192 和泉の真の実力
バイクで城の前まで帰って来た。
和泉を降ろして、バイクをマジックバッグに収納する。
「そう、それよ!!!疑問が全て解消された気になっていたけど、貴方への疑問がまったく解消されてないわ!」
「俺か?」
「まず今の現象よ!バイクはどこに消えたの?」
あー、そういやマジックバッグの説明しとらんかったな。
「このリュックはマジックバッグなんだよ。異世界ではお約束の、物が大量に入るバッグだ。でもこんな貴重なアイテムを持ってるのは尾張じゃ俺くらいなモンだから、皆には内緒だぞ?」
「ほえ~~~、ファンタジーね」
「魔法が存在する世界だからな。後で魔道具とか見せてやるよ」
「魔道具!それは楽しみだわ」
とは言っても、俺が作った魔道具ってのは日本の電化製品を参考にしてるから、日本人が見ても目新しい物じゃないんだよね。たぶんあんまり感動しないと思う。
あとミスフィートさんもマジックバッグ持ってるけど、とりあえず今はスルー。
「あと一つ、もうずっーーーと滅茶苦茶気になっている疑問!・・・小烏丸は、なんで赤い流星の格好をしているの?」
「・・・・・・それを聞いちゃいますか。んーーー、たぶん話すと更に疑問が増えて長話になってしまうぞ?」
「それは困るわね。お腹も空いてるし・・・、じゃあご飯の後で教えて!」
「わかった。とりあえず厨房に向かうとするか」
厨房に移動すると、料理当番の人達が夕食を作っている所だった。
「おーい、ナターシャ!何匹か魚を釣って来たんで、俺の夕食は魚にしたいんだけど大丈夫だよな?デカい魚が釣れたから何匹かお裾分けするぞー」
「あら小烏丸くんじゃない。んんん?そちらの女性は?」
「ああ紹介するよ。彼女は俺と同郷でな、和泉という名前だ。こちらはナターシャ。今日は料理当番なんてしてるけど、尾張の中では身分が高い精鋭の1人だ」
「和泉と言います。よろしくね」
「ナターシャよ。小烏丸くんの同郷なのね!とても興味があるわ」
「まあ同郷と言っても俺とは知り合いでも何でもなかったから、俺の昔話とかを聞いても無駄だぞ?」
「えーーー、そうなのお?残念ね」
やはり俺のことを聞くつもりだったか!しかし和泉に日本のことをベラベラとしゃべられるのもマズい。異世界人だというのは口止めしとかんとな。
箱から魚を取り出した。
「どうよ!4匹だけだけど結構な大きさだろ?」
「わお!すごいじゃない!」
「えーと、和泉はどれを食べたい?」
「んーーー、私と小烏丸が小さい方を一匹ずつにして、大きい方2匹をお裾分けしましょうか」
「なるほど・・・、確かにそれが良さそうだな。じゃあナターシャ、大きい魚は好きに使ってくれ」
「ありがとう!でも城の全員に行き渡るほどの量じゃないわね。次回はこの10倍くらい獲って来てちょうだい!」
「10倍かよ!それだと地引網でもせんと厳しいな。しかし網か・・・、デカい漁船でも作って漁師を育てるのもアリな気がして来たぞ」
よく考えたら、折角海がある国なのにまともな漁師がいないなんて勿体なさ過ぎる!こりゃあ次のミッションは漁船か!?やることいっぱいだなホント。
「私も料理当番に参加させてもらっても良いかしら?」
「お?和泉も料理班に加わるんか?」
「料理は私の唯一の見せ場ですもの。いつまでかはわからないけど、ココにお世話になるからには少しでも貢献しないと居心地が悪いわ」
「なるほど・・・、確かに一理あるな。ナターシャ、和泉の料理の腕前はきっと相当なレベルのハズだ。夕食作りに参加させても構わないか?」
「腕の良い料理人が加わるのは大歓迎よ!」
「んじゃ厨房のことを和泉に色々教えてやってくれ。えーと、俺の夕食は全て任せて良いんだよな?」
「小烏丸の分は、他の人の夕食とは別に用意しておくよ」
「わかった、んじゃ全部任せる!」
確かに和泉の言う通りだ。ここで料理当番に加わればみんなとの距離も縮まる。
今にして思えば、俺の作る料理ってのはいかにも『ザ・男の料理!』って感じだった。和泉の出現によって、尾張にも本格的な料理が流行する予感がするぞ!
ただ料理のレベルが高くとも、どれほどのモンなのかはまだ未知数だけどな。
料理が出来るまでまだ時間がかかるだろうから、城の中をぶらつきに行った。
・・・・・
夕食が出来上がった頃を見計らって食堂に行くと、そこは素晴らしく食欲をそそる匂いに包まれていた。
「なんかむっちゃ良い匂いがするんですが!!」
「小烏丸くん!!和泉が凄いのよ!料理の天才ですか?彼女は!」
「どうやらいきなり本領を発揮したようだな・・・」
テーブルに付いて様子を窺っていると、厨房から和泉が料理を運んで来た。
メインは先程釣り上げた焼き魚。
しかしそれ以外にも、大きい方の魚を使った美味そうな料理が出て来た。何て名前の料理なのかはわからんけど、野菜もふんだんに使われていて非常に食欲をそそる。
「むっちゃ美味そうなんだけど、コレ何ていう料理?」
「ん~~、名前は無いわねえ。お野菜とかも見たこと無い物ばかりだったので、インスピレーションだけで作った謎料理よ!」
「その場の閃きだけでこれほどの料理を・・・、すごいな!」
「私も一緒にご馳走になるわね!」
焼き魚も気になるが、それよりも謎料理が気になりそっちを口に入れる。
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
あまりの衝撃に、二人ともすぐに声が出て来なかった。
「うおおおおおお!めっちゃうめえ!!!」
「おいひ~~~~~~~~~~!!!」
ヤバイ。この和泉という女、とんでもない拾い物なんじゃないのか!?




