64 論功行賞Ⅰ(2回目)
領主の館の大広間だと鉱山組の全員までは入りきらないので、今回は館前の広場で論功行賞が行われる。
ドワーフを含めた鉱山組には理由を説明して、彼らの出番は次回の論功行賞からだと納得させた。まあドワーフ以外は何もしとらんし、ドワーフにはすでに報酬を渡してあるからな。
パラゾン解放での兵士達の活躍をミスフィートさんから詳しく聞き、長い話し合いの結果、何人かの英雄が服を手にするのが決定した。
「これより論功行賞を始める!」
その一言で、騒がしかった広場が静まり返った。
「此度の戦いにより、1人の死者も出さずにパラゾンの街をジャバルグ軍の支配から解放する事が出来た。皆の活躍は本当に素晴らしかったぞ!」
圧倒的な勝利に、皆の顔も誇らしく見える。
「今回も前回同様、パラゾン解放の為に命を懸けて戦った一人一人に、金貨30枚が与えられる。そして特に活躍が目覚ましかった者達には、更なる特別な恩賞を与えよう!」
うん。ココまでは前回と大体同じ流れだな。
「カーラ!前へ!」
「・・・え?またアタシ!?」
呼ばれたカーラが数歩前へ出る。
「今回の戦いでもキミの活躍は飛び抜けていた。なので戦功第一位とし、金貨を更に20枚、そして今回は刀を授ける!」
「刀!?・・・でもいいの?いや、良いんですか?アタシは前回服を貰ってるし、他にも恩賞を貰うに値する働きをした人が何人もいますよ?」
「キミが一番活躍したのは間違いないからな。ただし服と刀を揃えた人は、しばらくの間金貨だけの恩賞となる。最終的に、全員に服が行き渡るようにせねばならんからな。それでもカーラに刀を与える理由は、次の戦いでもキミに獅子奮迅の活躍をして欲しいからだ」
カーラの表情が歓喜に変わる。
「わかりました!有難く頂戴いたします!」
カーラの前まで歩いて行き、箱から一振りの刀を取り出す。
[曼珠沙華]
:織田小烏丸作の刀。様々な付与魔法が込められている。評価S
:総ミスリル製。
:斬撃強化(強)斬撃速度強化(強)刺突強化(強)
:自動修復(中)衝撃耐性+++ 汚れ耐性+++
もうほとんど、ミスフィートさんの毘沙門天と変わらない性能だ。
ただしミスリル製なので、空き容量の不足で刺突速度強化はナシだ。
ミスフィートさんの毘沙門天は、尾張統一の後に魔改造する予定なので、それまでは我慢して使ってもらうしかない。
いや、本人は大満足してそうだから、我慢してるのは俺の方か・・・。
「す、凄い!!なんて美しい刀なの!?それに滅茶苦茶強い!!!」
「素晴らしいだろう?優れた鉱石で作った刀は、付与出来る魔法の数が増えるそうだ」
「けどコレは何て読むのですか?アタシ、字が得意じゃなくて・・・」
確かに字が得意でも読めないような字だしな。
「それは『まんじゅしゃげ』と読みます。伝説では天に咲く花、悪業を払うと言われている花の名前ですね」
「えーーーー!?凄く格好良い!!えーと、まんじゅしゃげ!よし、憶えた!」
「なあ小烏丸。私の刀はなんて読むのだ?実は私も意味がわかってないのだ」
「ああ、ミスフィートさんの刀の名前は『びしゃもんてん』と読みます。戦いの神様、武神の名前ですよ」
「武神!!実に格好良いじゃないか!そうか、びしゃもんてん、よし、憶えた!」
「ハハハッ!」
「では、その刀に恥じないような活躍を期待する!」
「ありがたき幸せ!」
カーラはホクホク顔で列に戻って行った。
「次。チェリン!前へ」
「やった!私なのね!?あ、ゴホン。すいません!」
「ワハハハ!しっかりしろよっ!」
「気持ちはわかるわ!」
チェリンが数歩前へ出る。
「今回のキミの活躍も実に見事だった。よって戦功第二位とし、金貨を更に15枚、そして服を授ける」
「ありがたき幸せ!」
チェリンの前まで歩いて行き、箱から一着の服を取り出す。
チェリンは姉御肌で皆をグイグイ引っ張って行くタイプだ。
綺麗系でいて豪快な剣を振るう。そんな彼女に似合う服はこれだろう。
[女海賊の衣装(黒+赤)]
:謎の化学繊維で作られた服。付与魔法が込められている。評価S
:斬撃耐性++ 刺突耐性++ 衝撃耐性++ 魔法耐性++ 炎耐性++
熱耐性++ 冷気耐性++ 汚れ耐性++ 精神耐性++
:自動修復(中)サイズ自動調節 防水機能 消臭脱臭機能
上着は黒、下はクリムゾンレッドのスカートで、胸元から腰の辺りは金でゴージャス感を出している服だ。そして黒いブーツと、黒と金のふにゃっとした海賊っぽい帽子がセットになっている。
まあこれはセットボーナスが無いので、着用するかどうかは本人次第だけどね。
「ふあああああ!格好良いだけじゃなくて、なんて優雅な・・・」
よし!好感触っぽいな。
結構悩んで決めたんだが、チョイスは間違っていなかった。
「次の戦いでも期待しているぞ」
「ハッ!もうすでに、とてもやる気が漲ってます!次も任せて下さい!」
「次は2人だ。リタとリナ!前へ」
「「ハッ!」」
さすが双子の姉妹、息がピッタリだ。
「デロイアとの戦いで見せた、キミ達2人の見事な連携には感服した!リタとリナを戦功第三位、第四位とし、金貨を更に12枚、そして服を授ける」
「「ありがたき幸せ!」」
リタとリナの前まで歩いて行き、箱から二着の服を取り出す。
この2人は綺麗系か可愛い系かというと、どちらともとれるタイプ。
不思議系な性格で、何が好きなのか正直さっぱりわからなかった。
双子故にそれぞれタイプの違う服を渡すと、片方が不満という可能性が高いと判断。そして丁度良いことに、同じタイプの色違いを所持していたのもあってこれに決めた。
[パーティードレス(薄紫)]
:謎の化学繊維で作られた服。付与魔法が込められている。評価S
:斬撃耐性++ 刺突耐性++ 衝撃耐性++ 魔法耐性++ 炎耐性++
熱耐性++ 冷気耐性++ 汚れ耐性++ 精神耐性++
:自動修復(中)サイズ自動調節 防水機能 消臭脱臭機能
[パーティードレス(ピンク)]
:謎の化学繊維で作られた服。付与魔法が込められている。評価S
:斬撃耐性++ 刺突耐性++ 衝撃耐性++ 魔法耐性++ 炎耐性++
熱耐性++ 冷気耐性++ 汚れ耐性++ 精神耐性++
:自動修復(中)サイズ自動調節 防水機能 消臭脱臭機能
「「・・・・・・・・・・・・」」
ドレスを見た2人の目がキラキラしている。
よし!賭けに勝ったな。
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