259 論功行賞(5回目)の結果報告
「今回の論功行賞はこれで終了とする!皆の者、長い時間ご苦労であった!」
今日は久々に論功行賞を行った。
ミスフィート軍が尾張を掌握してから、これで2回目だな。
もっともアレから戦争とは無縁だったので、恩賞の基準となるのは普段の働きが重視された。残念ながら一般兵は訓練しかしていないので、さすがにそれでは恩賞とまではいかない。なので、恩賞を授かったのは城内の人達ということになる。
今回の論功行賞にて、ようやく俺が軍に入った当時からいた古参メンバー全員に服が行き渡った。今まで悔しい思いをして来た人達も、やっと笑顔になったのだ。
正確には他に数人の少年達もいるけども、戦力外なので除外させていただく。
「いや~、ようやく皆に服が行き渡りましたね」
「本当はもっと早く与えたかったのだが、そう何度も論功行賞ばかりやってられないからな。皆をどんどん出世させると尾張の財政が酷いことになってしまう」
「まあそうですねー。ガラスや機関車などの収入でかなり余裕はありますが、兵が増えればそれだけ出費も多くなりますし、今後を見据えてレールを作りまくっているのがかなりの負担ですね」
「レールってそんなに必要になるのか?」
「尾張には必要ありませんよ。俺が見ているのは聖帝軍との戦争です」
奴らとは間違いなく大きな戦となるだろう。
そして、俺はただ防衛をし続けようなどとは思っていない。
やるからには聖帝軍の息の根を止める!
もし聖帝軍に勝った場合、広大な領地を手に入れることになるだろう。
しかしそうなった場合、良いことばかりではないのだ。国土が広くなればなるほど移動が困難となる。
その時の戦況がどうなっているかなど現段階では全く予測できないが、何にしても最前線への援軍が遅れれば、下手をするとそれが原因で味方を死なせてしまう可能性が出てくる。
なので、少しずつ領地が広げ、その都度レールを敷いて行くという作戦は、どんな戦況だろうが絶対にやる必要がある。だからこそのレール作りなのだ。
完璧な鉄道網で、すぐにでも隙を無くしてやる!
「なるほど!ただ守るのではなく攻めるのだな?」
「尾張に手を出したらどうなるか、近隣国にも思い知らせてやりましょう!」
「今の平和を他国によって乱されるのは、絶対に許すわけにはいかない!」
「国土が広がったら、統治も無茶苦茶大変ですけどね~」
「せっかく尾張が全体的に住みやすくなって来た所なのにな・・・」
ホントだよ。正直デカい領土なんていらないんだよなあ~。世界平和の為に生涯を費やすなんて絶対イヤだ。そこそこの広さの領地を発展させるくらいで丁度良い。
「まあ、正直面倒でたまりませんね。でも結局の所、平和を求めるのに必要なのは圧倒的な力なのです。そして力とは国力なのです」
「個人の武力だけならば自信があるのだが、集団戦は苦手だぞ!」
「1対1で勝敗が決まるのなら楽なんですけどね~。そういうのは相手がその気になってくれませんと」
「その点ジャバルグは潔かったなっ!」
統治は最悪だったけど、その戦いぶりは実に真っすぐな男だった。
ジャグルズもだけど、倒すべき敵でなければ友として語り合えたかもしれない。
「いや~、それにしても華やかになったなあ」
ガチャの服ってコスプレっぽいのばかりが出るので、とにかくみんな派手なんだよね。周りがみんな派手だから、自分が派手な服を着ていても、まったく違和感が無いという謎現象が起きている。
「だなっ!でも私は、全員が笑顔になれたのが何よりも嬉しいぞ!」
「俺もずっと気にしていたのですよ。でも出世というモノは本人の才能や努力による物ですから、結局は自分次第なんですよね」
「うむ。そういえば、鉱山組もまた何人か出世したな!ウチは女ばかりだから、男達にもう少し頑張って欲しいと思っていたのだ!」
「鉱山組は明らかに実戦経験が豊富で、他より実力が飛び抜けていましたからね。尾張ダンジョンでの活躍を聞けたのも良かった。こちらが気付けないままだと、いつまで経っても下っ端ですから」
「まあ、強くても問題を起こす奴は論外だがな」
「勿論です。粗暴な性格を隠せない時点でお話になりません」
それを隠して出世するならば全然オッケーだ。バレたらそこまでだが。
誰も彼もが善人とは限らないからな。有能ならば、ある程度までは出世させる。接点を持てば性格も見えてくるから、目に余るようなら粛清するだけの話よ。
辺りを眺めていると、近くで会話している声が聞こえて来る。
「すごく可愛いわよ!やっぱり恩賞の服は、普通のとは全然違うわね~!」
「ウェンディの服も素敵よ!それにしても、こんなに繊細で美しい生地ってどうやって作ったんだろう?人の手でこれを作るのって絶対無理な気がするんだけど」
「小烏丸くんがどこかから仕入れて来たみたいよ?生まれは東の果てって言ってたし、すごく文明が発達した国なのかもしれないね」
「こんな服がたくさん買えるなら、一度行ってみたいわ~」
今日は全員が休日だ。
論功行賞は滅多にやらないイベントだから、何もその日まで働かせることはないってことで、この日に限っては訓練すらお休みということに決まった。
なので論功行賞が終わっても皆すぐには解散しないで、恩賞などの話で盛り上がるのが恒例なのだ。
まあ、この世界の文明で、ガチャ服並のクオリティーを出すのは至難だろうな。
機械無しでこの細かさを再現するってのは、そりゃ無理ってもんだ。
やはり俺がミシンでも作らなきゃならんのかなあ?
尾張で色々やっといて何だけど、そこまで急いで文明を発展させる必要は無いんよね。でもルーサイアをお洒落の街にするってのが第一目標だったから、そっち系くらいは真っ先に発展させる必要があるとも言えるか・・・。
ただミシンを作るのはちょっと難しそうだぞ?
和泉の知識を借りて、余裕がある時に地道に作っていく感じにしよう。
・・・ん?和泉がこっちに走って来てねえか?
「ねえ小烏丸!とうとう鑑定が出来るようになったよ!」
「おお!?マジか!これで和泉もようやく付与魔法に取り掛かれるな!」
よっしゃ、これを待っていた!俺の負担を減らす為にもビシバシ行くぞ!




