175 どうもチェリンの様子がおかしい
大盤振る舞いの後はプールで一泳ぎだ!
料理の後片付けをした後、大浴場へ向かう。
「おーーー、今日はえらい混んでるな!って、出張組が帰って来たんだった」
まずは洗い場に行って椅子に腰かける。
「やっぱり大浴場は最高ね」
「ん?チェリンか。そういやシェルフィーユにいたんじゃ、トラネコの大浴場へ行くのも大変だよな」
「そうなのよね~、普通のお風呂も不便で困っちゃうわ」
あっ、この城とトラネコ城のお風呂は最新式だけど、シェルフィーユとミルドナーガは一般的なお風呂なのか・・・。
「気が回らなくてすまん!皆を送り届ける時に、シェルフィーユとミルドナーガの屋敷を改造しよう。お風呂セット以外にも洗濯機や照明、出来たばかりの掃除機も設置するからな!」
「本当に!?やったーーーーー!ありがとう!!」
チェリンに力いっぱい抱きしめられ、しかもキスの嵐が・・・。
フオオオオオオオ!!ちょ、お風呂ですよ!?裸で抱きしめられたりしたら、大きくてやわらかいモノが、それはもうすごいことに!!
「お礼に今日は私が洗ってあげるわね!!」
「え???マジっすか!?」
髪を優しく洗われた後、体も優しく洗ってもらった。
何ということだ・・・、ここは天国ですか?チェリンの洗い方ってば、他の人に洗ってもらう時よりも優しくて柔らかいのです。うん、とにかく色々と柔らかいのだ。
やっぱ人に優しくすると自分に跳ね返ってくるのだな!
これからは、今以上にもっと皆のことを気にかけてやらんとな~。
自分だけが洗ってもらうだけじゃ悪いので、お返しにチェリンの体も洗ってあげた。
「今日は新しい遊び道具を持って来たんで試すとするか!」
「それってプールで遊ぶ道具?」
「浮き輪みたいなもんなんだけど、こっちのはもっと本格的だぞ!」
脱衣所から持って来たゴムボートを、フットポンプでシャコシャコ膨らませる。
そしてこの日の為に作っておいたオールを、ゴムボートにセットした。
「よーし、まずはチェリンが前に乗ってくれ。そのあと俺も後ろに乗るから」
「わかったわ!」
2人でボートに乗り込む。
「本当はプールじゃなくて、湖や川とかで使うのが良いんだろうけどな」
「アハハハハ!でもこれはこれで楽しいわよ!
前方に進むようにオールを漕いでプールを進んで行ったけど、正面に進むのはやっぱしっくり来ないんで、後ろ向きになった。
「まあこんな感じでオールを漕げば、前や後ろに進むことが出来るのだ」
「お手軽な船なのに、これなら湖を横断とか出来そうね!」
プールで必死に漕いでてもしゃーないので、漕ぐのを止めてただプカプカ浮いていると、チェリンが後ろから背中合わせに寄りかかって来た。
なにィ!?いや、まあ別に良いんだけどさ、これじゃなんか恋人同士みたいやん?
―――だがそんな甘い空気は、混雑したプールでは一瞬で終わる。
「あーーーっ!また小烏丸が新しいオモチャで遊んでるっス!!」
「ずるーい!ワタシも乗りたーい!」
「浮き輪の大きいヤツかしら?」
「おっと!どうやら騒がしいのに見つかってしまったようだな」
「あら?少し眠くなりかけてたのに」
「しゃーねえなー、ゴムボートは三人組に譲ってやっか」
入れ替わりで今度はルーシー・ピピン・エレンがゴムボートに乗り込む。
「にゃははははは!浮き輪よりも全然沈まないっス!」
「この棒みたいのはなあに?」
「そのオールを漕いで、前や後ろに進んだり出来るんだぞ」
「よし、ウチが漕ぐっスよーーー!」
「じゃあワタシはこっちを漕ぐね!」
当然ながら息ピッタリ!ってこともなく、二人バラバラに漕ぐので、ゴムボートは変な動きをしている。
終いにはクルクル回り出した。
「ぷぷっ!おーい、クルクル回ってんぞ~!一人で漕いだ方が良いんじゃないか?」
「目が回る~~~」
「う~、エレン頼むっス!」
「しょうがないわねえ・・・」
エレンに漕ぎ手をチェンジしたら、今度はちゃんと進むようになった。
「エレンすごいすごい!さあ、プールの端っこまで行くよー!」
「漕ぎ方が少しわかって来たわ!逆向きの方が力が入るわね」
「おおお!本当に速くなってるっス!」
そんなこんなで、プールは新しい遊具の登場で賑やかだった。
俺とチェリンも一泳ぎしてから、それぞれの部屋に帰ってぐっすり寝た。
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むにゅん
ん~~~、うう・・・。
もにゅん
・・・・・・ああ、朝か・・・、ん?
もにゅもにゅ
「なにィ!?なんかいる!!」
布団をめくると、そこにはメロン、いや、チェリンが寝ていた。
「んーーー、寒いわね」
「ああ、悪い!ってそうじゃねえ!なぜチェリンが布団の中にいる!?しかも全裸じゃねえか!」
「う~~~、もう朝から騒がしいわねえ・・・」
チェリンが目を覚ましたようだ。
「おはよ~~~」
「おはようございます。ってだからそうじゃねえ!いつの間に布団へ侵入したのだ!?」
「ん~~~、えーと・・・、夜中に目が覚めておトイレに行って~、何となく小烏丸くんの部屋を覗いたら豪華な寝床で寝ていたから、中に入ってみたのよ」
「なるほど。そのまま布団の魔力に逆らえずに眠ってしまったのか・・・。ってイカンでしょ!こんなん最強紳士の俺じゃなかったら、間違いなく襲われるぞ?」
(私は全然かまわないわよ?)
「ん?何か言ったか?」
「いいえ、何でもないわ。じゃあそろそろ起きましょうか!」
そんなこんなで朝から疲れてしまったぞ!
チェリンも、ずっとシェルフィーユ暮らしで寂しかったんだろな~。




