233 魔石が尽きて狩りを再開する
ガチャコン
「あ~~、緑かあ・・・」
ミスフィートさんの二投目は、残念ながら緑カプセルだった。
「青だとそれほど期待出来ませんけど、緑は悪くないですよ。緑からは、思ってもみない意表を突いた感じのアイテムが出ることが多いんです。バイクやバスのタイヤも緑からでした」
「タイヤって、あの大きなのが4本出るわけ?」
「んむ。デカいのが4本だから、毎回支えきれずに落として転がって行く」
「確かにあんなのが四つも出たら、両手を使っても支えきれないだろうな」
カードに書かれている文字は、『電動歯ブラシ』だった。
「「な、なんだってー!?」」
俺と和泉の叫び声が完全にかぶった。
「何だこれは?」
「ハッキリ言いましょう。超大当たりです!」
「めっちゃ羨ましいんですけど!」
「歯ブラシってのは、小烏丸に貰ったあの歯ブラシだよな?」
「そうですね。でもこれは、その最上位とも言える歯ブラシなのです!」
魔石を入れてスイッチを押すと、『ブイーン』と振動し始めた。
「見ての通り、毛の部分が細かく振動することによって、歯に押し当てるだけで綺麗に磨くことが出来るのですよ!」
「へーーーーー!!」
「でも自動修復を付与しないと、ブラシの方がすぐダメになってしまいます。尾張に帰ってから付与しますので、その後で使ってみて下さい」
「わかった。帰ったら付与を頼むな!」
「あっ!私が貰った歯ブラシが壊れないのって、そのお陰だったのね!」
「歯ブラシなんて貴重品を消耗品扱いはせんよ」
ノーマルから出た物でも雑には扱わないのだ。俺に隙など無い!
「はぁ~、しかし本当に色んな物が出るのねえ・・・」
「な?言った通りだろ。緑からは予想外な当たりが出たりするんだよ」
「ガチャって面白いなっ!」
わざわざ魔力を電力に変換してまで電動にしたのは、ガチャ女神様の拘りなんだろか?そこに譲れない何かがあるのかもしれん。
しかしミスフィートさんは2連続で良い物をゲットしたな。
とはいえ、何が出てもハズレってのはほとんど無いんだけどさ。
「あーーーっ!もう1回やりたかったのだが、残念ながら魔石が2個足りない。そろそろ狩りを再開しないか?」
「結構遊んでしまいましたからね。あ、そうだ!食料の調達もしたいので、一気に4階まで行きませんか」
「4階!?私は骨を倒すので精一杯なんですけど」
「とりあえず4階までの魔物は全部ミスフィートさんに狩ってもらうよ。なんで4階かというとだな、そこにいる魔物ってのがほとんど海産物なんだよ。タコ・イカ・ホタテ・カニって感じのラインナップで、しかもすげえ弱い!」
「おおっ!ホタテというと、前に食べたあの素晴らしく美味いヤツじゃないか!」
「海産物!?えーと、その弱い海産物を倒していればレベルが上がるの?」
「経験値の計算はしたことないけど、普通に上がるんじゃね?魔石(小)が入ってるくらいだから、骨とかと変わらんと思うぞ」
「大サービスゾーンじゃない!そこで魔石を集めまくるよ!!」
思えば、レベル上げだけが目的ならこのやり方が一番効率良さそうだな。パワーレベリングって卑怯な感じがして、あまり好きじゃないんだけどさ。
強くなりたいって目的ならばちゃんと1階から攻略すべきだとは思うけど、今回は3日間しか期限が無いからそうも言ってられん。
「今日は4階まで攻略して、明日は7階か8階まで、明後日に10階まで攻略ってのがいいかな?初日で全部終わらせちゃ勿体ないと思うんで」
「なるほど、初日に全部倒してしまうと、残りの時間が全て魔石集めになってしまうものな。最終日に余力を残して、最後はゆったりとガチャで遊ぶか」
「えーと、それってミスフィートさんの予定だよね?私が10階まで行ったら死ぬよね?」
「あー、スマン。今のはミスフィートさんの予定だ。和泉は4階で限界までレベル上げをしたら、1階から全ての魔物を倒して行く感じにしよう」
「おっけー!」
ガチャ部屋の階段を降りて2階に出た。
道中『ワニだー!』とか大騒ぎしながら、どんどん進んで行く。
途中でゴーレムを倒し、少し進んだ所でヤツが出た。
「おおっ!ゴブリンが出たぞ!!」
「2階はブラックゴブリンですね。コイツはまだそれほどの強さではないので、気楽に行っていいですよ」
「ほうほう。こん棒を持っているのが気になるが行ってみよう!」
和泉は当然のように俺の後ろに隠れた。
それほどじゃないとは言ったけど、威圧感は1階のゴブさん以上だからな。
ガン!バギッ!ドゴン!
ミスフィートさんは、1階の時のように最初は様子見して魔物の強さを計り、一通りの攻撃を躱して満足した後、ようやく攻撃を開始した。
「ふーーーっ、なかなか強かったな!」
「全然余裕そうだったじゃない!」
「まあブラックゴブリンまではいいんだ。問題は次の赤いゴブリンだ!」
「ルシオが非常に苦戦したという相手だな!?」
「俺なんか一度負けてる相手ですよ?まあその頃は刀の技が全然完成されていなくて、その敗北を糧に技を鍛えることに繋がるんですけどね」
「小烏丸が負けたのか!?会うのが楽しみだな!」
「私の心臓が止まったりしないでしょうね!?」
「んーー、まあ大丈夫だろ。一応離れて見学しとけばいい」
そして三人は3階に足を踏み入れた。思えば俺って1回も戦ってねえな・・・。




