40 服をプレゼント
「こんなに美味しい料理を食べたのは初めてだよ!」
ミスフィートさんは、超ごきげんのようだ。
「良かった。まあ自信はあったんですけどね。何しろ素材その物が良いから」
「ドラゴンなんてどこで倒したんだ?そう簡単に出会える魔物じゃないと思うが」
って言うことは、一応この世界にもいることはいるんだな。
「ダンジョンですよ。知り合いに連れて行ってもらって、2年間ずっとそこで鍛えていました」
「へー、ダンジョンか!私はまだ一度も入った事がないのだ」
「お?この街の近くにダンジョンとかあったりします?」
「わからない。探せばあるのかもしれないが、私達にはそんな余裕など無いからな」
「そうですか・・・」
確かにこんな世界じゃ生きるので精一杯なのかもしれない。
一人で歩いてるってだけで、すぐ悪党に狙われるのだから。
ギーーッ
ミスフィートさんが部屋のドアを開けると、ドアから軋んだ音が鳴った。
「入ってくれ」
ここがミスフィートさんの部屋か。
彼女は真っすぐ机の方に歩いて行き、引き出しを開けて何かを取り出した。
「このピンバッジは仲間になった証だ。集団戦の時、左胸の辺りにコレを付けて戦ってくれ。コレを付けてないと仲間に斬られる可能性があるからな」
彼女からピンバッジを受け取った。
「なるほど・・・。普段は付けない方がいい?」
「味方の識別にもなるが、ジャバルグ軍からしたら敵の証明にもなるだろう?だから普段は隠しておくんだ」
「わかった」
早速左胸に付けようとする。が、服の防御力が高すぎて刺さらなかった。
「おい、言ったそばから付けようとするな!」
「どうせ俺は目立ちます。なんせ街を歩いてて襲われなかったことが一度もないですからね」
「ハハッ!確かにその恰好は非常に目立つな。なら問題はない、・・・のか?」
どうせ目立つんだから、大いに目立ってやろうじゃないの。
この姿を見ただけで相手が震え上がるほど、ジャバルグ軍は徹底的に叩く。
そして俺が目立つことによって、他のメンバーが動きやすくなるだろう。
あ!そういや非常にいいタイミングだ。彼女にアレを渡そう。
「ミスフィートさんに渡したい物が、もう一つありました!」
「私に渡したい物?」
マジックバッグを開けて箱を取り出し、中から目当ての物を探し出す。
「これを受け取って欲しい」
ミスフィートさんに巫女装束を手渡す。
「なっ、これは・・・、なんて綺麗な衣装なんだ・・・」
[巫女装束]
:謎の化学繊維で作られた服。付与魔法が込められている。評価B
:斬撃耐性 衝撃耐性 火魔法耐性
:自動修復(小)サイズ自動調節
こんな性能だったのが、俺の魔改造で今はこうなっている。
[巫女装束]
:謎の化学繊維で作られた服。付与魔法が込められている。評価S
:斬撃耐性++ 刺突耐性++ 衝撃耐性++ 魔法耐性++ 炎耐性++
熱耐性++ 冷気耐性++ 汚れ耐性++ 精神耐性++
:自動修復(中)サイズ自動調節 防水機能 消臭脱臭機能
本当は最強付与をしたかったのだが、さすがにそこまで時間が無かった。
「いや、ダメだ!こんなの受け取れない!」
「鑑定して、性能を見て下さい」
「鑑定を?」
「なっ!こんな・・・、有り得ない。何なのだ?これは!?」
「俺が貴女の為に作った服だ。着てもらわないと困ります!」
「私の為に・・・」
「これを着れば間違いなく生存率は跳ね上がります。見ての通り、防御力は貴女が着ている革の鎧よりも間違いなく高い。貴女は総大将なんだ。総大将は軍の誰よりも長く生きねばならない。この軍にとって貴女は希望なんだ。みんなの為にもこの服を受け取って欲しい」
「・・・みんなの希望、か」
「それに」
表情を一変し、ニヤリと笑う。
「この服、すごく可愛いでしょう?」
「・・・ぷっ!ハハハハハッ!!正直、こんな美しい衣装を見たのは生まれて初めてだ。着たくないと言ったら嘘になる。なので有難く頂戴する!・・・そう言えば刀の礼もまだしていなかったな。本当にありがとう!心から感謝する!」
「俺は貴女に命を助けられました。この程度じゃまだ全然恩を返せてなどいません。残りは武力で返していくつもりです」
「恩を返すなど・・・、いや、これからも一緒に頑張ろう!」
ミスフィートさんと拳を突き合わせた。
「ところで、この服はどうやって着たらいいのだ?普通の服と違うからさっぱりわからない」
「ああ、たしかにこんな服は初めて見ますよね」
「着るのを手伝ってくれ」
「え?手伝うって・・・」
ミスフィートさんが革の鎧を外し、服を脱ぎ始めた。
な、なんだと!?マジか・・・。
条件反射で、くるっと後ろを向いた。
ガサガサと服を着替える音が聞こえて来る。
なんでこうなった!?ぬう、後ろが気になる・・・。
「ダメだ、わからん。こっちを向いて手伝ってくれ!」
ぬう、し、仕方がない。
「じゃあお手伝い、ってうわ!素っ裸じゃないッスか!」
なんて美しいプロポーションなんだ・・・。
目の前におっぱいが・・・!こ、これが美乳というヤツか!
「わからんものはしょうがあるまい。服を着せてくれ」
「下着まで脱ぐ必要ないでしょう!」
「そんな物普段から着てないぞ。ここでは布も貴重なんだ」
「あ。なるほど、そうか・・・」
しょうがないのか。いや、しかし巫女装束の下はスカートだ。このままじゃ、時と場合によっては上も下も丸見えになってしまう。
リュックから、ブラジャーとパンティーを取り出した。
とりあえずブラジャーからだ。
彼女の後ろに回り、頑張ってブラジャーを着けた。
「これは何だ?なんか胸が窮屈なんだが」
「えーと、ブラジャーっていう下着です。胸を隠すと同時に、胸の形を綺麗に保つ効果もありますよ」
「ほーーー!それは素晴らしいな!窮屈ではあるが」
そしてパンティーも履かせる。
もう、なんか色々と丸見えで・・・、静まれ!静まるのだ、我が息子よ!!
「うー、下も窮屈だ」
「スカートなので、これを履かなきゃ丸見えになっちゃいますよ!」
「ぐぬぬぬ、じゃあ我慢する」
それからも孤軍奮闘し、なんとか巫女装束を着せることに成功した。
あ、そうだ。
リュックから白い足袋と草履を取り出して、それも履かせる。
うむ!完璧な巫女さんが誕生したぞ!
「完成です!」
「服を他人に着せてもらうってのも楽しいもんだな!」
「こっちはドキドキして、それどころじゃないですけどね!」
ミスフィートさんが、くるっと回ったりしながら自分の姿を確認している。
あーそっか!こんな荒んだ世界じゃ鏡なんてのも手に入らないよな。
リュックから鏡を取り出し、机の上に置いた。
「ミスフィートさん、これで姿を確認するといいですよ」
「おお!それはもしや、姿見とか言う物じゃないのか!?」
「そうです。これは差し上げますので自由にお使い下さい」
「本当か!ありがとう!」
彼女が鏡の前で巫女衣装を着た自分を確認しているのだが、すごく楽しそうで、見ているこっちもほっこりしてくる。
「こがらすまる!似合うか!?」
「すごく似合ってますよ」
「そうか!ふふふーん」
服をプレゼントして大正解だったな。
やはり俺の読みは正しかった!綺麗な服を貰って喜ばない女など存在しない。
しかも運が良いのか悪いのか、俺の女性服のストック量はこんなもんじゃあない!
それをただばら撒くんじゃなく、戦功を上げた人への褒美みたいに使うのが最善かもしれないな。
「ところで、そろそろ休みたいのですが、空いてる部屋とかありませんか?」
「空いてる部屋か・・・、そうか、必要だよな。しかし物置になっているから掃除をしないと、とてもじゃないが寝れる状態じゃない。・・・うん、今日はこの部屋で休むといい!」
・・・・・・・・・え?




