177 三河の服屋とか雑貨屋とか
当初の目的であった動物乗り物は、皆が満足するほど購入出来た。
でも折角だから、他にも色々見てみたいよな。
「このまま帰るのもアレなんで、三河のお店でも覗いてみますか!」
「わお!すごく興味ある!」
「いいわね!絶対尾張よりも品揃えが良さそうだもの」
「服が欲しいわ!ここで服を買って、小烏丸くんに強化してもらうのよ!」
「「それだ!!」」
なるほど!尾張じゃ布を買って手作りするしかないが、三河の服屋はめっちゃ期待できそうだもんな!
「オッケイ!んじゃまずは服屋に行きますか。いきなり80人も店に来たら、服屋の店主がおったまげそうだけど」
通りすがりの人に大きな服屋がないか聞いてみた所、近くに大手の商会があるという話だったので、場所を教えてもらって、その店へと向かった。
「おお、確かに大きな店だな。服だけじゃなくて隣は雑貨屋になってるぞ」
「まずは服屋よ!もし良い服が見つからなくても、良い布ならあると思うの!」
「確かに尾張より断然期待出来るわね!エルフの布も素敵だけど、量が少なくて滅多に買えないし」
「さあさあ、店に入ろう!」
服に飢えた集団が服屋に突入していった。
「いらっしゃいませー!・・・ええええっ!?なんか凄い人数が!!」
「こんちわ~!尾張からの団体ツアー客ですよ。みんなに良い服を勧めてやって下さい」
「お任せ下さい!きっと皆様を満足させてみせます!!」
最初は驚いていたけど、こんな商機は滅多に無いだろうからな。店員の目に炎が宿っていた。
んじゃ後は店員さんに任せて、俺はゆっくりウィンドウショッピングと行こう!
まだこの街にガラスは無いみたいだけど。
いや~、流石は三河だな!品揃えが尾張とは天地の差だ。
レベッカさんがアリア出身だから、色んな服を教えたって可能性もあるか。
このラインナップならば、みんな満足行く服を買えるんじゃないかな?
・・・ということは、尾張に帰ったら付与ラッシュじゃねえか!
まあそれはしょうがないか。恩賞で服を手に入れてない人達にとっては千載一遇のチャンス到来だもんな。
そうだ!男性服を大量に仕入れれば、褒美として渡せるじゃん!ガッツリ強化は出来ないだろうから、赤い流星卒業ってわけにはイカンだろうけど。
よし、男性服の大人買いと行こうか!金なら十分ある。
店員を一人呼んで、男性服を片っ端からどんどん購入して行く。
ドワーフ達や、ヴォルフ、ルシオ、ボヤッキーなんかも服が欲しいだろうから、まずは彼らが最優先で、残った服を俺が全て大人買いすることになった。
「女性達すごいなあ・・・、店の服が全部無くなる予感がします!!」
「わははははっ!尾張の兵は服に飢えてるんだ。またいつか爆買いしに来るだろうから、その時までにまた服をいっぱいにしといてくれよ!」
「が、頑張ります!此方としましても、またとない商機ですしね!」
ここで頑張らずにいつ頑張るって話よな。
男性服の回収は店員に任せて、俺は雑貨屋の方を見ることにした。
「塗料発見!」
前に清光さんからいっぱい買ったけど、こういうのは有れば有るほど良いからな。当然これも爆買い決定だ。
他にも必要そうな物を見つけたら、バンバン大人買いして行く。
俺にはほとんど必要の無い物なんだけどさ、ミケネコ城の中に売店を作ろうと閃いたのだ。そこで儲ける気は無いから、定価のまま横流しだな。兵士達に流れるだけだから問題にはならんだろう。
店主と交渉して、健康ランドに店を出さないか話を持ち掛けるってのも少し考えたんだけど、尾張の雑貨屋が潰れてしまうからやっぱりダメだな。
雑貨屋の商品をつるっぱげにしてから服屋に戻ると、案の定、服屋もつるっぱげになっていた。
「わははははっ!いや~~~、見事なほど何も無くなったな!」
「これじゃあしばらく閉店ですよ。嬉しい悲鳴ですけどね!!」
「安心しろ。雑貨屋もつるっぱげにして来たぞ!」
「あっちもですか!いや~、こりゃあ本当に閉店だあ~!」
「レベッカさんの店もこんな感じだぞ」
「ヒィィィィ~~~!!」
当分の間、仕入れ作業を頑張ってくれ!
店主に金を払い、男性服を受け取ってから外に出た。
「よし!じゃあそろそろ尾張に帰るぞー!」
「ねえねえ!雑貨屋に行って来たんだけど、何にも無かったわよ!」
「ああ、俺が買い占めた!」
「ひどーーーい!!」
「ミケネコ城に売店を作ってそこで買えるようにするから、帰ったら皆そこで買ってくれ。値段は俺が買った金額そのままにするから」
「なるほど~、それならいいや」
そして買い物をしてホクホクの皆をバスに乗せる。
「三河の凄さが良くわかっただろう?尾張も絶対これ以上の国にするつもりだから、此処で見た光景を忘れずに、尾張の内政に生かして欲しい!」
「本当に素晴らしい国だったわ!この経験は必ず生かすわよ!」
「凄すぎて、今までやってたことが全部無駄になった」
「全部作り直せばいい」
「これほどの技術があるなどとは、ワシの想像以上だったわい!」
「ワシらの街も、もっと気合入れて作らんと駄目だな」
とても良い反応だ。今日の経験は相当な刺激になったようだな。
エルフ達と同じように世界観そのモノが変化したのだろう。
これから尾張は、間違いなく加速度的に発展して行くぞ!
そして俺の予定はギッシリだ!
・帰ってすぐ服の強化をしまくる。
・ミルドナーガとシェルフィーユの屋敷を改造する。
・ガラス工場を作る。従業員を大量に雇う。作業工程を叩き込む。
もう涙が出て来ますよ!!・・・まあ楽しんでやってる所もあるけどさ。
80人が大量の服を抱え、総重量を更に増したバスが、尾張に向かって発進した。




