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71 有望株

 支援魔法をかけるには、対象者に魔法を受け入れてもらう必要があるらしい。すなわち、訓練場にいる全員に魔法をかける場合は、全員に受け入れてもらわなきゃならないのだ。


「おーい!みんな聞いてくれ!」


 全員に聞こえるように大声で呼び掛ける。


「今からルルが支援魔法をかけるので、みんな魔法を受け入れてくれ。支援魔法というモノは、魔法を受け入れてない人には弾かれるそうなんだ」


「身体能力上昇の魔法をかけますので、みなさんよろしくお願いします!」



 よし、全員こっちに注目したな。



「身体能力上昇!」



 訓練場に広がる魔力を感じ、ルルの支援魔法がみんなに降り注いだのがわかった。



「じゃあ、訓練を再開して違いを確かめて欲しい」

「「はーい」」



 それぞれがまた訓練を再開する。


 おおっ!明らかに全員の動きが変わったぞ。

 でもルーシーだけ別格の動きだな。使用するMP量で効果が違うらしいから、ソロで支援を受けた方が多くMPを注ぎ込めるんで、その分効果も大きくなると。


「うわ~!これが支援魔法!」

「凄いね!」

「また小烏丸が何かやったのかしら?」

「そんな感じよね。彼が現れてから、みんなどんどん強くなってくわ!」

「次の戦いが楽しみね!」


 みんな支援魔法を体感出来ているようだな。実験は成功だ。


「ルル、成功だ」

「すごい!本当に、全員に支援魔法がかかったよ!間違いなく魔法の範囲が拡大されています!」


 戦場で味方全員を支援するには、もうワンランク範囲を広げるべきだろう。

 これは絶対に、丸1日費やしてでも魔法範囲拡大を+にするべきだな。


「ルル、魔法範囲拡大の指輪を指から外してくれ。もっと強力な付与をして、更に範囲を拡大しよう」

「わかりました」


 ルルから指輪を受け取った。

 さあて、また作業部屋に籠るとしますか。






 ************************************************************






 付与を開始して5時間、魔法範囲拡大が+になった。

 今までなら倍以上の時間がかかっていたので、指輪ブーストの効果は本当にすごいぞ!これなら服に最強付与を施したとしても、半月かからないかもしれない。


 訓練場に行き、ルルに指輪を渡した。

 次の戦いでは大いに役立ってくれることだろう。


 ところでこの訓練場なんだけど、領主の館の地下にある小規模なモノなので、全員がココで訓練をするのは無理なのだ。

 なので、新しく軍に入った男達の大半は外で訓練をしている。



 その様子を見る為に、外の訓練場へと向かった。




 ・・・・・




「刀は普通の剣とは違うんだ。叩きつけるのではなく、引きながら斬る!」


 外では、ミスフィートさんが直々に指導をしていた。


「引きながらといっても難しく考える必要は無いぞ。円の軌道で滑らせるように斬るんだ。そうする事によって、その斬れ味は凄まじいモノになるからな!」


 ココにいる男達が成長すれば、ミスフィート軍は格段に強くなるだろう。

 とはいえ、あまり大活躍されても、恩賞で何を渡していいか悩むんだけどね。



「鉱山組の強さはどうですか?」


 俺の声に気付いて、ミスフィートさんが振り返った。


「お?小烏丸も訓練を見に来たのか!やはりルーサイアで集めた新兵と比べても全然良い動きだぞ!ドワーフ達以外にも、いきなり戦力になりそうなのが何人かいる」

「へーーーー!」

「まずはあそこにいるライアンだ。体が大きいだけあって非常に力がある」


 なるほど、確かに物凄いパワーを秘めているのが伺える。


「次に良いのが、あの端っこにいるボヤッキーだ」

「ブホッ!!」

「ん?」

「くフッ、ゴホン、いえ、何でもありません」


 ボヤッキーだと!?そんなん笑うって!!人の名前で笑うのは失礼だと思うけど、こんなんしゃーないやん!


「とにかく機敏で、それでいてスタミナもある。で、最後にもう1人、ルシオを推したい。そこの金髪の若者なのだが、格別剣が上手いとかではないのだけども、とにかく努力家なんだ」


 お?ルシオって、足を引き摺っていた男じゃないか。

 鉱山組を軍に誘う為に必死で弁舌し、最初に聖水を使ってもらったあの男だ。


 早速ミスフィートさんの御眼鏡に適うとは、なかなかやるね。



「よう、ルシオ!頑張ってるじゃないか」


「あ、小烏丸さん!えーと、僕って名前言いました?」

「いや、今ミスフィートさんに聞いたんだ。結構期待されているようだから、努力を怠らなければ、いずれは出世できるかもしれないぞ!」

「出世・・・、いえ、僕なんてまだまだですよ!」

「まあ、ずっと軍にいる女性達なんかは本当にみんな強いしな~。とにかく戦争で死なないよう必死に強くなれ!生き続けるだけで、その経験の全てが己の糧となる」

「はいっ!」


 ミスフィートさんが気に掛ける気持ちが良くわかる。

 努力家で素直な性格だ。もう少し刀が使えるようになったら、俺が直々に抜刀術を叩きこもう。



「ミスフィートさん、ルルの支援魔法がとんでもなく強化されたので、次の戦いできっと彼女は大活躍しますよ!」

「本当か!!支援魔法とは、非常に有り難い援護になるな」

「ついでに軍の女性達の魔法も強化しようと思ったのですが、残念ながら魔法のレベルを上げている人がほとんどいませんでした」

「だろうな。杖の無い魔法使いなんかより、剣の腕を磨く方が効果的だ」

「ですよね~。魔法使いを一から育てるくらいならば、エルフを探した方が良いかもしれませんね」

「あ、そういえばエルフではないが、門番が獣人を2人保護したらしいぞ?」

「マジっスか!?」



 獣人キターーーーーーーーー!!よし、早速会いに行こう!

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