434 爆炎一夜十代目総長ケン
瞬く間に俺達はツッパリの集団に取り囲まれた。
結局女の子2人も、買い物に行く前に巻き込まれた形となってしまったか。
「・・・5人くらいって言ってなかったか?」
「おいおいおい!テメーら数も数えられねえのかよ!!」
「え?あ、いや、さっきより増えてるんだよ!」
「つーか幼女とかも混ざってるんだが?お前らまさか幼女に負けたんじゃねえだろうな?」
「幼女に負けっかよふざけんな!!えーと、ホラ、そこの三人だ!それと植物マスク!!」
だから植物マスクって言うのやめろや!それに俺はまったく手を出してねえぞ~。
「とにかく場所変えっぞ。ねーちゃんら、俺らについて来いや!」
「逃げんじゃねえゾ?」
「えええええええええええ!?アタシ達無関係なんですけど!!」
「ちょ、ちょっと待ってよ!マイコ、何なのコレ!?」
ツッパリ達が俺らに背を向けて、裏路地に入って行く。
あ、戻って来た。
「ついて来いっつってんだろが!!」
「知るかよバーーーカ。なんであたいらがついて行く必要があんだよ?」
「こんな場所で暴れたら兵士を呼ばれるからに決まってんだろボケ!!」
「あ?さっきも街中で絡んで来たじゃねえか。なんで最初のは良くて今回は駄目なんだ?」
「はあ!?」
それを聞いた茶髪の男が包帯男の方を見た。
「お前ら街ん中で喧嘩吹っ掛けたのか!?」
「違うッッ!俺らにガン飛ばしてる奴らがいたからよぅ、ちとシメてやろうと近寄っただけだ!先に手を出したのはコイツらの方だ!!」
「ぬ・・・、なら悪いのは女共の方なのか??」
「あ”?目の前に寄って来て『ぶち殺す』とか言われたら普通ぶん殴るだろ!」
「むむむ、確かに・・・、あっケンちゃん!!」
茶髪の視線の方向を見ると、喧嘩慣れしてそうなパンチパーマの男がこっちに歩いて来ていた。
アレが噂のケンちゃんか。うーむ、顔は強そうではあるが・・・。
「ウチのもんをボコったってのはお前ら?」
「へ~~~。ああ、包帯の奴らなら殴っといたぜ!殺すとか言われたからな」
ケンちゃんがこっちのメンバーを見渡した。
「女子供じゃねえか。一応聞いとくが、お前らどこのチームのもんだ?」
「チーム?ああ、さっき聞いた六道椿とか爆炎一夜とか?よく分からんけどそういうのとは無関係だぜ。ただの通りすがりだ」
ガンッ!
「げはッ!」
ケンちゃんが包帯男をぶん殴った。
「堅気じゃねえか!!」
「はあああ?嘘だろ!?」
「俺、堅気のパンチ一発で気絶したんスけど・・・」
「こっちの女の膝蹴りも強烈だったぞ!?」
「あ~、確かに堅気つっても兵士に近い職業くせえな。こんなヤバそうな空気纏った連中に喧嘩売ってんじゃねえよバカタレが!!」
ほ~~~!このケンって奴、チームの頭やってるだけのことはあるな。
誰彼構わず喧嘩吹っ掛けてるわけじゃ無さそうだ。
日本の暴走族が街でヤクザを見分ける感じに近いのかもしれんな、
揉め事起こしてから実は相手がヤクザでしたじゃ洒落にならんから、そういった危ない気配を察する嗅覚が鋭くなったみたいな?
俺らって、潜り抜けた修羅場の数がその辺の奴らとは違うからな。
「獣人は女でも気を付けろっつっただろ!しかも虎に銀狼に白猫とかよ・・・。手加減されてなかったらグシャにされてるとこだ」
なにィ!?
「おいゴマちゃん!!」
「ん?」
「ゴマちゃんって虎獣人だったのか!!」
「はああああ!?今更何言ってんだ!・・・え?ずっと気付いてなかったのか!?」
「見たことない獣人だなーってずっと思ってた」
「いや、聞けよ!!なぜ疑問を長い間放置してんだよ!?」
「虎ならちゃんと虎縞模様付けといてくれなきゃわからんだろ!」
「えええええ!!あたいが悪いのか!?」
獣人へのそういう質問って、結構ナイーブなとこあるから聞きにくいんだよ。
「狼獣人に『犬獣人かい?』って聞いたら怒られるって前に聞いたことあったからさ、自分からは質問しないようにしてたんだ」
「あ~、それはたしかにあるな。でも聞いたらちゃんと答えてくれるぜ?」
「怒らない?」
「そんなことでいちいち怒らねえだろ」
「本当かあ~?ゴマちゃんってフナムシ獣人なのですか?」
「誰がフナムシだ!!ぶっ殺すぞ!!」
「にゃははははははははははは!!」
「フナ・・・、くっ、ププッ!」
「やっぱり怒るじゃん!!」
「またアホな会話してるわね~。周りにもウケてるけどさ」
見ればツッパリ達も大爆笑していた。
なるほど・・・、フナムシネタはなかなか使えるな!
・・・ん?
―――ケンちゃんが俺の顔を見て顔を青くしていた。
「まあとにかく喧嘩はしないってことでいいんだな?」
「あ、ああ。爆炎一夜はもう、あンたらには二度と絡まないと約束する。だから手打ちにしてくれ」
「いいだろう。ああ、こっちの女の子二人にも絡むんじゃねえぞ?」
「もちろんだ」
ってなわけで、とりあえず爆炎一夜との揉め事は、ケンちゃんの登場により解決した。
案外ツッパリともちゃんと話をすれば分かり合えるもんだな。
************************************************************
―――――ケンちゃん視点―――――
去って行く一行を見ながら溜息を漏らす。
「ケンちゃんどうしたよ?顔が真っ青だぜ?」
「・・・・・・・・・」
「そういや途中から様子が変だったな」
「変な物でも食ったん?」
ノーテンキな奴らだ。このバカタレ共は!
「さっきあの獣人らがヤベーっつったろ?」
「ん?ああ、言ってたな」
「そんなに危険な奴らなんスか?」
「恐らくアイツらは、何人もの人を殺している」
「「・・・・・・マジで!?」」
「でもな、獣人三人よりもヤベエのがいた。植物を抱えていた男だ・・・」
「はあ?あの植物マスクが??」
「たしかに派手な恰好はしてたが・・・。何故かマスク付けてるし」
「そんなに強そうな感じはしなかったけどな?」
「あの男は何人どころの話じゃねえ!間違いなく1000人以上殺してるぞ・・・」
「「・・・・・・はあ!?」」
絶対だ!間違いねえよ!!
人を見て震えが止まらなかったのなんて、生まれて初めての経験だ。
いるんだな、この世にはあんな凄まじい人間が・・・。




