741 久しぶりにドワンゴさんと会う
俺の場合見た目が特徴的過ぎるので、ミスフィート領内ならどこへ行こうが大体顔パスだ。
ドワーフの国も例外ではなく、マスクを脱いで顔を見せるまでもなく門兵が街に入れてくれた。
もし赤い流星の偽物でも現れたら危険だぞ?って思ったりもするけど、イチイチ顔を見せるのも面倒臭いのでそれは言わんでおく。
―――――美濃の首都を見渡す。
・・・うん。ほぼ全ての建物が建築途中で、工事現場に迷い込んでしまった感満載ですね。首都と言われても全然しっくりこない。
「そこの人!ドワンゴさんの城の場所を教えてほしいのだが・・・」
鉄骨を担いで歩いていたドワーフが立ち止まって振り向いた。
「ぬ、お主はなぜマスクなんかしておる?」
「どう見ても怪しい男だが、俺はもう何年もこの格好で過ごしているから、むしろこの姿でいる事こそが怪しい者ではない証明と言えるだろう」
「何わけわからん事を言っておる!?」
「尾張ミスフィート軍軍師、赤い流星だ。噂くらい聞いたことあるだろ?」
「赤い流星!?知っておるぞ!聖帝を倒した英雄ではないか!!」
「残念ながら倒す寸前で遠方に飛ばされてしまったんで、正確に言うと聖帝を倒したのはミスフィートさんだな。とにかくミスフィート軍軍師としてドワンゴさんに会いに来た。城の場所を教えてくれ」
「あ、ああ、城はこの道を真っすぐ進んだ所に建設中だが、まだ完成まではほど遠いだろな」
「まあ、この前リッチモンドを撃破したばかりだからなあ。じゃあドワンゴさんの居場所は城じゃなさそうだな・・・」
「いや、皆と一緒に城を作ってると思うぞ?」
「一緒に築城してるんかい!結構な年なんだから部下に任せりゃいいのに」
「ワハハハハ!そこがドワンゴ様の良いところだろ!率先して現場の指揮を執るから皆に慕われる」
「まあな!んじゃ行ってみるわ!」
「おう!」
どうもドワーフと話すとイチイチ盛り上がってしまうな~。
ドワーフという種族の実直で豪胆な性格が好きなのかもしれない。
そういや甲斐軍の武将達もそんなタイプの人間ばかりだったから、誰と話しても楽しかった覚えがある。
道を歩きながら街を見渡しているんだが、やっぱ俺以外全員ドワーフだな。
大きな建物は全て建築中といった半端な状態なんだけど、とりあえずって感じで建てた小さな店で商売は盛んに行われているようだ。
そしてようやくドワンゴさんの城へ到着したのだが・・・。
「まだ土台しか出来とらんやないかーい!」
そりゃそうか。ドワーフだけで築城してるんだもんな。
ウチのエルフが一人でもいれば城なんて簡単に作ってもらえるんだけど、ドワーフって魔法の練習とか全くしないもんだから、土魔法使いがいてもぶっちゃけポンコツなんだよね。
そのポンコツ魔法使いじゃ壁を作ったりも出来ないだろうから、岩を切って積み重ねるような原始的な手法をとるしかないわけだ。
「おお!小烏殿ではないか!!」
声の方を見ると、知った顔がこっちに駆け寄って来るとこだった。
「ドランさん!久しぶりですね!」
「ワハハハハハ!本当に久々じゃの~。美濃の様子でも見に来たんかの?」
「それもありますが、近々論功行賞があるのでその話し合いに来ました」
「本当か!?美濃を獲ってからずっとその日を待ち望んでおったぞ!」
「ドワンゴさんは?」
「向こうにいる筈じゃ。ワシについて来るといい」
ドランさんの後をついて行くと、他のドワーフ達と一緒に働いているドワンゴさんを発見した。
「おーーーーーい!ドワンゴさーーーーーん!」
自分の名前を呼ばれたドワンゴさんが俺に気付き、驚きで目を大きくしながら駆け寄って来た。
「小烏殿ではないか!久しぶりじゃのう!」
「お久しぶりです!元気そうですね」
ドワンゴさんと固い握手を交わした。
「数日後に論功行賞があるので、その話し合いに来ました」
「なんと数日後に!?・・・いや、論功行賞は京の都でやるのじゃろ?美濃からだと何日も掛かってしまうぞ?」
「ハハッ!ところが意外と簡単に京の都まで行ける裏技があったりするんですよ」
「裏技??意味が分からんぞ!」
「ここで話すのをアレなんで、ちょっと場所を変えません?」
「フム、では屋敷へ案内しよう」
「ガルダンさんは?」
「その辺にいるハズじゃ。ワシが探して来よう」
「じゃあドランさん、お願いします!」
・・・・・
ドワンゴさんの屋敷へと案内された。
少し遅れてドランさんとガルダンさんがやって来て、主要メンバーが揃ったところで論功行賞の話を始める。
初期に仲間になった鉱山組のドワーフは全部で11人いるんだけど、今日は全員揃える必要が無いのでこのメンバーだけでいいだろう。
「・・・というわけで、今回の論功行賞はかなり大規模なモノとなります。しばらくやってませんでしたからね~」
「美濃の戦争や聖帝軍の残党狩りで、そんな余裕無かったからのう」
「そうか、ようやく西方面も粗方片付いたか」
「実はまだ四国の聖帝領が残ってるのですが、さすがに海を越えて四国まで攻め込むのは大変なのでとりあえず一休みですね。というか皆満足しちゃってるんで、海の向こうはしばらく放置しそうな感じです」
「攻め込むにしても、増えすぎた領地をしっかり統治してからじゃろうな」
「・・・で、簡単に京の都まで行ける裏技とはなんじゃ?」
せっかくだし、この三人を驚かせてやろう!
「じゃあ裏技を使いますので、ドワンゴさんは右手を、ドランさんは左手を出して下さい」
「は?」
意味も分からず手を差し出した二人と手を繋いだ。
「ガルダンさんはドワンゴさんの左手を握って下さい。急いで!」
「意味が分からぬ!」
全員しっかり手を繋いでいるのを確認。
「じゃあ行きますよ?転移!」
そして流星城の玉座の間に転移した。
当然ながら、変な人形がいっぱい立ってるカオスな玉座の間を見て、ドワーフ達は大混乱に陥る。
「「なんじゃここは!?」」
「おお!?そこにいるのはドワンゴではないか!」
あ、ミスフィートさん発見。
「はあ!?なぜミスフィート様が!?」
「ようこそ流星城へ!実は俺、転移の魔法が使えるようになったんですよ」
玉座の間を見渡した後、ドワーフ達が互いに顔を見合わせた。
「「はあ~~~~~~~~~~!?」」
うわははははは!
美濃に長くいたせいで、ミスフィート軍に定期的に起きる非常識を忘れてたな?




