195 ピアノデート?
和泉の着ていた服を強化するんだけど、今回は普通の服の強化なので、すぐ終わるだろうと部屋で和泉を待たせていた。
なんせバニーガールの格好なんで、部屋を出たがらないってのもあった。
「あれ?なんか容量が余ってる感じだな?」
和泉が頭に?を浮かべてこっちを見た。
「何が?」
「いや、えーとな~、基本的に普通の服って三つまでしか付与出来ないんだよ。ところが和泉の服は三つ付与しても、まだ二つ三つ付与出来そうな感覚なんだ。地球産の服だからかな?」
「へ~~~~!じゃあ快適そうなのをお願い!」
「快適なあ・・・、えーと、今付与した三つは、斬撃耐性++、衝撃耐性++、魔法耐性++だ。この3種は一般兵が来ている服と一緒で、剣で斬られたりしても即死は免れるだろうという組み合わせだ」
最初から快適三点セットみたいな服を作るのもアリかもだけど、やはりこの世界の場合はまず防御力を中心に考えてしまうんだよね。
「つーことで防御力はこれで問題無いだろう。んで、ここから快適さを求めるのならば・・・、そうだな、いくつか候補があるので和泉が選んでくれ」
「私が選んでもいいの?」
「候補を言ってくぞ?熱耐性++、冷気耐性++、汚れ耐性++、精神耐性++、自動修復、サイズ自動調節、防水機能、消臭脱臭機能」
「待って待って待って!多すぎよ!!ちょっと紙に書いてもらえないかしら」
確かにズラズラと言われてもわからんか。紙に候補を書いて渡した。
「流石はファンタジーって感じね!この中で絶対欲しいのは、汚れ耐性と自動修復かな?あと消臭脱臭機能も欲しいわね」
「なるほど、良いチョイスだ!感覚的にたぶんあと三つ行ける気がするから、じゃあ今言った三つにするぞ?」
「快適さで言うなら熱耐性と冷気耐性も良さそうなんだけどさ、一張羅だから破れたり汚れたりする方が困るのよね」
「まあそうだな~。俺でも同じ選択をすると思うわ。ただ自動修復と消臭脱臭機能は付与に結構時間がかかるんで、城の探検でもしてくるといい」
「時間がかかるのかぁ・・・。って、私にバニーガールの格好でお城を探検しろと言うの!?」
「でも2時間くらいかかるぞ?付与中は集中しなきゃいかんから俺は無言になる。何もしないで2時間は退屈だと思うけどなあ」
「うへっ、2時間は厳しいなあ・・・。何か暇つぶし出来るアイテムとか無い?」
暇つぶしアイテムねえ・・・、何かあったかな?
「ふむ・・・、ああ、ピアノとかどうだ?」
「え?ピアノなんてあるの!?」
「手元には無いんだが、玉座の間に置いてある。っていうかピアノ弾けるん?」
「んーーー、そんなに上手ではないけどさ、子供の頃ピアノを習ってたよ」
「おお!俺と一緒じゃん。ピアノ話で盛り上がれそうだな」
「でも玉座の間って、そんな気軽に行っていいモノなのかしら?」
「何人かにピアノを教えてるんで、そこにはその連中がいるくらいだぞ」
「じゃあ行ってみようかな?他人が弾いてるのを聞くだけでも楽しそうだし」
「そっか、んじゃ案内するぞ」
和泉を連れて玉座の間に移動。
扉に近づくと、ピアノの音が聞こえて来た。
「お?この音は・・・、ルシオが練習中のようだな」
「ルシオって、さっきの金髪イケメンの人!?ちょっと、またこの格好を見られちゃうじゃない!」
「でもある意味チャンスじゃね?ルシオは女性達から人気があるんで、こういうチャンスを生かさないとお近付きになんかなれんぞ?」
「ぐぬぬぬぬ・・・、せめて普通の服装の時なら頑張るのに、なんでバニーガールの時にチャンスが来るのよ!っていうか冷静に考えたら、バニーの時に玉座の間になんか連れて来ないでよ!」
「言われてみるとたしかに・・・、まあ、そういう運命だったとしか」
「ムッキーーーーーーーーー!!」
玉座の間に入り、ピアノの傍まで移動した。
パチパチパチパチ
「かなり上手くなったな!」
「あっ、小烏丸さん!と、イズミさん?でしたよね」
「どうも、さっきぶりです!」
「今から和泉の服を強化する所なんだけどさ、付与に2時間ほどかかるんだよ。んでその間和泉が退屈すると思って、ピアノでもどうかって連れて来たんだ。まあそういうワケなんで、俺は一旦オサラバだ!和泉のことよろしく頼むわ」
「なるほど、了解です!付与頑張って下さい」
「え?ちょっと!!いきなりこんな所に置いてかれちゃうの!?」
「強化が終わったら迎えに来るよ」
狼狽えるバニーガールをルシオに託して、そそくさと部屋に戻った。
・・・・・
ふぅ~、付与おしまいっと。んじゃ玉座の間に知らせに行くか。
玉座の間に入るとピアノの音が聞こえて来た。
・・・ほう、恋は水色か。
パチパチパチパチ
「上手いもんじゃないか!子供の頃習ってたと言っていたけど、なかなかの腕前だな」
「あっ、小烏丸さん!付与は終わったのですか?」
「んむ、たった今終わったとこだ」
「あれ?いつの間に!?もう2時間経った?」
「時計は見に行ってないけど、大体2時間ってとこじゃねえかな」
「ピアノを弾いていると、時間が経つのが本当に早いですよね」
楽しければ尚更時間が経つのは早い。
「一応服は持って来たけど、すぐ着替えるか?」
「え?イズミさん着替えちゃうんですか?今着ている服も素敵だと思うのですが」
「素敵!?う、う~ん、どうしようかなあ。でもやっぱり恥ずかしいのよねこれ」
「でもいい加減そろそろ慣れたろ?ルシオも素敵だと言ってるし、今日はもうバニーで良いんじゃね?」
「ぐぬぬぬぬ・・・、あ~もうバニーでいいや!!服は後で受け取りに行くね」
和泉って、何だかんだでノリが良いよな~。
「あー、そういやココに来る時にナターシャに会ってさ、今日も料理作りに来るの?って聞かれたぞ」
「ほうほうほう!期待されてるのならば、行かないわけにはいかないわね!」
「昨日の料理って、もしかしてイズミさんが!?すごく美味しかったですよ!」
「あー、アレは本当に美味かったな!今日も期待してるぞ!」
「オホホホホ!じゃあ、コレを嫌いな人は存在しないでしょうって言う、あの定番料理にしようかな?」
「定番料理か~、期待してるぞ!」
その日の夕食はハンバーグだった。もちろん、めっちゃ美味かった!!




