726 類は友を呼ぶ
美女コンビとの決戦二日目。
何やら二人は長期戦に備えていたようで、俺がダンジョンに行っている間に治癒魔法で回復してもらっていたらしい。
しかも夜伽慣れし始めたのもあり、思わず『昨日までの美女コンビとまるで違うぞ!』と叫んでしまうほどアグレッシブになっていた。
それでも最前線で嫁をちぎっては投げちぎっては投げしてきた俺は潜り抜けた修羅場の数が違うので、少し危なかったが今日も撃退することが出来た。
もちろん一睡もしてないけどね!!
一日制の嫁の場合は眠れるかどうかで勝敗を決めてたけど、今回は四夜連続で二人の嫁と闘うベリーハードモードなので、嫁を力尽きさせる事が出来れば俺の勝ちでいいんじゃないだろうか。
っていうか一人の嫁でも5時間で倒すのは至難の業だから、ミスフィート軍の重臣二人が相手って時点で、闘う前から眠るなんて不可能な状態なのだ。
普通の夫婦の営みと違って、この日に全てを懸けて絶対に妊娠しようとしている嫁とのバトルだから、心構えの次元が違うのよ・・・。
力尽きたと思っても、嫁は何度でも立ち上がってくるんだ。
正直、嫁が一人だけの清光さんが羨ましいと思うことすらある。
虎徹さんは獣人の嫁だから、突発性発情期で地獄の毎日かもしれんけどな!
ちなみに、リタ&リナコンビは俺の大好物なので、1000回闘っても負ける気はしませんね。楽しくてオーバーキルしてしまうからやっぱり寝れないけど。
とにかく今日も力尽きてピクリとも動かなくなった美女コンビに布団をかぶせ、嫁軍団を連れてアリアダンジョンへとやって来た。
「とうとう4階層まで進んだんですね~」
「カーラがドラゴンと戦う事になっているのだが、小烏丸も見に来るか?」
「おお!カーラ一人でやってみるのか!ん~~~すごく気になるけど、一睡もしていないので寝ることにします。じゃないと夜伽に差し支えてしまいますので」
「アハハハハハ!ナターシャとフローラを相手にしてるんだっけ!そりゃちゃんと寝ておかないと二人に蹂躙されるね!」
「二人を相手してるって凄いっスね~。そのくせまだ元気そうっス」
「この人変態大王だから!むしろ二人に増えて喜んでるんじゃない?」
「変態大王言うなし!」
喜んでいたのは事実だから否定はせんよ。
「ドラゴンを撃破した後、その後の安全の為に人魚で耐性上げをする予定なのだが、私がしっかり見張ってるから心配はいらないぞ!」
「あーそっか!耐性上げは本当に重要だから、みんな頑張ってくれ!」
「聖帝との決戦で耐性がどれほど大事か思い知ったからさ、最後に10階層にいるヤバイって噂の魔物で恐怖耐性も上げたいんだよね~」
「死神か・・・。いや、ダメだ!10階層はヤメておいた方がいい。お腹の子供が死んでしまう」
「「エーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」」
嫁軍団が不満の声を上げたけど、あの恐怖は『胎教に悪い』の極致だろ。
あそこで上がるのは、即死耐性・恐怖耐性・混乱耐性・呪い耐性。
うん、余裕で全部アウトだ!
どう考えても子供に耐えられるような生易しいモノでは無い。
今の和泉でも少し危ないんじゃないかと思うくらいだし。
「確かにあの恐怖は尋常ではない。私ですら10分で逃げ出したのだ!小烏丸の言う通りにしよう。恐怖耐性を上げたいなら胎に子が宿っていない時だな」
「そんなあああ~~~~~!今すぐにでも恐怖耐性を上げたかったのに!!」
「4階層の人魚ってのは大丈夫なのですか!?」
「たぶん大丈夫だと思う。人魚が使ってくるスキルは眠気と魅了と幻惑だから、子供が眠っちゃうくらいじゃね?」
「それなら可愛いだけですわね~♪」
そういや、親が持ってるスキルって遺伝とかするのかな?
だとしたら俺とミスフィートさんの子供なら5歳で天下獲れるぞ!
・・・いや無理か。父ちゃん母ちゃん世代が揃って強すぎる。
清光さんや虎徹さんも子供に英才教育するに決まってるしな~。
そもそもまず国内最強にならないと大名にすらなれないし。
「よし、そろそろ出発するぞ!」
「「ハーーーーーーーーーーーーーーーイ!」」
我が子の将来を考えていたら、嫁軍団が出発する寸前だった。
「じゃあ耐性上げ頑張れよ~~~~~!」
「「行ってきまーーーーーーーーーーーーーーーす!」」
4階層まで転移で送ってあげてもよかったんだけど、こういう遠足みたいなのも楽しんでほしいと思い、いつものように嫁軍団を送り出した。
人魚での耐性上げが終わって4階層に住み着くってことになったら送迎するとしようか。あの階層での魔石集めの効率の良さは半端ないからな。
落ち着いたところで床に布団を敷いて潜り込む。
「おやすみ~」
言うまでもなく一瞬で寝た。
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目覚めて時計を見ると、やっぱり昨日と同じ時間だった。
なんか一日損した気分になったけど、美女コンビとの決戦が終わるまではずっとこんな感じだろう。あと二日の辛抱だ。
昨日と同様、身嗜みを整えてからソファーに座り、アイテムボックスの拡張を開始した。
「ご苦労さん!」
・・・ん?ああ、もう虎徹さんが帰ってくる時間になってたのか。
「お帰り~」
「しかしまあ昼夜逆転して大変だな~。たまには狩りでもしねえと運動不足だろ」
「いや、そうでもないっス。夜伽で体力を使い果たしてますから」
虎徹さんのコメカミに青筋が立った。
「ムカツク野郎だなオイ!!」
いや、本当に夜伽は生きるか死ぬかの大勝負なんですってば!
でも獣人嫁を持つ虎徹さんだって、毎夜凄まじいバトルを繰り広げているハズなんだけどな。いつもメッチャ元気だけど。
俺の記憶が確かならば、ニャルルにもゴマちゃんにもシャイナにもパメラにも敗北している。ついでにミュルモにすら負けたし、獣人嫁には全敗なのだ。
・・・もしかしてこの人、とんでもない絶倫なのでは!?




