685 宇宙人1号2号現る
ようやく魔法の検証が終わり、恒例のガチャタイムだ。
大広場にいたので、そのままガチャ部屋へと入った。
「あ、忘れてた!実は昨日夜伽の予定がキャンセルになってしまって、三人分の服の強化を終わらせたんだよ」
「ええええええええええ!?」
「夜伽が無くなっちゃったの?そんなの可哀相じゃない!」
「いや、俺のせいじゃないぞ!運悪く女の子の日になっちゃって、嫁に大泣きされちゃってさ・・・。こればかりはどうしようもないから予定日を変更したんだ」
「そういうことか!まあしゃーないわな」
「なるほど~、運が悪かったね」
「それで、服の強化が終わったですって!?」
「おう!」
三人分の衣装を床に並べた。
「やったーーーーーーーーーーーーーーー!」
「待ってたのよ!こんなに早く着られるようになるとは思ってなかったけど」
「くっ、相変わらず派手な衣装だ・・・。俺はそんなに待ってなかったぞ!!」
「早速着替えて来ようよ!」
「そうね!お義父さんはココで着替えるのよ?」
「俺は別に着替えなくてもいいんだが。まあでも折角だから着替えるか・・・」
グミとチェリンは服を抱えて隣の部屋へ着替えに行った。
もたもたしてると女性陣が帰って来てしまうので、親父も着替え始める。
「しかし本当に派手な着物だな~」
「でもコレが着心地良かったりもするんだ。意外と重くもねえし」
「あ、そうそう!足袋と草履を持って来てやったぞ!」
「気が利くじゃねえか!この前は靴下だったから少し違和感があったもんな」
「あと草鞋も用意したから、戦闘も出来るぞ!」
「この衣装を着たまま戦闘しろ・・・だと?」
親父が思ったよりも手慣れていて、チェリン達が戻る前に着替え終わった。
足袋と草履も装着して『意外と悪くねえなー』とか話していると、女子中学生と黒ナースに変身した二人がガチャ部屋に戻って来た。
「あーーーーーっ!殿がいるよ!!」
「あの変なカツラは着けていないわね」
「さすがにもうフル装備しなくたっていいだろ!」
「やっぱ新しい服に着替えると新鮮味があっていいな~」
『汚れない』『破けない』『匂いも付かない』と服が無敵すぎるのもあって、ミスフィート軍の恩賞組は基本的に着たきりスズメなんだけど、絶対に女性達は色んな服を着てみたかったハズなんだよ。
でもこうしてアリアダンジョンに自由に来られるようになったわけだし、少なくとも軍の精鋭達くらいは、ガチャで新しい服を手に入れさせてあげたいもんだ。
まだ虎徹さんに送迎を頼んでいる状態だから、完全に自由とは言えないけどね。
精鋭達を連れて派手に動くのは、俺が時空魔法を極めてからになるかな?
「さあ、ガチャるよーーーーー!!」
「そろそろ家具や小物なんかが欲しいわね」
「俺はとにかく普通の服が欲しいが、服だった時の恐怖心も半端ねえんだよな~」
「チャンスはあと1回だしな」
チェリンは『どんな服が出てもエロい』という事実を受け止めたようで、服以外に目が向いたみたいだな。
親父も服が出た時の緊張感が半端ないから、まずは使える物をいくつか出して心を落ち着かせたいところだろう。
グミはもう無敵状態だ。何が出ても喜びそうな感じ。
俺はぶっちゃけ欲しい物とかまったく無いので、ガチャ祭りには参加するけど、出たアイテムは三人にあげるつもりだ。
今はガチャよりも時空魔法のレベル上げに夢中なんだよね。
早くマジックバッグを作れるようにならなきゃだ!
そしていつもの順番でガチャを回し始めたのだが、キリが無いので結果だけ。
・グミ
[麦わら帽子]
[白いスニーカー]
[フルート]
[黄色い傘]
[超デッカイ板チョコ]
[白と水色のしましまハイソックス]
・チェリン
[紫色のレオタード]
[鞭]
[電卓]
[高級ベッド]
[猫耳カチューシャ]
[白いテーブル]
・親父
[黒い座椅子]
[真っ赤なビキニ]
[焼酎]
[三輪車]
[犬のリュック]
[豪華羽毛布団セット]
・小烏丸
[白いワンピース]
[黄色いメイド服]
[黒いドレス]
[アイドルの衣装]
[チアリーダーの衣装]
[黄色いポンポン]
今日は全員が良い引きを見せたような気がする。
親父は相変わらず変なのばっか当ててたけど、座椅子はすごく喜んでた。
「今日も大満足の結果だったよ!」
「私は最初怪しい流れだったけど、後半盛り返したかな?」
「俺は良いんだか悪いんだかよく分からん感じだ。しかし小烏丸、お前マジで女性服しか出ないんだな・・・」
「よくあんなに赤いカプセルばっかり出せるよね!!」
「全部女性服だったんでしょ?変な方向に神懸かってるわよね~」
「ポンポンが出たじゃん!」
「それはチアリーダーの衣装とセットで出た感じのヤツだろ」
俺ってガチャの引きだけは本当にいいんだけどな~。
しかしその全てが女性用だから、女性に献上することしか出来んのです!
「犬のリュックと赤いビキニはチェリンちゃんにやろう」
「いいの!?そのリュック可愛いなーって思ってたの!ビキニはいらないけど」
「やったね!私と並んで歩いたら犬と猫で絶対可愛いよ!」
「赤いビキニもセットだぞ!犬のリュックだけ受け取るのは禁止されている」
「誰に禁止されているのよ!?でもありがとう!ビキニはいらないけど」
親父が犬のリュックと赤いビキニをチェリンに渡した。
「俺も女性服がいっぱい出たから、二人に一着ずつやってもいいぞ~」
「ん~、でも小烏丸が当てた服って基本的に恩賞で渡す用なんだよね?」
「まあ基本的にはな。でもいっぱい出たし」
「それは小烏丸が持っていた方がいいわ。恩賞の服を狙ってる女性はまだまだ大勢いるのよ!それに私とグミなら自力で手に入れられるから」
「うん!頑張って自分で手に入れるよ!」
「・・・そうか。確かに俺の所持する服がイマイチだと恩賞で困ることになってしまうもんな」
「なるほど、ビキニはチェリンちゃんにやってしまったが、小烏丸に渡した方が良かったか」
「だから私はこんなのいらないってば!」
「「いや、それを返還することはもう不可能だ!」」
「何で声が揃ってるのよ!?」
だって赤いビキニだぞ?どう考えたってチェリンが持っているべきだろ!!
―――――腕時計を見ると、丁度約束の時間だった。
「喉が渇いたんで、ちょっと聖水飲んでくる」
「おう」
「は~い」
「いってら~」
そう言って、ガチャ部屋を出て虎徹さんの部屋に向かった。
「お、来たか!」
「すみません、待ちました?」
「いや、たった今来たばかりだ」
「良かった!じゃあ早速作戦を遂行しますか!」
「三人ともガチャ部屋か?」
「ですです」
「じゃあ行くぞーーーーー!!」
「オーーーーーーーーーー!!」
静かに2階層へ降りる階段がある部屋に移動し、宇宙人に変身した。
虎徹さんの合図でガチャ部屋に突撃する。
「「ウヴァアアアアアアアアアアアアアアア!!」」
「うわーーーーーーーーーーっ!」
「え?なに!?」
「何だ!?」
三人とも驚いて身構えたが、親父が何かに気付いた。
「・・・いやちょっと待て、今の声って小烏丸だろ!!」
それを聞いて、グミとチェリンもハッとした。
「絶対そうだ!小烏丸とコテツくんの声だ!!」
「メチャクチャ気持ち悪いんだけど!何なのよそれ!!」
正体に気付いた二人は腰に手を当ててプンプンだ。
「虎徹さん、バレましたぞ!!」
「うわはははははははははは!やっぱ声ですぐバレるな~」
まあバレてくれないと困るんだけどね。
とりあえず宇宙人ドッキリ作戦は大成功ってことで!




