62 俺はロリコンではない
ジャバルグ軍との戦闘で重傷者が出たと聞き、楽観的な気分が一瞬で吹き飛んだ。
「と言っても、すぐに聖水をぶっかけたから今はピンピンしてるぞ」
「うおおお、ビックリしたー!そうか、みんなに聖水持たせといて良かった!」
「聖水ってのは本当に素晴らしいな!即死さえしなければ命が助かるのだから」
もはや軍の皆は身内みたいなもんだからな。俺はもう誰一人として死なせたくない。それに元々ジャバルグ軍とは兵の数が違いすぎるから、1人でも欠けるとダメージが非常に大きいんだ。
ダンジョンから聖水を持って来て本当に良かった。三河の二人に感謝を!
今はまだストックがあるから大丈夫だけど、尾張を統一したら虎徹さんに頼んで、またダンジョンに連れてってもらおう。聖水も欲しいけど、食料も補充したいんだよね。
「パラゾンの守りはどうなってるのです?」
「カーラ達、十数名を残して来た。論功行賞の日には呼び寄せるぞ」
「なるほど。また何人か服を手に出来ますね!」
「だな!後でその事について話し合おう」
「了解です」
鉱山組は今回はナシでいいよな?戦闘に参加したのはドワーフ達だけだし、そのドワーフにはすでに俺から報酬を渡してある。
あと男性が大量に増えたのはいいけど、俺は男性服の運が壊滅的なんで、男性陣が手柄を上げた時の恩賞に困りそうなんだよな。そもそも男用の服が余ってるくらいなら俺が着てるっつーの!
「とりあえず、ルルとララを部屋に案内しよう。まずは掃除をしないとな」
「ですね」
「ボク達に部屋を頂けるんですか!?」
「そうだ。2人一緒の部屋になるが、問題無いだろう?」
「大丈夫です!むしろ一緒がいいです!」
「なら決まりだ」
「ララ、部屋がもらえるよ!良かったね!」
「うん!」
ということで彼女達の部屋へ移動した。
「まだ領主の館に部屋が余ってたんですね」
「ああ。早いとこ家を確保しようって事で、みんな近隣の建物に住居を移して行ってるからな。住民が増える前に良い場所を押さえるってのは賢い選択だ」
「なるほど・・・。俺も建物を一つ押さえとこうかな?」
「小烏丸には相談事が多いので出来れば此処に住んでもらいたいが、建物を押さえるってのはやっといた方が良いと思うぞ」
「そうですね。普段はココで暮らしますが、将来店を出したりもしたいから一等地をゲットしよう!」
話しながらみんなで部屋の掃除をしているのだが、そろそろ綺麗になったので二つのベッドにそれぞれ毛皮を敷いた。
「うわ~~~!綺麗な毛皮!」
「ふわふわー!」
「小烏丸の毛皮は素晴らしいぞ!とても柔らかくて、寝転がったらすぐに寝てしまうのだ」
「ミスフィートさんは、ホント一瞬で寝ましたもんね」
部屋が使える状態になったので、みんなで夕食を食べた後、俺も自分の部屋に帰って眠りについた。さすがに今日は疲れたからな~。
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ルルとララは、軍に入ったというよりも軍で保護した状態ではあるが、ルルが同胞を探したりするのにやはり武力は必要だ。
ルルは、女性達と一緒に訓練場へ向かった。
ただそうなると、ララだけ退屈になってしまって寂しそうだったので、手持無沙汰だった俺が遊んであげることにした。
リュックから紙を取り出し、ララに折り紙を教えてみる。
うーむ・・・、それにしてもエルフの幼女って、有り得んほど可愛いな。
当然ルルも可愛いのだが、ララの可愛さは天元突破しておる。
「できたー!」
「すごいじゃないか!ララは賢いな」
・・・ん?
自分で言っといてなんだが、どこかで聞いたことあるようなセリフだ。
まあよい、次は何を作ろうか・・・。
ニコニコしているララを見ていると、一つの欲求が出てきた。
―――ララをもっと可愛くしたい。
幸いにも俺は、幼児用の衣装を持っていたハズだ。
しかし、みんなには褒美として与えているモノを、気軽に着せて良いのだろうか?
『構わん。やれ』
なぜか清光さんの声が聞こえたのでココは従うべきだろう。(※当然幻聴である)
リュックから箱を取り出し、目当ての服を取り出す。
コレは幼稚園児の制服なんだけど、白いブラウスと水色のスカートという組み合わせで、同じく水色のサスペンダーが付いている。そして胸元には大きなリボン。
これだけでも可愛いのに、園児らしく黄色い帽子もセットだ。
こんなん着せたら、どう考えてもスペシャル可愛くなるに決まってるだろ!
「ララは良い子なので、可愛い服をあげよう」
「ふく?」
この男、どこからどう見ても不審者である。
「ほら、この服だ!可愛いだろ?」
「わああああ~~~!」
「可愛い服に着替えてお姉ちゃんを驚かせよう!」
「うん!」
というワケで、早速ララを幼稚園児にモデルチェンジだ!
・・・・・
ツー
ヤバイ・・・、こいつはマジでヤバイ。
想像していた可愛いを、遥かに超越しおったわ・・・。
イカン、鼻血が!
いや、違う!誤解するなよ?俺は断じてロリコンではない!
これはだな、そう、花を愛でるような心だ。
「おにいちゃん、どう?」
ブハッ!
お、お兄ちゃんだと!?これはイカン!萌え死してしまう!
溢れ出る鼻血を止めるため、鼻に布の切れ端を詰めながら冷静に対応する。
「あ、ああ。すごく似合ってるぞ!お姉ちゃんも驚くこと間違いナシだ!」
しかし、何かが足りてない気がする・・・、あっ!黄色いポシェットか!
でもさすがにそれは持ってなかったよな。何か良いモノはないか!?
マジックバッグの中を漁っていると、素晴らしいブツを発見した。
そう。赤いランドセルだ!!




