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赤い流星 ―――ガチャを回したら最強の服が出た。でも永久にコスプレ生活って、地獄か!!  作者: ほむらさん


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719 宇宙刑事シャアリバーン

 上に向けた両の手の平に乗っているメカメカしい衣装。


 それは宇宙刑事ギャラバーンの完全シルバーな衣装ではなく、宇宙刑事サイダーのブルーな衣装とも違っていた。


 そう。これは紛れもなく、宇宙刑事の二代目である宇宙刑事シャアリバーンの赤いコンバットスーツだ。




「「宇宙刑事キターーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」」




 この瞬間を待ち望んでいたわけだから、宇宙刑事のことを知っている親父と虎徹さんと清光さんが歓喜の咆哮をあげた。


 その声を聞いて、俺が大当たりを引き当てた事に気付いた嫁軍団も、後ろで一緒になって喜び始めた。俺がどれほど絶望しているかも知らずに。



 スタスタスタスタ


 バシッ!


 近寄って来た親父と虎徹さんに肩を叩かれた。



「お前ならやると信じてたぜ!おめでとう!!」

「やったな小烏丸!この色は宇宙刑事シャアリバーンで間違いないぞ!」



 二人の満面の笑みがムカつく。


 親父は被害者が増えたことに喜んでいるが、虎徹さんは心から祝福してくれているのだろう。それはそれで心の底からイライラする。



「よっしゃあああああアアアアアッ!絶対に小烏丸が宇宙刑事になると信じてたぜ!そして俺は生き残った!!」



 清光さんのその言葉に、審判二人が反応した。



 ピピーーーーーーーーーーッ!



「生き残っただぁ?今のは完全にアウトだ!」

「小烏丸もさっきまで酷かったから両方アウトだな」

「しまった!余計な一言だったか!」



 そんな漫才を聞いてるうちに、ようやくショックから立ち直ることができた。



「あーあ、やっぱり俺が二代目を襲名するんかい!女性服の呪いは何処へ行った?」

「そもそもバトルスーツって男性用なのか?」

「あ、どうなんだろ?そんなの一度も考えたことなかったな」

「宇宙刑事って女性キャラもいたろ。変身したかどうかは覚えてねえが」

「んーーー、ヒロインは制服姿の時もあったけど基本的に私服で戦ってたぞ!あと小鳥に変身してた!」

「小鳥はちょっと意味が分からんな・・・」

「いや待てよ?良い方に考えると、今ので呪いが解けた可能性があるのか!」

「なるほど、男性服が出てよかったな!」

「宇宙刑事だけどな!」


 くっ、待望の男性服がこれでは素直に喜べねえ・・・。


「とにかく二人共、最後の罰ゲームはやってもらうぞ!」

「しゃあねえ、食うか~!」

「清光さんってレッドカード三枚目ですよね?根性あるな~」

「ルールなんだから従うしかねえだろ!」



 もう最後だと思い、一気にスプーン二杯のマグマをかき込んだら2倍の激痛に襲われることとなったが、聖水パワーのおかげで一命は取り留めた。


 一緒に床を転げまくっていた清光さんも、何とか地獄より生還したらしい。



「よし小烏丸!記念撮影するからカメラを貸してくれ!」

「くっ、そんな罰ゲームもあるんでしたね・・・」

「安心しろ。もう色々と諦めているが、俺にとっても罰ゲームでしかない」



 確かに記念撮影で喜ぶのって虎徹さんだけか。

 親父は不幸を分かち合いたかっただけで、最初から嫌がっていたもんな。


 カーラからカメラを受け取り、清光さんに渡した。

 そして親父と虎徹さんの間に入ってポーズを決めた。



「全然違うぞ!宇宙刑事が三人並ぶ時は、ギャラバーンが真ん中!向かって左にシャアリバーン、そして右にサイダーだ!っていうか宇宙刑事に変身しなきゃ、男が三人並んだだけの写真じゃん!」

「チッ!気付きやがったか・・・」

「宇宙刑事の並びにそんな細かい決まりがあるなんて初めて知ったぞ!」

「ほら小烏丸、とっとと所有者登録だ!」



 うわあああああ、やりたくねーーーーーーーーーー!!


 でもここまで来て駄々を捏ねても見苦しいだけなので、脇差しで指先を切って宇宙刑事の衣装に触れた。


 鑑定すると、自分の名前が表示されていて死にたくなる。



「とうとう俺も変身ポーズを決める時が来たのか・・・」

「オラ、わくわくしてきたぞ!」

「ココで変身したらファンの子達が見えないだろ。奥に移動しろ!」


「いや、ファンではない」

「そんな場所で着替えるのか?」

「みんな見てるんだけど・・・」

「宇宙刑事に変身する時は服を脱がないから大丈夫だよ!」

「とうとう小烏丸も、お義父さんみたいに変身する時が来たのね~」



 『もうどうにでもなあれ!』という投げやりな気持ちで、部屋の奥に移動した。

 でも変身ポーズなんて知らんぞ?



 ―――――その瞬間、頭の中に変身ポーズが鮮明に流れ込んできた。



 なるほど、親父が言ってた現象ってこういうことだったのか・・・。

 ファンの子達の視線を一身に浴びながら、一つ深呼吸する。



赤者(せきしゃ)!」



 ブンッ! ブンッ! ブオンッ!



 ポーズを決めた瞬間、赤い流星の衣装から宇宙刑事シャアリバーンの衣装にチェンジしたのが分かった。


 宇宙刑事シャアリバーンは、僅か1ミリ秒で赤者常着(せきしゃじょうちゃく)を完了する。


 これはギャラバーンの50倍の速度だ。

 しかし変身ポーズに時間が掛かるから、50倍とかほとんど誤差の範囲だよな。



「宇宙刑事」



 シュピン! シュピン! ピュオーン!



「シャアリバーン!」



 本来ならこのタイミングでナレーションが聞こえてムービーに突入するんだけど、変身した本人にはそういうのが何も無く、ただ冷たい空気だけが流れていた。



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


(アーーーーーッヒャッヒャッヒャッ!ウーッひッひッひ!ゴホッ、ガハッ!)



 うわぁ、これはキツいぞ。親父がボヤく気持ちがすごくわかった!

 みんな目を開けて無言状態だから、マジでスベった感しかねーんだもん。


 もうね、『何やってんだこいつ?』って顔で見られてるような感じ?

 でもそろそろいいだろ!この空気は耐えられん。



「いやもう無理。スベった状態で放置されるのはキツすぎる!」



 宇宙刑事のボヤキにより、ファンの子達が現実世界に帰って来た。



「シャアリバーンの変身ムービー超かっけえーーーーーーーーーー!!」

「サイダーも凄かったが、こっちもド迫力だったな!」

「最初、炎がぶわーーーってなってたぞオイ!」

「おい小烏丸!今のは一体何だ!?」

「なんか男の人の歌が聞こえたんだけど!!」

「にゃはははははは!メチャメチャ格好良かったにゃ!」

「これも凄かったわね~!」



 観客が騒ぎ始めたので、スベったわけではないんだと少しホッとした。

 しかし歓声が大きければ大きいほど、体がムズムズしてくる。



 ・・・俺もめっちゃムービーが見てえぞ!!


 

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[一言] シャリバンキター(゜∀゜ 三 ゜∀゜)
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