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赤い流星 ―――ガチャを回したら最強の服が出た。でも永久にコスプレ生活って、地獄か!!  作者: ほむらさん


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73 軍評定


「これより軍評定(いくさひょうじょう)を始める!」



軍評定(いくさひょうじょう)


 これは戦の前に行う軍議だ。


 人の名前は外人風なのに、こういう所は戦国時代なんだよな・・・。

 たぶん元日本人だという神様が作った初期設定が、時代と共に変動して今の姿になっていったのだろうと推測される。


 本来の軍評定(いくさひょうじょう)は大名と重臣だけで行うモノだが、まだそれほど兵の数も膨大じゃないし、ガチでぶつかり合う最初の戦というのもあって、今回は偵察隊を除く全員が集められた。



「と言っても、実は事前に小烏丸と軽く話し合っていてな。今回は軍評定(いくさひょうじょう)と言うよりも、私が作戦を皆に説明するだけとなる。尾張奪取後は重臣を集めてちゃんとした話し合いをするので、戦への流れはこういうモノだと皆に認識してもらいたい」


 今回は話し合いじゃなくて、大名からの一方的な告知だ。

 まだウチは反乱軍の規模でしかなので、重臣がいない状態じゃ話し合いにならんのですよ。



「数はこちらが劣勢だ。だが相手は脳筋ゆえに、策も無く真っすぐ向かって来るだろうと推測出来る」


「のうきんって何?」

「さあ?」


「ああ。脳筋とは、脳味噌まで筋肉で出来ているような猪武者の事だ。前に小烏丸が言っていたのが面白くて、私も使わせてもらった!」

「「ワハハハハハハ!」」


 うん、これは流行るな。



「まず部隊を大きく3つに分ける。中央は私が率いる本隊、左陣は小烏丸、右陣はカーラが率いて敵と正面からぶつかる」

「ハッ!」

「お任せを」


「そしてカトレアを別動隊とし、敵の背後から攻撃してもらう。本隊は劣勢を装いながら少しずつ後退し、敵を四方から攻撃するのだ」

「了解しました」


 これは事前にミスフィートさんと話し合って決めた作戦だ。相手が知将ならこんな子供騙しなど通用しないだろうけど、奴らはマジで脳筋だからな。ジャバルグ軍との戦は舐めてかかるくらいで丁度いい。


「細かい指示はしない。それぞれ配置についたら目の前の敵を倒すだけだ!我らには軽くて強力な刀という武器がある。そして鎧並みの防御力を持った服を着ている。重い剣と重い鎧を着たジャバルグ軍と比べて、これは間違いなく我々の有利な部分と言えよう。その身軽さで敵を翻弄しろ!」


 時間が経つにつれ、身軽さの恩恵は絶大なモノになる。

 疲労の度合いが相手とはまるで違うのだからな。



「皆にコレを配布する。見た目はただの布切れだが、小烏丸の付与魔法が込められているので防御力は折り紙つきだ!即死を避けるためにも、全員この布を頭と首に巻いて戦ってくれ」


 服の防御力だけだと頭部が無防備すぎるんだよね。

 戦闘慣れしてる女性達ならともかく、一般兵の命を守るには必要だろうと、事前に大量に用意しておいたのだ。



「よし、では最後に水筒を配るぞ。もちろん中身は、限りある貴重な聖水だ!これは我が軍の生命線ゆえ、喉が渇いた程度では絶対に使うなよ?負傷した場合のみ使用を許可する」


 水筒が全員に配られる。


 これも人数分揃えるのにかなり苦労した。ドワーフにも手伝ってもらったけど、人数が多いので本当に大変だったよ。

 ただ全員に持たせるといっても、パラゾン解放戦の負傷者が少なかったので、前回配った聖水はほとんど残っていた。なのでパラゾン組の分は使い回しだ。



「全員に行き渡りました!」


「よし、ではパラゾンへ向かって出発する!」

「「おーーー!!」」






 ************************************************************






 ルーサイアの街から西へ歩いて約5時間。

 ようやくパラゾンの街に到着した。


 やっぱ歩きはキッツイわ。

 そういや尾張を平定したら、清光さんからバイクを貰えるんだよな~。


 でも俺とミスフィートさんの分しか手に入らないので、いつかは全員分の乗り物を用意したい所だ。ルルの魔法が強化されたので、何か良い乗り物とか作れるようになるかもしれん。デカい魔石が必要になるけどな。


 いや、俺も付与魔法を駆使すれば、車とか作れたりするのか!?

 あー、タイヤで困るのか・・・。

 ゴムの木を見つけたとしても、炭素を混ぜたりして硬化しなきゃタイヤにはならない。この研究だけでも相当な苦労をするのは間違いないだろう。

 ファンタジー世界ならではの代用品を見つけた方が近道かもしれないな。



「少し休憩したら街の外へ陣を張るぞ。街を荒らされるワケには行かないからな。野外戦でジャバルグ軍を撃破する!」

「「了解!」」


 奴らを街へ入れたりなんかしたら、間違いなく民衆に被害が出る。

 敵軍との間に砦も無いから、野外戦で撃破するしかないんだ。



「小烏丸、とうとう奴らと全面衝突だ!」

「ですね。短期間でしたが必死に鍛え上げた精鋭達だ。絶対に勝ちますよ!」

「勿論だ!問題は、受ける被害をどれだけ最小限に抑える事が出来るか・・・」

「即死さえしなければ何度でも立ち上がることは出来ますが、相手の兵は1500。さすがに死人が出るでしょうね」


 ミスフィートさんの表情が少し曇った。


「こればっかりはな・・・。しかしこの戦いに勝てば、噂を聞いた尾張の民衆が続々と我々の街に逃げ込んで来るだろう。そして兵を増やす事が出来れば、必ずジャバルグを倒せる!」

「間違いなくそうなります。そして今回は、俺も奥の手を使おうと思っています」

「奥の手?」

「出会い頭の一撃で、奴らに一泡吹かせてやりますよ!」

「ほう?その時が楽しみだな!」


 相手は腐れ外道。これを使うのに躊躇する理由は一切無い。



「ではそろそろ出発する!街の外に陣を張り、そこでジャバルグ軍を迎え撃つ!」

「「おーーーーーー!!」」



 さあて、楽しい戦の始まりだ!

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