159 魔法少女メルティー
「ランパ・ルルンパ・クルリンパ!」
メルティー様の持つ変身ステッキが光を放つ。
「なにィ!!?」
ステッキを掲げ魔法の合言葉を叫んだメルティー様が、なんと宙に浮いた。
1メートルほど浮き上がった所で体全体からキラキラと光を放ち、服が足元から少しずつ変化して行く。
真っ白だったブーツに宝石のようなアクセサリーが出現し、ワンピースが少しフワフワな感じに変化して、胸のあたりに大きなアクセサリーが出現。そして帽子がティアラになって、マントが小さな羽になった。
変身を終えたメルティー様が床に着地する。
「「・・・・・・・・・・・・」」
「うわあ~~~~~~~~!!メルティーちゃんかわいい!!!」
「うにゅにゅ??・・・おお!?なんか服が少し変わったのじゃ!!」
変身ステッキすげーーーーーーーーーーー!!!
俺は夢でも見てるのか!?
リアルで魔法少女の変身シーンを見れる日が来ようとは!!
「小烏丸さん、今のは何???」
変身シーンを見ていたルルも、驚きで目をまん丸くしている。
「メルティー様は、変身ステッキで魔法少女メルティーに生まれ変わったのだ」
「もうまったく意味がわかりません!」
「ちょ、ちょっと!今のは何なんです!?メルティー様が浮いてましたよ!?」
「えーとな、アレは魔法少女に変身する時によくある現象だ。あまり深く考えない方が良いだろう」
「何か適当ですねっ!!」
だって俺にも理解不能な現象なんだもんよ!!
まさか、これほど本格的な魔法少女セットだとは思わなかった。
流石はガチャから出たアイテムだな。予想を遥かに超えて来おったわ。
「メルティー様、変身前と何か変わったことってあります?」
メルティー様が自分の体をポンポンと触ってみる。
「んーーーーー、はて?わからんのじゃ!」
魔法少女になったのだから、魔法を使わないと効果が無いのかもしれん。
しかしメルティー様が何か魔法を使えるようになっているとしても、とんでもない威力になってる可能性があるんで、今は何も言わんでおこう。
検証するならば、こんな夜じゃなくて昼間の方が良いだろうし。
「うん、とりあえずは見た目が変わったってだけかな?」
「すごく可愛い服なのですよ!小さな羽が生えてます」
「服の見た目が変わっただけなのなら、問題は無いのでしょうか・・・」
「小烏丸、この杖はずっと持ってなきゃならぬのか?」
「それは杖じゃなくて変身ステッキですよ。えーと、ああ!腰のベルト部分に差し込めるようになってますね」
メルティー様が、ステッキを腰の小さな鞘みたいな物に収納した。
「おおっ!これでもうステッキを持ち歩かなくてもいいのじゃな!」
「そうですね。両手も空きましたし、思う存分ララと遊べますよ~」
「やったのじゃ~~~!ララ、童の部屋まで手をつないで行くのじゃ!」
「うんっ!」
ちびっこコンビは手を繋いで歩き出した。
うむ、ほっこりしますなあ・・・。
「しかし、ルルの部屋とは方向が違うんだよな」
「あははっ!楽しそうなのでそれは言えませんね~」
「ルル様、申し訳ありません。メルティー様の部屋まで御付き合い下さい」
「気にしないで下さいです!」
そのまま皆でメルティー様の部屋に入ったのだが、大人組でお茶を飲みながら子供らが遊んでいるのを見ている時に、ふと気付いた。
「あれ?メルティー様の服が元に戻ってね?」
「あっ!ホントです!」
「あら、いつの間に・・・」
あれから1時間くらいか?効果時間が過ぎたっぽいな。
「どうやら変身して1時間で効果が切れるみたいだな」
「でも何の効果があったのか、さっぱりなのです」
「よく分かりませんが、元に戻って良かったです」
世間話をしていたら結構な時間が経ち、そろそろ部屋に帰ろうかと思いララとメルティー様を見ると、二人はいつの間にか布団に入って眠っていた。
「あらら、いつの間にか二人が布団に入って眠っているぞ」
「困りましたわ・・・、どうしましょう?」
「ん~~~起こすのも可愛そうなので、今日はララを泊めてもらってもいいです?」
「私は構いませんが」
「マリアナが寝るのにちょっと狭そうだな。毛皮でも置いていこうか?」
「えーと、ぎりぎり大丈夫そうです」
「じゃあララをお願いするのです!ボクはそろそろ部屋に帰りますです」
「俺も部屋に戻るわ」
「御二方、メルティー様に良くして頂き、本当に有難う御座いました!」
そんなこんなでようやく子守り隊は解散した。
なんか今日は変な日だったな~。子供の友情を見守る会が結成されてしまったぞ。
明日は早速大浴場の工事をせんとな。
子供専用プールを作ってしまえば、他のみんなもまた普通に遊べるようになるし、子供達も新しい遊び場で楽しめるようになる。それに浅いプールならばマリアナも安心だろう。
そして次に造るのは街の公衆浴場だな。
いや、どうせ造るのならば健康ランドだろ!プールまで作ると管理が大変そうだけど、そんなのは全部民衆に任せれば良いだけのこと。魔道具の管理さえ徹底させれば、大きな事故も起きないだろう。
そして大型バスだ。これが完成すれば、エルフ達を乗せて三河に連れて行き、文明を飛躍的に上昇させることが出来るようになる。
何かまたいっぱい予定が増えてきたけど、期限は無いんだし楽しく行こうか!




