毎日訓練してもらうから覚悟してね!」

「あ、ありがと・・・ございます!」


 パトランが刀を鞘から抜き、その美しさに衝撃を受けた。


「刃には触れないように。指くらいスパッと落としちゃうから」

「本当に危ないから触っちゃダメだよ!?」


 しかし繊細な作り故に、彼女は不安も感じたようだ。


「凄いけど・・・、でもこれ、すぐ折れそうじゃない?」

「そう簡単には折れないから安心して。鑑定のスキルは使える?」

「鑑定?」


 どうやら使えるようで、刀を鑑定した彼女の目が大きく開いた。


「斬撃強化(大)に衝撃耐性?え、何これ!?」

「服も鑑定してみな?」

「服?」


「ブホッ!斬撃耐性、衝撃耐性、魔法耐性・・・、しかも++って何!」


 汚れ耐性を付与するかで毎回悩むんだけど、やっぱどれも外せなくてな~。

 鉄の武器は二つ、服は三つと、付与数が決まってるので、これしかないのよ。


 ちなみに製作者の名前で身バレするので、これはドワーフ製の刀だ。


「刀はそう簡単に折れないし、服は鉄の鎧より防御力があるから安心して」

「は、はあ」



 ・・・とまあ、新しい装備品に身を包まれたパトランは呆けたままだったが、16時になってしまったのでアリアダンジョンに転移した。


 さーて、この後は旅のメンバーの初ガチャだ!乞うご期待!

 

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