表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

785/896

785 修羅の道

 俺達が担当している正面の通路だが、流れで何となく右側に俺がいて、左に親父、そして中央でレミィ&レナが戦っている。


 レナはただのレベル上げ要員でしかないので、ぶっちゃけこの広い道路を三人で守り切るのは不可能だ。



 ―――――庶民ならな。



「チビ結界・緑!」


 ドゴン!


「ごプァッ!?」


 俺が立っている位置のもっと右側を走って抜こうとした男が、目の前に突然出現したチビ結界に衝突してぶっ倒れた。


「向こうにチビ結界・赤!」


 親父の左側を抜こうとした兵士も結界に跳ね返され、地面に仰向けに倒れた。

 それに気付いたギャラバーンがパッと俺の方を見たが、絶対ニヤけていたハズ。


 それでふと大事なことを思い出し、通路をチビ結界まみれにした。



「何なのよこれ!」



 レミィが文句を言っているが、構わずそっちに歩いて行く。



「レナ、一瞬でいいから刀を地面に置け」

「え!?いや、それは・・・」

「急げ!」


 一喝すると、意味も分からず刀を地面に置いた。


「銀結界!レミィは・・・いらんか。よし、刀を拾っていいぞ」


 眉間に皺をよせ、意味不明なままレナが刀を拾い上げた。


「レナに結界を張った。もし斬られても何発か耐えられるハズだ。そろそろ青いチビ結界から消え始めるから気を付けろ!」

「こが、じゃなかった!この変な四角いのってシャアリバーンがやったの?」

「そうだ。敵の邪魔をするのにポコポコ浮かべるけど、赤は結構硬いんで、刀が欠けるかもしれんから殴らんようにな」

「もういきなりワケ分かんないし!ね?この人変態なんだよ!」

「あ、えーと、本当に意味が分からないです!」

「変態言うなし!」


 レナの安全を確保したので持ち場に戻った。


 青いチビ結界が消えるまで少し時間があったので左通路を見ると、虎徹さんとこもチビ結界まみれになっていてニヤけてしまった。


 俺の師匠でもあり、時空先輩なので、むしろあっちが本家なのだ。


「あ」


 ザシュッ!


 右の通路を抜けてきた敵兵が、ゼーレネイマスの大剣に真っ二つにされた。

 ケンちゃんセイヤコンビには時空魔法が無いので、二人じゃ守り切れんわな。


 しかし横でもナナメでもなく人間を縦に真っ二つにするとか、ゼーレネイマスの野郎遊んでるだろ!たぶん暇だったんだろうけど。


 この道を突破した方が絶望的な死が待っているとか、もうこれ罠だよな~。


「そろそろ消えるぞ!」


 親父の声を聞き、余所見をやめて集中することにした。


 青いチビ結界が消えると敵兵が密集していたので、炎の魔法をぶち込んでみる。


 ボファッ


「「おわあッッッ!熱っちいいいぃぃィィ!」」


「あーーーーーたたたたたたたたたた!」


 ドガガガガガ


「ほわたぁ!!」


 ドガシャーン!


 意味不明の恐慌状態を維持する為、親父の方まで適当にチビ結界を浮かべる。


「チビ結界・青!チビ結界・青!チビ結界・青!」


「だからさっきから何なんだよこれ!!」

「知らん!剣でぶっ壊せ!!」


 グシャッ!


「おお、壊せそうだぞ!」

「ほあーーーたたたたたたたたたた!」

「ボヘアッ!」



 正直、攻撃力の無いパンチキックだけでこの人数は厳しかったので、現場をメチャクチャにしつつ、しかも全然宇宙刑事じゃない世紀末的アニメの主人公のような声を発しながら、少しずつ敵を葬っていった。




 ・・・・・




「ハッ!」


 ジャキン


「ウご、ィかヒ・・・」


 ドサッ


「いいね!今のは腰が入ってた!」



 もうレナは瀕死の敵兵にトドメを刺すだけではなく、レミィ師匠が弱らせた敵を刀で斬る訓練に移行していた。


 刀を教わったばかりだというのに、いきなりこれほど実戦経験を積ませようとは、修羅の道すぎて、常勝軍団を作り上げた尾張軍師ですらちょっと引いてます。


 すでに俺の中でレミィは『鬼軍曹』としか認識していない。


 奴らに両親を殺されているレナは半端な覚悟じゃないから耐えられるのだろうが、普通の人間ならもう心が折れているだろう。


 だがこのペースで成長していけば、たった一ヶ月くらいで化け物じみた力を身に付けるような気がする。


 冗談抜きで、近江の伝説になるぞ!



 ゴスッ! ターーーン!



「おお、とうとう出来た!ボディーアッパーからのサマーソルトキックだ!」


 パチパチパチパチ


「やるなシャアリバーン!俺はそこまで軽やかに舞うのは無理だ。これが若さか」


 親父の方も戦闘が終わったようで、拍手をしながら俺の方に歩いて来た。


「ウチの正室が人形とのバトルでやってたんで真似してみた!体術のレベルが上がったお陰で動きが良くなった気がする」


 さっき体術のレベルが8に上がったのだ。

 対人戦は経験値が多くもらえるようで、ダンジョンよりかなり効率がいい。



 ザクッ



 俺と親父は敵を戦闘不能にした時点で終了だけど、レナはまだ仕事が残っていて、レミィ師匠の指差す兵士に刀を突き刺している。


 レベル上げとはいえ、アレはキツイだろな・・・。


 もう完全に表情が無くなっている。本当にただの仕事だ。

 可哀相だが強くなる為の下拵えだ。頑張って乗り越えてほしい。


 清光さんと虎徹さんも終わったようで、すでに談笑しているな。



 テクテクテク



 死体を避けながら門の前まで移動すると、ケンちゃん、セイヤ、ゼーレネイマスの三人が大暴れしているのが見えた。どうやら右の通路が大当たりだったようだ。


 ・・・いや違うな?


 俺んとこや虎徹さんとこはチビ結界だらけで滅茶苦茶だったから、ワケが分からず殺されるより普通に戦える方がいいってことで、右の通路に移動したのだろう。



「あと100人くらいか?オレらも行くか?」

「いや、これは元々アイツらの戦いだ。脇役の出番は終わりだな」

「とか言ってるが、面倒臭いだけだろ!」


 俺を見つけたメタルヒーロー達が集まって来た。


「左350、真ん中350、右500って感じ?」

「死体だらけでさっぱりわかんねー!」

「右は600くらいかもしれねえな。あの三人はほとんど一撃で敵を殺せるだろ」

「羨ましい限りだ。体術のレベル上げがあるから俺達は武器が使えん」

「パンチキック縛り、マジでキツいよな」

「それを楽しむんだよ!一撃必殺までいったら気持ちいいぞ!」

「この超激戦をあと二回ってとこだな・・・」

「あ!?お前ら正気か?こんなのもう嫌だぞ!」



 さすがにこの規模の戦闘をあと二回やるのは俺も面倒だな。

 ほぼ雑兵相手とはいえ、何で10人足らずで1000人以上の敵と戦ってるんだよ!

 まあ、挙兵して戦争っぽい感じになれば少しは楽になるか・・・。


 ところでポポイってどいつ?

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ル????「これでセーラーマンじゃなかったら名前詐欺になるが、大丈夫か?」 イ????「大丈夫だ、(パチモンだから)問題ない」
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ