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赤い流星 ―――ガチャを回したら最強の服が出た。でも永久にコスプレ生活って、地獄か!!  作者: ほむらさん


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260 付与魔法の特訓

 和泉の部屋に移動し、ファントムから手に入れた剣をドサッと出した。



「付与魔法の特訓は非常に地味な作業だ。ここに置いた骨剣を全て強化してくれ。ちなみに骨剣は全て刀に打ち直すから、これに付与する意味は無い」

「えーーー!?私は無駄なことをするわけ??」

「ぶっちゃけ無駄だな。でも効果の弱い付与魔法が付いていた所であまり意味が無いだろう?付与魔法が育つまではしゃーない」

「あ~そっか!」

「今から付与するのは斬撃強化だ。剣に向かって『斬れ味良くなれ!』とひたすら願うんだ!」

「それだけ??でもずっとってのはキツそうね・・・」

「やり始めればわかるけど、何か手応えみたいのを感じるハズだ。そして凄い手応えを感じたら付与の成功だ。その時ステータスの魔法欄に、付与魔法Lv1が出現する」

「ほほ~~っ!じゃあやってみるわね!」



 和泉が骨剣を手に取り、それをじっと見つめる。



「なるほど・・・、確かに何か手応えみたいなのを感じるね」

「だろ?付与が成功するまで続けてみるんだ」

「やってみる!」



 30分ほど経った頃、和泉が顔を上げた。



「成功したかも!!」


「お?やっと来たか!」

「今ね、何かがフッと入った感じがしたんだ!」

「そうそう。『来た!』ってのが明確に感じ取れるんだよ。骨剣を鑑定してみ?」



[ショートソード]

 :鉄の剣。魔法が付与されている。評価D

 :斬撃強化(小)



 おお、ちゃんと付与されてるな。



「斬撃強化(小)ってのが増えてるよ!」

「んむ、大成功だ。ステータスもチェックしてみ?」


「わぁ~~~![魔法]の所に、付与魔法Lv1ってなってる!!」

「スキルにも魔力操作ってのが追加されたハズだ」

「あ~、本当だ。それもあるよ!・・・なるほど、鑑定を先に覚えたのは、成功してもそれが無いと自分で確認ができないからなのね」

「まあそういうことだな。これで和泉も付与魔法使いだ。おめでとう!」

「ありがと~~~!!」


 和泉は本当に嬉しそうだ。

 なんせ夢にまで見た魔法使いだからな。一般的じゃないヤツだけど。


「骨剣にはもう一つ付与することが可能なんで、次は衝撃耐性を付けてみてくれ」

「『衝撃に強くなれ~』って感じでいいの?」

「それでいいぞ。自分で出現させた文字を一度確認すれば、次回からは『衝撃耐性』って願うだけでイケるようになる」

「なるほど~、じゃあやってみるね!」



 それから30分後、和泉が顔を上げた。



「出来たかも!」



 確認すると、ちゃんと衝撃耐性が付いていた。



「衝撃耐性が増えた!」

「バッチリだな!えーとな、この骨剣には二つしか付与出来ないんだ。試しに魔法耐性を付与してみ?『魔法に強くなれ!』って感じでいいぞ」

「どれどれ」


 和泉が付与を始めたが、案の定、首を捻っている。


「ダメね。満タンって感じで入って行かないよ」

「だろ?その感覚がすると、付与数の限界ってことなんだ」

「鉄だと2個までなの?」

「大体そんな感じ。ミスリルだと6個まで付与可能だ。あとルーサイアに売ってるような普通の服が3個まで。だがガチャ産の服だとなぜか13個くらい付与出来るのだ」

「流石はガチャ産ね!でもそんなに付与するのって大変そう」

「付与のレベルが上がれば、付与にかかる時間も短縮されるぞ。ただし自動修復や消臭脱臭機能なんてのは付与の中でも難度が高くて、他のより時間がかかるのだ。前に和泉の服の強化した時2時間くらいかかったろ?付与魔法を極めた俺でもそのくらいの時間が必要なんだ」

「自分でやってみて初めてわかったけど、付与ってすごく大変なのね・・・。いつもご苦労様です!」

「和泉も早く付与を極めて、俺の負担を減らしてくれ!正直すごく助かる」

「がんばるわ!」



 付与で容量いっぱいになった骨剣は反対側に置くようにして、新しい骨剣にどんどん付与していく。



「後は同じ作業の繰り返しだ。とにかく付与をしまくっていれば、付与のレベルはどんどん上がって行く。んでたまに斬撃強化(中)の付与が出来るかも試してみてくれ。無理ならばまだ早いってのが何となくわかるから、行ける感触があれば斬撃強化(中)に格上げする感じだ」

「りょうか~い!」

「ただ唸ってるの見てるだけなのも辛いんで、俺はそろそろどっか行くぞ。和泉も今日は休みの日だし、無理する必要はないからな?」

「もうやり方はわかったから一人で大丈夫よ!」

「じゃあほどほどに頑張ってくれ!」



 よーし、これで後は和泉が勝手に育ってくれるのを待つだけだ!


 刀や一般服の強化だけでも結構な負担だったから、分担出来るようになるだけで非常に助かるぞ。

 戦争の時、頭を防御する為に巻く布にしたって、兵士が増えれば大量に用意しなきゃならんのよ。ウチらは戦争で重たい兜なんてかぶらない。その身軽さが強みなんだ。ドワーフ達はそう説明してもみんなフル装備しやがるけどな!


 そんなことを考えている時、向こうの方からエレンがこっちへ走って来た。



「小烏丸くん!大変なのよ!ピピンが・・・、ピピンが!」


「何ッ!?ピピンがどうしたんだ!?」



 事故にでもあったのか!?クソッ、なんでこんな日に!!



「歯が痛いって、さっきからずっと苦しんでるの!」


「って虫歯じゃねえか!!」



 エレンが青い顔してるんで、マジで何事かと思ったら虫歯かよ!

 最近みんな甘い物ばっか食べてたからな~。



「治してやるからピピンを呼んで来てくれ」

「本当に!?呼んで来る!!」



 こりゃあ患者がいっぱい続出しそうだな。

 虫歯くらいなら少量の聖水で治るだろうから、虫歯治療薬でも作るか・・・。

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