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215 海の男三人衆

 約束通りにまずドワーフの街にガラスハウスを建ててから、ルーサイアの街外れにも3号棟を建設した。

 問題なのはそこで雇う人材なんだけども、噂を聞きつけ即反応を見せた、野菜果物大好きなエルフ達に任せることになった。


 ただガラスハウスに感動したエルフ達が、お金を払うから自分達専用のも欲しいと言い出したので、すぐ隣に通常の半分くらいの大きさのガラスハウスも建てた。半分と言っても元々の規模がデカいので、エルフ達が自分らの趣味で使う分には十分すぎる大きさなのだ。


 次に、4号棟までガラスハウスの建設を経験したメンバーを集め、『指示された場所に5号棟を建てるように』とだけ言ってパラゾンに派遣し、建設を完全に任せてみた。

 これを俺抜きでしっかり建てることが出来れば、ガラスハウス職人として尾張中にガラスハウスを建ててもらうつもりでいる。



 そしてガラスハウスから解放された俺はというと、ついに造船を開始した。


 同時に魚を捕獲する為の網作りを部下に依頼したので、船が完成したらすぐにでも漁に出ることが可能だろう。


 水に濡れても平気な素材は水着を研究した時に色々調べてあったので、とりあえずはそれで作ってみて、ダメだったらまた何か考えようって感じだな。






 ************************************************************






 最初は小船から試そうと思い、ちゃっちゃと造り上げた。


 究極に斬れる刀を持ち、木を乾燥させる魔法が使え、バスと機関車を完成させた実績がある俺には、この程度の作業など造作も無いのだ。


 もちろん船を動かす為のエンジンも完成させたぞ。


 アクシデントでスクリューが動かなくなった時の為に予備のスクリューも用意し、万が一沈没しても助かるように、小型のボートも造ってマジックバッグに入れた。

 海を攻めるには、とにかく細心の注意をしなければならないのだ。斬られて死ぬのなら納得もいくが、溺れて死ぬのだけはマジで御免だからな。



「ルシオ、ボヤッキー、準備は良いな!?」


「「アイアイサー!」」



 海の男ならばこの掛け声っしょ!ってことで事前に教えといたのだ。


 小さな崖の上に立ち、マジックバッグから小船を出す。




 ザバーーーン!




「よし、ちゃんと浮いた!じゃあ飛び乗るぞ、我に続けー!!」


「「アイアイサー!」」



 スチャッ!



 船の上に華麗に着地。


 ルシオもボヤッキーも俺に続いたが、ボヤッキーがズッコケるオチは無かった。



 俺特製の高性能羅針盤をチェックして、現在の位置を把握する。



「よーし、じゃあまずは適当に進んでみるわ」



 エンジンを始動し、クネクネと方角を変えながら方位磁石が誤作動してないかもチェック。・・・とりあえず大丈夫そうだ。


 そこに第一の黄色いブイを浮かべる。


 これは目印にもなるが、実は魔道具だ。ブイに近付くと船の操縦席から音が鳴り始め、近付くごとにどんどん音が大きくなって行く仕組みなのだ。

 船で遊びたいのではなく、漁業を始めるのが目的なので、とにかく迷子にならないよう安全な海域を作らねばならないわけですよ。



「いやー、本当に凄いですね!小烏丸さんの先読みって、僕達には理解不能な有り得ないようなレベルですよ。普通の人ならば船が動くか動かないかが1番の問題だと思うのですけど、小烏丸さんの場合は、船がちゃんと動くのは当たり前で、もうその先を見据えて色々と用意してるんですもん」


「んーーー、まあ言われてみると確かに普通の感覚より一歩先の行動かもな~。というか、ただ単に二度手間が嫌いなんだよ。1回で全部終わらすのが理想だ」


「いや、普通の人じゃ絶対無理です!俺なんか船が走っただけで、さっきから感動して落ち着かないくらいですから!」



 たしかにボヤッキーのテンション半端ねえな・・・。

 まあ先読みに関しては、ただ単に俺が完成形を知ってるからなんだよね。

 先人の知識を真似てるだけなので、褒められても正直ムズ痒い。



 そこから少しだけ進んだ場所で網を投下した。


 今回やろうと思ったのは底引き網漁だ。

 漁のやり方は色々あるらしいけど、俺は漁師の経験など無いから、一般人に毛の生えた程度の知識で勝負なんスわ。



「ルシオは右、ボヤッキーは左へ網を広げてくれ!」



 言われた通りに、二人が長い棒を使って網を広げてくれた。



「オッケーーー!後は適当に走るだけだ!」



 1時間ほど適当に遊びながら船を走らせた。



「そろそろ良いかな?じゃあ網を巻き上げるぞ」



 揚網機のスイッチを押す。


 ちゃんと作動してくれたようで、揚網機はギリギリと音を鳴らしながら網を巻き上げて行く。



「「おおおおおおおおおおおおおおおお!!」」



「無茶苦茶魚かかってるやん!」


「これは凄いですね!!」

「魚を獲るのって、網を使えばこんなに簡単だったのか!」

「船があればこそじゃないですか?」

「確かに海岸から網を投げても、こんなに獲れっこないかぁ」



 海の男三人は大いに盛り上がった。



「よーし、じゃあ陸に帰るぞ!」


「「アイアイサー!」」



 船に飛び乗った場所は、今考えると高さが合ってなかったので、もっと良い感じの場所を見つけて船を着けた。



「最初っからコッチで良かったな。さて、ここからは大仕事だぞ!網に引っかかってる魚を、三人で全部外さなきゃならん」



 奥から大きな箱を持って来て並べる。



「魚の種類ごとに分けなくてもいいのですか?」

「今回は適当でいいぞ。本格的に漁師をやるならば分けるだろうけど、今回のはあくまでも実験だからな」

「っしゃーー!何か漲って来ました。気合入れていきましょう!」



 ボヤッキーは運転手顔だが、実は漁師の方が向いてるのかもしれん。

 何だか、俺らの中で1番テンションが高くなってるんだよな・・・。

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