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162 ルーサイア近郊ツアー

 バスが走り出すと、当然みんな大騒ぎだ。



「わわわっ!動いてるよ!?」

「この透明な壁のお陰で、外の動いている景色が見られるわ!」

「マリアナ!外の木が動いてるのじゃ!!」

「外が動いているのではなく、このバスという物が動いてるみたいですよ」


 馬車の世界でいきなり大型バスだからな。そりゃあもう全てが新鮮だろう。


『ご乗車の皆様、もしバスの揺れでご気分が悪くなりましたら、座席手前にある袋をご利用下さい。まあ簡単に言いますと、車内にゲロされると堪らんので、その袋の中にゲーゲー吐いて下さいという意味で御座います』


「バスって、乗ってると気分が悪くなったりするのか?」

「この揺れがダメな人って結構いるんですよ。道が良ければ大丈夫なんですけどね」



 そろそろみんな慣れただろうと地味にバスの速度を上げてくと、遠くにパラゾンの街が見えて来た。



『まもなくパラゾンに到着します。そこで一旦トイレ休憩にしますので、少しでも便意がある人は必ずトイレに行って来て下さいませ。そうしないと、その辺の原っぱで用を足すことになりますので』



 パラゾンの入り口まで行ってバスを停車させると、衛兵が目をまん丸くさせながら慌てふためいていた。



『パラゾンに到着しました。一旦降りてみることをお勧めしますが、用を足したら必ず戻って来て下さい。もしいくら待っても戻らない場合、パラゾンに置いて帰りますんでヨロシク!』


 ボタンを押して入口のドアを開けた。

 ドアは中からも外からも開けられるようになっているのだ。


「うわあ~~!本当にもうパラゾンに着いちゃったよ!」

「おトイレってどこのを使えばいいのかしら?」

「パラゾンにある領主の館なら気兼ねなく使えるけど、少し遠いわよね」

「櫓のトイレで良いんじゃないかしら?若干廃墟になりかけてるけど」



 やはりトイレを我慢してた人もいたようで、みんなダッシュで櫓に入って行った。

 その間に街の衛兵に事情を説明する。



「小烏丸だ。いきなり変なのに乗って現れてすまんかったな。これは人を大量に乗せて移動できるバスという乗り物だ。度々これに乗って移動すると思うので、仲間にも知らせてやってくれ」


「な、なるほど!いきなりだったので本当に驚きました!仲間には伝えておきます!」

「あ、そうだ!ちょっと待っててくれ」



 マジックバッグからカメラを取り出し、少し離れた位置からバスの写真を撮った。

 衛兵にそれを渡す。



「この写真を見せれば、バスがどんな物なのか伝えやすいだろ?」

「なっ!?この素晴らしく立体的な絵は一体・・・」

「んとな、それは絵じゃないんだよ」


 カシャッ!


 衛兵の写真を撮ってそれを渡した。


「え?えええええええええっ!?俺がいる!?」

「風景を紙に一瞬で記憶できる魔道具だ。すごいだろ?」

「凄いなんてもんじゃないですよ!!!なんと摩訶不思議な・・・」


 写真の存在を知ってるのって、ミスフィート軍の兵士くらいだもんな。

 ああ、兵士でもパラゾンに駐在している人はまだ知らないハズだ。


「その写真は記念にプレゼントしよう。家にでも飾っとけ!バスの写真は他の衛兵全員に見せてからならば好きにしていいぞ」

「了解しました!」



 全員がいるか点呼を取り、皆ちゃんと揃ってるようなので、バスに乗り込んだ。



「次どうすっかな~。清光さんが前に作った砦まで行ったら、あの場所だと泊まりになってしまうよな。鉱山まで行ってルーサイアに戻るくらいにしとくか・・・」


「鉱山というのは、ドワーフに使用許可を出したあの鉱山か?」

「そこです。今回は試運転なので、あまり遠出をするのもどうかと思いまして」

「ふむ。ならばドワーフの街の成長が見られそうだな」

「そうですね。鉱山の帰りに寄ってみましょう!」


『まもなくバスが発車します。次の目的地はルーサイア北の鉱山で御座います。発車の際、少し揺れますのでご注意下さい』



 そしてバスは鉱山へ向かい、そこで軽く遊んだ後、ドワーフの街へと到着した。






 ************************************************************






「おおっ!『凄い物が出現した』と聞いたので来てみれば、やはりこがらす殿じゃったか!久しぶりじゃのう~!」

「ドワンゴさん、お久しぶりです!街が大きくなって来ましたね!」

「皆が頑張ってくれとるからなっ!ドワーフも近隣国からどんどん集まって来とるぞ!」

「それは素晴らしい!街作りが落ち着いたら鍛冶の仕事をガンガン頼むと思うので、その時はよろしく!」

「凄まじい量とかでなければ、すぐにでも引き受けても良いぞ?仕事が欲しい民衆も結構いるのでな」

「あー、それなら遠慮無く仕事を頼んでも良さそうですね」


 会話をしながら、ドワンゴさんがチラチラと俺の背後を見ていたのは知っていた。


「それにしても、このデカくて赤いのは何なのじゃ!?」

「俺が今日完成させたばかりのバスという乗り物ですよ。80人を乗せてかなりの速度で移動出来ます」

「いやはや、流石小烏丸殿じゃ!常に時代の最先端を行くのう・・・」

「乗り物が量産出来る所まで行けば、尾張はもっと素晴らしい国になると思っています。さて、じゃあそろそろルーサイアに帰るとしますかね」

「そうか、ドワーフに頼みたい仕事があったらよろしくな!」

「了解です!では」




 ・・・・・




 ドワーフの街を見学していた皆をバスに乗せて、ルーサイアへと帰還した。



「皆さんお疲れ様です!バスの乗り心地はどうでしたか?」


「すごく楽しかったのじゃ!」

「素晴らしいの一言ね!」

「わたしは、ちょっと具合が悪くなったかも・・・」

「無茶苦茶楽しかったっス!また乗りたいっス!」

「楽しかったねー!今度これで三河の国に行ってみたい!」



 具合が悪くなった人もいたけど、かなりの高評価みたいだな!これならば、エルフを三河に連れて行っても問題は無いだろう。次のミッション開始と行こうか!

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