48 衣装のお披露目
新しい衣装に着替えた3人を連れて、大広間に戻って来た。
3人にはドアの外で待っててもらい、ミスフィートさんに3人が着替え終わったことを伝える。
「もう完璧です。3人共見違えるほど美しくなりました」
「そうか!カーラ、カトレア、セーラ、入って来てくれ」
3人が大広間へゆったりと歩いて入って来た。
「「・・・・・・・・・・・・」」
その美しい姿に大広間は静まり返る。
「「わあああああああああーーーー!!!」」
「す、すごい!なんて綺麗なの!?」
「あれが恩賞・・・」
「すごいすごい!私もいつかあんな服が着られるのね!」
そして大歓声に包まれた。
「3人共、凄く綺麗になったな!」
「ありがとうございます!」
「こんな素晴らしい服が貰えるなんて・・・」
「わたし、変じゃない?」
「とても可愛らしいぞ!」
お披露目は大成功だろう。この3人はモチベーションが上がって今以上の活躍をしてくれるだろうし、今回服を貰えなかった人達も、次は自分の番だと必死に頑張るハズ。
「皆に一つ素晴らしい提案がある」
ミスフィートさんの一言で、場が静まり返る。
「次の論功行賞で恩賞の服を手に入れられるのは、大体3人から5人程度と考えてくれ。ただそれだと、全員に服が行き渡るまでかなりの日数が必要になる。なので待ちきれない人は、自分で服を自作するのも面白いと思わんか?」
これは事前にミスフィートさんと話し合って決めた作戦。
「問題は、普通の服じゃ防御力が無いという所なのだが、金貨10枚を小烏丸に支払い、付与魔法をかけてもらうんだ。その場合、恩賞の服ほどの性能は無理だが、今着てる服と同じ防御力までならば強化する事が出来る」
本当は無料で付与してあげたいのだが、一着の服を仕上げるのに数時間はかかるからな。さすがの俺もボランティアで付与し続けるのは無理だ。
「問題は布をどうやって手に入れるのかだが、私はルーサイアを衣類に特化した街にしようと考えている。街の住人には布を作る仕事を多く与え、誰もがお洒落な服を着て歩く、そんな夢のある街にするつもりだ」
「それは素晴らしいわ!」
「わあああああ!すごく楽しみ!!」
「そうか!服が無いなら作ればいいのか!」
「そういう事で、今回の論功行賞はこれで終了とする!住民を豊かにする為、綺麗な布を作らせる為、これから忙しくなるぞ!」
これにて初めての論功行賞は終わった。
軍のみんなが野望に燃えあがったのを見て、俺は作戦の成功を確信した。
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「なにィ!?この館には風呂があるのか!!」
「うむ。ここ数日は忙しくて、みんなそれどころじゃなかったからな。先ほどお湯を張ったばかりだ」
「なんと素晴らしい!後で俺も使っていいですか?」
「後からだとむしろ混雑して使えなくなるだろうから、今すぐ入るといい。我が軍は女性ばかりなので、男性が風呂を使う順番は最初か最後になってしまうのだ」
あーそっか。確かにそうなるよな・・・。
「じゃあ先に使わせてもらいます!」
「ゆっくり入って来るといい」
よっしゃーーー!久々の風呂だ!ダンジョンでは聖水風呂だったし、湯船に浸かるのなんていつ以来だよ?今を逃したら50人待ちとかになっちまうしな。お先に失礼するぜ!
・・・・・
カポーン
ああ~、マジで最高だ・・・。風呂ってこんなに気持ちいいモノだったんだな。
ゆったりした時間ってのも久々だ。ココに来てからずっと戦準備で忙しかったから。
「湯加減はどうだ?」
「最高ですね!・・・・・・は?」
声の方角を見ると、裸のミスフィートさんがそこにいた。
「え?ちょっ、何で入って来てるんスか!」
「小烏丸が一番の功績なのに恩賞を渡せなかったからな。せめて背中でも流してやろうと思ったのだ」
いや、嬉しいけど!!嬉しいけど、・・・え?いいの!?
「アタシ達も背中を流してやるよ!」
「お手伝いします」
「やっぱり恥ずかしいよお~」
「ブホッ!!な、なんでさっきの3人まで!?」
「いいじゃん!どうせさっき裸を見られてるんだ。一緒に入ろうぜ!」
な、何なんだ!?このいきなりのハーレム状態は!!
ヤバイ、鼻血が噴き出しそうだ・・・。
「ほら小烏丸、この椅子に腰掛けるんだ。私が洗ってやろう」
「ちょ、ちょっと待って!今はマズい。親不孝な我が愚息がですね・・・」
「いいからほらっ!」
強引に椅子に座らされた。
「じゃあまずは髪から洗おう」
髪・・・、あ、そうだ。
「ミスフィートさん!髪を洗うのに良い道具があるのですよ。シャンプーといいまして。ほら、コレです」
「なんだ?この入れ物は」
「このポンプの下に手を出してですね、上から数回押すんです。こうやって」
「おお!なんか出て来たぞ!?」
「それを髪につけて洗うと、すごく綺麗な髪になるんです」
「わかった。任せておけ!」
ミスフィートさんに、頭をわしゃわしゃ洗われる。
他人に洗ってもらうのって、なんて気持ちが良いのだろう・・・。
俺だけ恩賞が無い?とんでもねえ!こんなご褒美があるなら俺は死ぬ気で戦える!