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79 論功行賞Ⅰ(3回目)

 今回は恩賞を授ける人数が多いので、話し合いは難航していた。



「なるほどー。こんな感じで恩賞の服が決まっていたのね」

「論功行賞の場で嫌な顔をされてしまうと、色々台無しになってしまうからな」

「そうね。貰う方もすごく緊張するけど、与える側にも苦悩があったかぁ」


 絶対にハズすワケにゃイカンからな~。皆が大注目の場面で、これは嫌って顔をされてしまうと場が白けてしまうので、選ぶ方も必死なのですよ。


「ずっと不思議だったのだけど、小烏丸は何でこんなにいっぱい服を持っているの?」


 おっと、とうとう聞かれてしまったか。話すと長くなるんだよなー・・・。

 でも説明しないと話が進まんか。ミスフィートさんも興味深々な顔してるし。


「これは話せば長くなるんで大雑把に説明しますけど、俺はミスフィートさんに命を助けられてから2年もの間、ずっとダンジョンで修行していたのですよ。そこはとても高難度のダンジョンで、最初に見た魔物は身長2メートルもあるゴブリンでした」

「2メートル!?」

「最初っから生き死にの戦いじゃないか!」

「そのゴブリンと戦うのはもう少し後の話なのですが、最初に倒したのはファントムという名のスケルトンで、1体倒しただけでレベルが6も上がって驚きましたね」

「一気に6も!?」

「えーと、魔物の強さの話とかはまた今度時間のある時で。問題なのはそのスケルトンを倒して手に入れた魔石でして、ああ、実物があるのでご覧下さい」


 マジックバッグから魔石(小)を取り出して2人に見せる。


「大きいな」

「一番雑魚敵なのにコレって・・・」

「この魔石が、そこでは重要な意味があったんだ」


 虎徹さんに最重要だと言われたから、集めておいたのは正解だったな。


「ダンジョンの先に進むと、神様が作った『ガチャ』という物が設置されてあってですね、そのガチャに魔石を10個入れてレバーを回すと、日用雑貨から大剣まで。実に様々な物が手に入ることがわかったのです」

「ガチャ?」

「そのような物、私は聞いた事がないな」


 俺だって、なんでダンジョンにガチャが設置されているのか、今だに意味不明ですもん。


「とにかくそのガチャから運良く入手出来たのが、この3人が着ている服ですね」

「服が出るの!?」

「うん。さっぱり意味がわからんな」


 まあアレは実際にやってみないと理解出来んよなあ・・・。


「ガチャからは毎回服が出るとかじゃなくて、出たら『よっしゃー』って声が出てしまうほどの大当たりですね。間違いなく相当貴重な代物です。なんせそのダンジョンには、もう行くことが出来なくなってしまったので」

「そうなのか?」

「エーーー!アタシも行きたかったなー」


 尾張を平定してから三河に連絡をして、付与関係や魔道具なんかで虎徹さんと交渉すれば行ける可能性はある。けど今はまだそんな状態じゃないしな。


「尾張を平定してから、またそこに行けないか考えてみようとは思います」

「とにかくジャバルグを倒さない事にはな」


 おっと話が完全に脱線してしまったな。


「話が脇道に逸れてしまいました。恩賞の話に戻りましょう」



 そんなこんなで恩賞候補の10名が決まり、論功行賞の日を待つばかりとなった。






 ************************************************************






「これより論功行賞を始める!」



 その一言で、騒がしかった広場が静まり返った。



「此度の戦いは相手が1500と、かなり大きな戦だった。そして我々は見事ジャバルグ軍を撃破することに成功した!」


 皆の顔も実に誇らしそうだ。


「奴らと勇敢に戦った全員に、それぞれ金貨30枚を授ける!そして特に活躍が目覚ましかった者達には、今回も特別な恩賞を与えるぞ!」


「「わああああああああああ!」」


 みんなこの日を待ち望んでたようで、大喝采に包まれた。


 しかし人数がかなり増えたから相当な出費だな。戦死者が出たとはいえ、それでも400名はいるのだ。なのに報酬は金貨30枚のまま据え置きなのは、ルーサイアやパラゾンの領主が金をしこたま貯め込んでくれていたお陰だ。

 民衆を奴隷の様にこき使って貯めた血生臭い金だけどな!まあそれでも有効利用させてもらうさ。



「まず戦功第一位は、誰の目にも明らかな活躍をした小烏丸だ!戦が始まった瞬間に、敵軍の3割を滅ぼしたあの攻撃には度肝を抜かれたぞ!しかし小烏丸は来た当初から服も刀も最強なので、恩賞は他の皆とは違い、その次の段階のモノになる」


 最初に話し合った通りの恩賞だ。服と刀を揃えた人には地位を与える。


「小烏丸を侍大将に任命する!侍大将には論功行賞での報酬以外に、毎月金貨30枚が別途支給される。本来ならば石高も与えたい所なのだが、それはジャバルグから尾張を奪取した後、国が落ち着いてからだな。次の戦でも活躍を期待するぞ!」

「有難き幸せ!」


「「わああああ~~~~~!!」」


 正直、金貨を授かった所で使い道がほとんど無いんだけどね。

 軍の快進撃は続いているけど、街は相変わらず廃墟同然だからなー。


 けど民衆が雪崩れ込んで来ているので、これからどんどん街が発展して行くのは確実だ。しかし自然に育つのを待つつもりは一切無い!国が落ち着いたら強引に文明開化させてやるぞ!



「戦功第二位は、敵の侍大将カールを一騎打ちで見事撃破したカーラだ!しかしカーラも服と刀を揃えてる故に、小烏丸と同様、侍大将に任命する!次の戦でも活躍を期待するぞ!」

「ありがたき幸せ!」


「「わああああ~~~~~!!」」


 さて、ココまでは事前に話し合った通りだ。

 今回は12名選ばれる予定なので、俺とカーラを除くと残りは10名。



「戦功第三位は、正直誰を選ぶか迷った。今回は活躍が目立った者が多くてほとんど優劣がないのだ。一応順位付けはするが、皆ほとんど僅差だと思ってくれ。それでは戦功第三位カトレア!前へ」

「ハッ!」



「別動隊での任務遂行は実に見事だった。キミは任された仕事を確実に遂行する能力が秀でていて、何を頼むにしても安心出来るのだ。次の戦での活躍を期待し、金貨を更に20枚、そして刀を授ける!」

「ありがたき幸せ!」



 カトレアの前まで歩いて行き、箱から一振りの刀を取り出した。

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