表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

182/896

182 聖帝の使者

 こういう展開も予測していたので、俺の返事は予め決まっている。



「そんな奴は知らん!」



 周りにいるチェリンやエルフ達を見ると、皆緊張で顔が強張っていた。



「嘘をつくな!!そっちがその気なら無理にでも探させてもらうぞ!」


「お前らみたいな不穏分子を尾張に入れるわけねーだろ。引き返しな」


「なんだと!?貴様、聖帝軍に逆らう気か!」



 うぜえな。こんな奴等を尾張に入れたら、確実に揉め事を起こすだろうが!

 メルティー様を探してるらしいから、見つかるまで帰る気も無さそうだし。



「で、そのメルティーってのを捕まえてどうする気なんだよ?聖帝様は」


「お前の知った事ではない!もしメルティーを庇っているのなら、我らは尾張を攻め滅ぼすぞ!」


「なんだと?」



 使者は10人か。



「聖帝軍は強大だ!このような小さな国など簡単に踏みつぶせるのだよ」


「へ~、やってみろよ?尾張なめてると、お前ら全員死ぬぞ?」


「調子に乗るな下郎!」



 使者と名乗る男が剣を抜いた。



「抜いたな?ならば俺とお前らは現時点をもって敵対したわけだ。短気な使者を送って来るとは、聖帝とやらも高が知れてるな」



 シュッ


 抜刀術で目の前の傲慢な男を斬った。



「ぐおあああああああああっっっ!!」



 そして間髪を入れず残りの9人に襲い掛かる。



「き、貴様!!ガッ、ガハッ!」

「おい!ま、待て!ごアアアあッッッ」

「ヒ、ヒイイィィィィィ!!」



 1人も逃がさねえよ?お前らは全員此処で行方不明になるんだ。


 すかさずルルが支援魔法を発動し、全員が戦いに参加する。

 そして逃げようとした男の背後にエルフ達が壁を作り、完全に逃げ道を無くした。


 ハハッ!流石は尾張の精鋭達だ。いきなりの戦闘でこの連携、実に頼もしい!


 チェリンが1人を叩き斬り、ボヤッキーも1人の首を跳ねた。あと4人。



「く、来るなアアアアア!!」


「喧嘩売って来たのはお前らじゃねえか。尾張に恫喝など通用しない」



 更に2人を斬り、残り2人はエルフ達の魔法で絶命した。




 ・・・・・




 壁を作る予定の場所から少し移動し、そこに死体を全て燃やして埋めた。



「さて、これで俺らが殺った証拠は消え去ったが、いつかは聖帝軍にバレるだろな」

「使者が帰って来ないことに気付くのが、いつになるかよね」

「聖帝軍と戦争になるですか?」

「今すぐどうこうはならんだろうけど、遠くないうちに戦争が始まるかもな。高圧的な態度だったんで容赦無くぶった斬ったけど、ああいう奴は下手に出ればどこまでも調子に乗るだけだ。使者を斬ったことに関しては微塵も後悔などしていない」

「まあね~。でも、やっと平和になったのに今度は聖帝軍かあ~~~」



 隣国が相手かと思ったら、いきなり聖帝軍ってなあ・・・。

 おっと、このチャンスを逃してはならん!



「私もよくよく運のない男だな。壁を作りに来ただけなのに、あんな獲物に出会うなどとは」



 とりあえずノルマ達成だ!

 何の話かって?そりゃあ、もちろん名セリフよ!



「小烏丸がいる時で良かったわよ。私一人の時に来られてたら一体どうなってたか・・・。使者って名乗られたら斬って良いのかすら判断出来ないわ」

「確かにそうかもな。自分の判断に後悔はしてないけど、ルーサイアに帰ったらミスフィートさんに叱られるかもしれんし。何にしても、これで壁の重要度が跳ね上がったな。戦闘直後ですまないが、早速壁の建造に入ってもらえるか?」

「いつか聖帝軍が攻めて来るとなると、手は抜けないのですよ!」

「現状の守りじゃ不安すぎますからね。強固な壁を作って見せますよ」

「頼もしいな!後から改造するのも二度手間だろうから、道路の先の門から始めてくれ。俺とボヤッキーはまた前回のように動くんで、休憩小屋だけ作って欲しい。食事もそこで作るから、腹が減ったら適当に集まってくれ」

「りょうかーい!」



 ということで、まず即席の仮設住宅を建ててもらった。

 中に入ってストーブや照明を設置する。



「チェリンは、少し壁作りを見たら館に戻るんよな?」

「うん。しばらく見てると思うけど、帰る時に挨拶に寄るわね」

「そうか、じゃあ帰りはバイクで送ってやるよ。館までそれなりに距離があるだろ」

「それは助かるわ!ありがとう。じゃあ壁作りを見て来ま~す」

「あいお~」



 さーて、服の強化を頑張りますか。たぶん壁作りに1週間近くかかるだろうから、持ってる服全ての強化が終わりそうだな。






 ************************************************************






 それから1週間ほどで、ほぼ予定通りに国境の壁が完成。


 美濃方面に伸ばした壁と繋がった場所の内側には砦を建設し、中で1000人ほどが生活出来るようにした。今は時間が無いので中身はつるっぱげだけどね。

 その砦は重要なポイントになるので、街から離れてて可哀相だけど常時兵士を100人くらい詰めとくつもり。


 チェリンも完成した壁を見て、抱えてた不安が一掃されたようだ。



「本当に素晴らしい守りだわ!これなら敵の進軍を食い止めることが出来る!」


「トラネコ城からの援軍と共に防壁で耐えていてくれれば、その間にルーサイアからの本隊が到着し、まったく尾張を荒らされることなく戦えるハズだ」

「聖帝軍が相手になった場合は、三河の援軍とか期待出来るのかしら?」

「そうだな・・・、美濃や伊勢程度との衝突なら尾張だけで何とかしたいけど、相手が聖帝軍ともなれば三河に援軍要請することになるかもな~。まあ尾張と三河が合わされば、聖帝軍がどんだけ大軍でも負ける気がしない」

「本当に頼もしいわ!」


 援軍に頼るのは、自分達で対処出来ない場合の時だけだ。

 聖帝軍が相手だろうが、尾張だけで倒せそうならば援軍は呼ばない。


「ただアレだぞ?俺たちが三河を頼りたいように、三河が尾張を頼って来る場合もあるってことだ。しかもあの清光さんが尾張を頼るってことは、その時の敵は間違いなく強大だ!」

「ひゃあ~~~~!同盟を組むってことは、同盟国の敵国も自分らの敵になるってことなのね。でも三河との同盟はそれを踏まえても価値があるわ」

「武力だけじゃなく、三河は経済的にも非常に優れているからな~。尾張が育てば、交易でもお互いに成長して行けるぞ!もっともっと頑張らねえとな!」



 今はまだ三河におんぶに抱っこ状態だから、帰ったらとっととガラス工場を作って、三河にも沢山貢献せにゃいかんな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ