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50 シャンプーを作ろう

 お風呂の解禁日ということで、シャンプー、リンス、ボディーシャンプーなどを、とりあえず全員に使ってもらった。


 もちろんすごく好評で、シャンプー作りは急務となった。

 俺が持っている分量など、この人数で使えばすぐに枯渇するからな。


 最初は貝殻や石灰から石鹸を作ることを考えていたのだが、この世界にはもっと良い物があった。

『泡草』と呼ばれてる植物なんだが、その植物はその辺にいっぱい生えていて、それを水に入れて振るだけで泡が立つのだ。普段はみんなそれを使って手を洗ったりしているらしい。


 なので、非常に面倒くさい思いをしてまで石鹸を作る必要は無い。

 泡草を使って出来た水に精油を入れるだけである。

 本当はハチミツを入れたい所なんだけど、こんな腐った国でミツバチを捕まえてる余裕のある人などは皆無だろうから、ハチミツの入手にはハチの捕獲からスタートってことになる。

 まあハチミツの方は、仕事の無い民衆に地味に作らせ始めよう。

 なので、今のルーサイアでも普通に手に入る植物油を使って、シャンプーを作ることにした。




 ・・・・・




 シャンプー作りの為、領主の館の広い部屋に興味のある人を全員集めた。



「泡草で泡立てた水に油を入れて、それを混ぜ合わせるだけで十分だと思いますね」

「結構簡単なんだな」

「ただ俺もこの作り方は初めてなので、油の分量はわかりません。色々試して最適な量を探しましょう」


 それぞれが器に自分用のシャンプーを作る。


「そのままだとみんな同じ草の香りになるので、好きな匂いのする香料を入れると良いでしょう」


「香料かあ・・・」

「胡椒とか?」

「それは香辛料よ!」


「えーとですね、器に花びらなどを入れて、お湯を注ぐんです。その後花びらを取り出せば、花の香りだけがお湯に残ります。すなわち、そのお湯を使ってシャンプーを作るワケです」


「「おおおーーー!」」


「ただ一つだけ問題がありまして、それはリンスを作るのに酸っぱい果物を使用することなんですよ。リンスの作り方は非常に簡単で、お湯に酸っぱい果物の汁を入れるだけなんだけど、良い香りのシャンプーを使っても、その後果物の匂いになってしまうというワケです」

「うーむ・・・、ままならないもんだな」

「まあそこは今の所、果物の汁を減らすとかで対処するしか無いですね」



 とにかくやってみれば色々わかるので、それぞれ一度作ってみることにした。



 ・・・・・



「よーし!早速お風呂に行って使ってみるぞ!」

「髪が果物の匂いになっても、香料入りの泡草で体を洗えば、とりあえず良い香りよね?」

「まあ色々試してみましょうよ!」


 すぐにでも試したい女性陣が、我先にとお風呂へ向かった。

 人数が非常に多いので、かなりの順番待ちになるけどしょうがない。

 俺は最後だなーとか考えながら、服に付与魔法をかけ始めた。




「わ~!ナターシャすごく良い香りね!」

「デラントの花を使ったのよ。これは当たりね」



 女の子達がパラパラとお風呂から帰って来た。


 自分で用意した花のエキスを使ったシャンプーなので、それぞれの個性が出て良い感じだと思う。後はシャンプー効果で、髪が乾いた時にしっとりと綺麗になるかだな。


 そういやドライヤーって作れないモノだろか?


 魔道具を作る人って絶対付与魔法使いだと思うんだよね。

 ドライヤーの構造は単純で、温かい風を送るだけ。

 まだ武器や防具を作ることしか試してないから、魔道具作りにチャレンジしてみるのも悪くないよな?


 だが重要なことに気付く。


「しまった。魔石がねえ・・・」


「ん?小烏丸くん、魔石が欲しいの?」


 あ、独り言を聞かれてしまった。


「ああ、魔道具を作ろうか考えてたんだけど、それには魔石が必要なんだよね」

「魔道具を作れるの?」

「んーーー、たぶん?俺、付与魔法使いだからさ」

「あー、そっか!えーと魔石なら厨房に行けばあると思うよ?魔物を解体した時に中から出てくるから」

「なるほど!情報ありがとう、ちょっと厨房行って来るよ」

「がんばってね~」


 なんだ、自分で集めなくても簡単に手に入るじゃん!

 まだ何も無いこんな街じゃ、魔石なんてただのゴミだもんな。



「あら?小烏丸くんじゃない。お腹空いたの?」


 今日の料理当番はフローラか。


「いや、まあ、腹が減ってないこともないけど、今は違う理由で来たんだ。魔石って無い?」

「魔石?ああ、魔物から出てくる石ね?んー・・・、あるにはあるけど生ゴミと一緒に捨てられてるから、内臓とかでぐちゃぐちゃよ?」

「ぐおおお、それはキツいな・・・。魔石が欲しいだけなのに、血みどろになるってのはリスクが大きすぎる!」

「そうね。でも魔石なんて何に使うのさ?」

「魔道具を作ってみようと思ったんだ」

「魔道具?そういえば、そんな便利な道具があるとは聞いた事あるけど」


「んじゃさ、次の解体の時からでいいんで、これからは魔石を取っといてくれないかな?」

「わかったわ。みんなにも言っとく」


 マジックバッグから、巨大なドラゴン肉の塊を取り出す。


「お礼と言っちゃなんだが、今日はこのドラゴン肉を使って料理を作ってくれ」

「わあああ~~~!こんなに!!い、いいの?」

「あ、そうだ。調味料もあった方が良いよな」


 マジックバッグから、塩を30袋、胡椒を10個取り出しテーブルに置いた。

 醤油や味噌も大量にあるのだが、そっちはまず使い方を教えなきゃならん。


「え?これ・・・、全部塩なの!?」

「塩の袋が30個と、こっちのビンは胡椒だ。肉の味付けに使ってくれ」

「なんて綺麗な塩なの!!それに胡椒までこんなにいっぱい!」

「んじゃ、今晩の料理は期待してるよ!」



 思えばもっと早くに調味料を渡しとくんだった。

 忙しくてまったく思いつかなかったとは、マジで一生の不覚!

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