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赤い流星 ―――ガチャを回したら最強の服が出た。でも永久にコスプレ生活って、地獄か!!  作者: ほむらさん


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780 傾奇者、キレる

 レナに刀の使い方を教える為に連れて来たレミィなんだけど、よく考えたら微妙に名前がかぶっていて、マロンにすりゃよかったかなーとちょっと思ったりも。


 でもレミィの元気ハツラツな性格がすごく気に入ってたので、師匠にするならやっぱレミィだよな~。


 とにかくもう連れて来てしまったわけだし、彼女に任せるしかない。


 ゼーレネイマスとセイヤはレザルド軍が寝泊りしていた建物で一泊するということだったのでそこへ向かってみると、家の前にお風呂セット2号が置いてあり、中で顔を洗って出てきた所だった。



「出発する準備は出来ているみたいだな」



 ゼーレネイマスがお風呂セット2号をマジックバッグに収納しているのを眺めていたのだが、セイヤが眉を吊り上げてこっちを見ている事に気が付いた。


 あ?なに見てんだこの野郎!強い日差しでピカピカしているだけだろうが!


 ・・・いや、俺の後ろを見ているのか?


 後ろを振り返ると、ケンちゃんの手の平と自分の手の平をくっつけて大きさを比べているレナの姿が見えた。


 もちろん女性に免疫のないケンちゃんはデレデレしている。


 ピキッ


 コメカミに青筋を立てたセイヤが、二人の側に近寄っていく。



「おうおうケンちゃんよ、ずいぶんと幸せそうじゃねえか・・・。こんな美女と一夜を共にして、さぞお楽しみだったのでしょうなあ?」


 目が血走ったセイヤにギリギリまで顔を寄せられ、ケンちゃんが仰け反った。


「それに比べて俺は、半径1.5メートル以内にいるだけで背筋が凍る恐怖の大魔王と同じ部屋で、一瞬も気の休まらない緊張感に包まれてのお目覚めだぁ」


 そのヒリついた空気を誰よりもよく知っているケンちゃんが目を逸らした。


「昨日まで同じ境遇だったから何とも思わなかったが、たった一日で天地の差だよ!京の都で一番温厚な紳士と評判の俺でも、さすがにもう黙っちゃいられねえ!」


 いや、お前はそれほど温厚でもないし、言うほど紳士でもない。


「レナを貸せとまでは言わねえ。でも俺にも可愛い彼女ができるよう協力しろ!」


 なるほど。レナを一日貸せとか言い出すのかと思ったら、全然紳士な方だった。

 それなら手伝ってくれるんじゃないか?


「あ、ああ、何だそういう事か!それなら協力するぜ!俺はレナ以外の女なんか全く興味ねえから、セイヤに彼女ができるよう全力で応援するぜ!」


 血の涙を流すほどのセイヤの怒りに驚いて固まっていたレナだったが、『俺はレナ以外の女なんか全く興味ねえ』という一言に感激してケンちゃんに抱きついた。


「ケン愛してるーーーーーーーーーー!」


 ピキッ


「目の前でイチャイチャすんじゃねえ!マジでグーで殴るぞ!!」

「お、おいレナ!あんまりセイヤを刺激すんなって!」



 目の前で青春の一コマを見せられ、身体中むず痒くなってきたので、メタルヒーロー四人とレミィは少年少女達から少し離れた。



「さすがにあの空間にいるのはキツいね~」

「でも傾奇者の大魔王部屋の話で噴きそうになったぞ!」

「俺もだ!」

「しかしレナちゃん、立ち直ったみたいで良かったじゃねえか」

「いつフラッシュバックが来るかわからんから、まだ安心はできないけどな」


 まあ、刀の訓練を始めればそっちで頭がいっぱいになるから大丈夫か。


「しかし危なかった。今回は宇宙刑事だったからケンちゃんにやらせたけど、ああいうのはいつも俺の仕事だったからな。もうこれ以上嫁を増やしたくはない」


 全員がこっちを見た。


「なるほど。それを何年も繰り返した結果、ソロモンが誕生したわけか」

「嫁の数が100人超えてんだろ?正確には何人いるんだよ?」

「えっと、全部で108人かな?」

「ん?どこかで聞いたような数字だな・・・」


 清光さんと虎徹さん、そして親父が何かに気が付いたようだ。



「「煩悩の数じゃねえか!!」」



 な、なんだってーーーーーーーーーー!?



「煩悩の数って!アーーーッハッハッハッハッハッハッハ!」

「お前すげえな!煩悩をここまで具現化した人間なんて初めて見たぞ!」

「除夜の鐘作ったほうがいいんじゃね?確か、鐘が一つ鳴るごとに煩悩が一つ消えるんだよな?」

「やめて下さいよ!ウチの嫁が全員消えたらどうするんですか!」

「お前の弱点は除夜の鐘だったのか!」


「「どわーーーーーっはっはっはっはっはっはっはっはっは!!」」



 ケンちゃん達の恋バナのハズが、なぜか俺まで盛大に巻き込まれるという釈然としない展開になったが、ゼーレネイマスの『いつまで話している!そろそろ行くぞ』という一声で、ようやく次の村を目指して出発した。


 村人から聞いた話によると、この先にもう一つ村があって、更に進むと結構大きな街があるということだった。


 次の村はあまり期待できないけど、その次の街から本格的な軍事行動が始まる感じになるかな?まだ兵士もいないからとにかく暴れまくるだけだ。



 次の村に続く道を歩いていると、向こうから武装した8人くらいの兵士風が歩いて来るのが見えた。



「あの村にも結構レザルド軍の兵士がいたが、こんな辺鄙な場所になぜうじゃうじゃ集まる?」

「そういや意味わかんねーな」


 確かにおかしい・・・、いや待てよ?そうか!


「国境の壁だ!工事中だったから、たぶんあそこに向かってるんだ」

「そういうことか!」


 正面から来るレザルド兵達が、此方を見て訝しんでいるのがわかった。


「ねえねえ!あいつら私がもらっていい?」

「私がって、レミィ一人で殺るつもりなのか?たぶん8人くらいいるぞ?」

「レナ、私がなぜ師匠として呼ばれたのか見せてあげる」


 タタタタッ


 敵兵を見て恐怖に震えるレナに軽い感じで声を掛け、レミィが駆けて行った。


「・・・え、嘘!?一人で行っちゃったよ!?」

「ん~、まあ大丈夫か。レナ、今から瞬きを禁止する。師匠から目を離すな」



 レミィとレザルド兵が対峙した。



「なんだぁ?女じゃねえか!」

「しかも美女だ!もしやこの女をやるから見逃せって話か?」

「ほうほう。アイツら頭いいな!これほどの女なら見逃してやってもいいか!」

「ウヒヒヒヒ!確かこの先にも村があったよな?そこで味見しようぜェ!」


「レザルド軍の皆さんこんにちは!殺しに来たよ!」


「「・・・あ?」」


「弟子に格好良い所を見せなきゃならないからさ~、ちゃんと剣を構えて真面目に戦ってよね!頼んだよ!」



 レミィが刀を抜いた。



「なっ!?」

「狂ってんのかコイツ!?」


 ガシャッ


 目の前で剣を抜かれては、美女と言えど警戒せざるを得ず、兵士達も剣を構えた。


「やる気になってくれてよかった~。じゃあ遠慮なく行くね!」


 ザシュッ


「オ、ア・・・」


 ゴトリ


「こ、この女!!」



 ―――――そこからは蹂躙だった。



 いきなり最初の1人の首を落とし、次の男の心臓を刀で一突き。

 流れるような動きでレザルド軍の兵士達を呆気なく殺していく。


 何人かは反撃したが、その剣はレミィに触れる事すら出来ず、彼女は無傷で8人の兵士を血の海に沈めてみせた。



「ふ~。最近は内政ばっかりだったけど腕は鈍ってなかったみたいだね」


 レミィが後ろを振り返って大きく手を振った。


「レナーーーーー!ちゃんと今の見た?これで師匠合格だよね!?」



 血の海ではしゃぐレミィを見て、ギャラリー達は何とも言えない表情になった。



「あの娘、めっちゃ強くね?」

「うむ。度胸も半端ない。間違いなく何度も死線を越えた強者だ」

「連れて来た俺でもここまで凄いとは思わなかったな~。お嬢と共に美濃で大暴れしていたのは知ってたけど、まさかこれ程とはね~」

「侍大将でコレなのか!ミスフィート軍の女の子達っていつものほほんとしてるけど、本当は恐ろしい程の実力者揃いだったのかよ・・・」

「ハハハハッ!実に面白い!!」


「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」



 レミィ師匠の華麗で鮮やかな戦闘シーンを見て、レナだけじゃなくツッパリと傾奇者もショックを受けているようだ。


 あの二人もやれる実力はあると思うんだけど、明らかに対人戦闘の経験が不足しているからな。これからの成長に期待しよう。


 しかしゼーレネイマスよ。お前、近江に来て一番楽しそうにしてやがるな!

 レミィと闘いたいとか言い出すんじゃねえぞ?

 

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