232 回すのです
ミスフィートさんが、とうとうデラックスガチャと対峙した。
「えーと、どうすればいいのだ?」
「そこに投入口があるでしょう?その中に魔石(小)を10個入れるんです」
ミスフィートさんが、言われた通りに魔石を10個投入する。
「おお!?ココが光ったぞ!」
「準備完了したって合図です。その光ってるレバーを回すと、下の取り出し口からカプセルが出て来ます」
「なるほど。じゃあ回してみる!」
ガチャコン!キュピン!
ミスフィートさんが音に驚いてビクっとした。
わははは!なんか可愛いな。
「なんか鳴ったぞ!?」
「えーとですねえ、レア物が当たると音が鳴るんですよ。今のは銀カプセルの音ですね。おめでとうございます!」
「銀ということは・・・、おお?上から3番目だな!?」
「銀以上のカプセルはなかなか引けないですからラッキーですよ!・・・あ、そうそう!たまにピアノみたいな巨大な物が出たりするので、俺が『ヤバイ』と言ったらカプセルを持った手を上げて下さい」
「カプセルからピアノが出て来るの!?それ、危険なんてもんじゃないわよ!」
「なるほど・・・、了解した。じゃあ開けてみるぞ!」
ミスフィートさんがカプセルを開けると、中のカードに書かれていたのは『家具』だった。
「家具だと!?ヤバイ!」
「何ッ!?」
ミスフィートさんが慌てて手を上げると、カプセルがポフッとソファーに変化した。
「よっと!」
ミスフィートさんがソファーを床に置いた。
ピアノよりかはマシだけど、これも大きさ的に十分罠だ。
「言った傍からいきなり大きいのが出ましたね。でも高級ソファーとは、なかなか良い物が当たったんじゃないですか?」
「カプセルの中から出て来るのかと思ったら、ポフッと変化する感じなのね。でも手の平にそんな大きい物が現れたら怪我するじゃない!」
「家具は危険だな。でも良い物を手に入れたぞ!」
ミスフィートさんがソファーに座ってみる。
「おおおおっ!すごく良い感じだ!」
「私も座ってみていい?」
「構わんぞ。横に座るといい」
「へえええええ!すごく良いじゃないのコレ!絶対大当たりだよ!」
「ソファーが出たのは初めて見ました。やっぱり俺が知らないアイテムが、まだまだいっぱい入ってそうだな」
・・・なんかガチャを回してるのを見てたら俺もウズウズして来た。
和泉にちょっとサービスしてやろうか。
「よし!初回記念ってことで、和泉にデラックス1回分の魔石を奢ってやろう」
「え?いいの!?」
「おお、良かったなイズミ!小烏丸は太っ腹だ!」
「とはいっても、ガチャを実際に回すのは俺なんだけどな」
デラックスガチャに、魔石(小)を10個投入した。
「あ、そうだ。念の為、和泉が回せるか試してみてくれ」
「そうね。やってみる」
和泉がレバーを回そうとするが、レバーはビクともしない。
「ダメだあ~~~!やっぱりレベル不足じゃ無理みたい」
「なるほど、レベル制限に引っかかるとレバーが回らないのか」
「やっぱりアカンかぁ。んじゃ俺が回すから後ろで祈っていてくれ。和泉の祈りが力となる!」
「任せたわよ!」
ガチャコン!
「よっしゃ来たっ!!この力強い音は赤カプセルだ!」
「赤カプセルって当たりなの?」
「えーとな、デラックスの赤カプセルからは確実に服が出るんだよ。和泉の狙いは服だろ?ならば和泉的には赤が大当たりだ」
「へーーー!すごいじゃない!問題は何が出て来るかだね」
カプセルを開けると、ポフッと服に変化した。
「・・・あっ、もうわかってしまった」
和泉に服を渡した。
「・・・・・・体操服じゃないの!しかも下はブルマだし!!」
「少し残念な結果だったけど、レベル上げには動きやすくてアリなんじゃないか?」
「まあ確かに、動きやすそうではあるけどさ~」
「今だけでも使えるなら、とりあえず着てみればいいんじゃね?」
「そうねえ、せっかく出した服だし・・・」
和泉が後ろでゴソゴソを着替えだした。
「着心地は確かに悪くない。悪くはないんだけどさぁ・・・」
和泉の方を見てみると、白いシャツにブルマと完璧な体操服コスプレだった。・・・しかもだ!
「すげーーー!胸んとこ見てみろ!平仮名で『いずみ』って書いてあるぞ!なんて無駄に高性能なんだ!」
「え?・・・何これ!?私こんなの書いてないよ?勝手に出て来たの?」
「着た人の名前が勝手に出現するのか?」
「そうだ、ミスフィートさんで試してみようよ!今脱ぐから、この服に着替えてみて?」
「その服を私が着てみればいいのだな?」
二人共その場で着替え始めた。・・・って、俺がガッツリ見てるんだがいいのか?
「あはははははははっ!胸にひらがなで『みすふぃ~と』って書いてあるよ!」
「すごいな、この服は!!」
プハッ!
ヤバイ、なんて破壊力なんだ!久々に鼻血が出てしまったぞ!
「でもよく考えたらこの服は危険じゃないか?腕と足が露出しすぎている」
「そういえばそうね。って小烏丸!なんでそこで鼻血出してるのよ!」
「だって、しょうがあんめえ!こんなん誰だって鼻血出るだろ!」
結局、戦闘向きじゃないってのもあるけど、ダンジョンで戦うには服の強化も必要になるので、とりあえず体操服はお蔵入りした。




