51 魔道具作り
魔道具作り。
正直コイツは頭を使うので結構難しい。が、やはり作ることは可能だった!
まず最初に鉄で小型の箱を作り、火を生み出せないかと付与してみた所、火生成というモノが付与された。
しかし魔石からエネルギーの供給が無ければ、火は生成されない。
なので次に、魔石を入れる箱を作ってから、火生成箱に魔力が通るように、魔石の箱から火生成箱に回路を作って繋げてみた。
そして魔石をセットしてしばらく待機してたのだが、なぜか全く反応が無い。
それから1時間ほど色々試してみた。
鉄じゃ魔石のエネルギーが伝導されないのか?と思い、何となく回路に俺の魔力を通してみたら、今度は上手く行って箱の中に火が生成された。
これでようやく魔道具作りの基本ってのがわかった気がする。
威力が弱いのが気になったので魔石を見てみると、俺が使ってたのは水属性の魔石というイージーミスだった模様。
ちゃんと魔石の属性を合わせると、威力は数倍に跳ね上がった。
まあすなわち、どんな属性の魔石でも電池代わりにはなるってことだな。
次も同じように箱を作り、風生成を付与してから魔石を繋げると、箱の中に風が生まれた。ただちょっと威力が強すぎるので、回路を細くしたりして出力を調整する。
ここまで来るともう、ドライヤーを作るのは楽勝だろう。
毎日使ってたドライヤーの形くらいはさすがに覚えているので、鉄を変形させてボディーを作り、さっき作った装置を嵌め込むだけだ。
まあ後は手で持つ部分にレバーを付けて、上にスライドさせた時に、魔石から火生成機・風生成機へと道が繋がるようにするだけかな?
あとはレバーを下げた時に回路を遮断すれば、スイッチオフになるハズだ。
ただ、風はともかく火生成は正直危険だったので、火生成は却下して熱生成に改良した。
なかなか苦労したけど、ようやくこの世界にもドライヤーが誕生したぞ!
楽しくなってきたので、続けて冷蔵庫を作った。
これは思った通り楽勝で、デカい箱に冷気生成を付与するだけで良かった。
冷蔵庫は常時冷やし続けることだけが重要なので、スイッチすら必要無いのだ。
問題は魔石のエネルギーがどれほど持つのかだが、これは実際にエネルギーが無くなるまで確認は出来ないな。
ココまで来るともう、コレも作るしかないだろ!ってことで冷凍庫も作ってみたんだけど、意外にもコイツには少し難儀した。
冷気生成だと凍るほど冷えない。なので氷生成を付与してみると、今度は箱の中が凍っていき、びっしり氷になってしまった。
こりゃいかんと悩んだ結果、氷生成は却下。
冷気生成の威力を上げれば成功するかもと、ダンジョン産の水属性魔石(小)を使用してみると、丁度良い感じに冷気の出力が強くなり、無事冷凍庫が完成した。
ちなみに魔石(小)と言っても、尾張で手に入る魔石よりも大きいので、魔石(小)って呼ぶのは非常に違和感があるんだよなー。やっぱり規格は統一しなきゃダメですよ!
ただ、ダンジョンの魔石が残り4個しか無いので、今度虎徹さんに売ってもらおうと思う。こんなことなら、もっとダンジョン魔石を残しておくんだった!
魔道具を量産して、三河と取引するってのもアリかな?
よーし、みんなに魔道具のお披露目をしに行こう!
・・・・・
「ミスフィートさん!コレを見て下さい!」
「どうした?何か変な物を持ってきたようだが」
とりあえずミスフィートさんの部屋に来てみたんだけど、彼女お風呂上りのようで、髪がしっとりと濡れていた。
超グッドタイミングじゃないか!
「これはドライヤーと言って、髪の毛を乾かす魔道具です」
「魔道具!?小烏丸が作ったのか?」
「今さっき完成しました。使ってみますので、じっと座ってて下さいね」
「わ、わかった!」
ブオーーーッ
「おお!?頭に風が当たってるぞ!しかも温かい風だ!」
ミスフィートさんの髪を、わしゃわしゃしながら乾かしていく。
その後はブラシを使って、きちんとヘアーを整えながら乾かし終えた。
「終了です!」
「もう終わりなのか?すごく気持ちよかったから、もう少しやってくれても良かったのに」
「髪の毛を乾かすための道具ですからねえ。乾いたら終わりなのです」
ミスフィートさんの前に鏡を置く。
「おお!本当に髪が乾いてるじゃないか!これは凄い魔道具だな!」
「でしょう?」
「私も使ってみていいか?」
「いや、もうすっかり乾いてるじゃないですか」
「う~~~、んじゃ他の人を乾かす!」
「ハハハッ!じゃあ風呂上りの人を見つけましょう!」
鏡とブラシを持って、2人で風呂上がりの人探しだ!
「風呂上り発見!おーい、ルーシー!」
「あれ?隊長じゃないっスか。ウチになんか用事っスか?」
「その感じは風呂上りだろう?」
「そうっスよ。夕食まで部屋の掃除をする予定だったんスけど」
「フフ~ン!じゃあ一緒に部屋について行って、私が髪を乾かしてやろう!」
「髪を乾かして??」
頭に?を浮かべるルーシーについて行き、彼女の部屋に入った。
「よし、じゃあ椅子に座ってくれ」
「えええ?ま、まあいいっスけど・・・」
「じゃあ、始めるからなっ!」
ブオーーーッ
「ふぁっ!?なんか頭に風が当たってる!」
「どうだ?凄いだろう!」
ミスフィートさんが、ルーシーの髪をわしゃわしゃと乾かしていく。
それにしても、俺が一緒に来た意味って無くねえか?
ミスフィートさんにブラシを渡した。
「なるほど。乾かしながらブラシ?で整えていくんだな」
「はぁ~、コレむっちゃ気持ち良いっス!」
「だろう?」
そして乾かし終えたようなので、ルーシーの前に鏡を置いた。
「ひょーー!!髪型がいい感じに整ってる!」
「うむ。ドラヤキは素晴らしいのだ!」
「ミスフィートさん、どら焼きじゃなくてドライヤーですよ!」
「あれ?どらいやーか!」
天然すぎる間違いをするとは流石だ。この世界にどら焼きは無さそうだけど。
「この魔道具は絶対にみんな喜ぶぞ!」
「うん、間違いないッス!」
まあそのつもりで作ったからね。ただ、1個じゃ足りんだろうから量産しとくか




