133 ラストスパート
温水洗浄機能付きトイレは非常に不評だった。
だがそれは設置当日の話。
1週間も経つとそれが普通になって行き、最終的には普通のトイレじゃ我慢出来なくなるのはもう既定路線だと思ってる。
強制的に城のトイレは全て温水洗浄機能付きとなった。
まあ本当に嫌なら使わなきゃいいだけだから問題は無い。
そしてようやく、ミスフィートさんから預かった毘沙門天を最終段階まで強化することが出来た。
・・・・・
トントン
「入れ」
ミスフィートさんの部屋に入ると、彼女は机で書類と睨めっこ中だった。
「毘沙門天の強化が終わりましたよ」
「おお!私の刀がまた強くなったのだな!」
[毘沙門天]
:織田小烏丸作の刀。様々な付与魔法が込められている。評価SS
:総オリハルコン製。
:斬撃強化(極)斬撃速度強化(極)刺突強化(極)刺突速度強化(極)
:自動修復(強)衝撃耐性+++ 汚れ耐性+++ 防水機能
「・・・・・・・・・(極)って何だ?」
「(強)の更に上まで強化すると(極)になるのです。俺が出来る最大の強化です。これ以上の性能の装備品は今まで一度も見たことが無いので、最強と言っても過言ではないと思いますよ」
「す、凄いじゃないか!!」
「とはいえ俺の武器も同じ性能ですし、三河の二人の武器も最大強化しましたので、同等の武器は存在しますけどね~。同じ性能の最強武器同士がぶつかり合ったらどうなるかまではわかりません」
「なるほど・・・。どっちも壊れる可能性が高そうだから試せないな」
「なんせ最大強化するのに長い期間かかってますから、折れたら俺が号泣します!!まあどっちにしろ所持者は皆味方ですし、他国にこれ以上の武器が存在するとも思えないので、武器の性能差による敗北は無いと思って良いんじゃないでしょうか?」
「はぁ~、この刀に一体どれほどの価値があることやら・・・」
価値か・・・、たぶん世界の半分が貰えるくらい?
強さを追い求める人なら、全てを投げ捨ててでも手に入れたい代物だろう。
だからこそ、味方であろうと気心の知れない人物には絶対に渡せない。
でも尾張の為に働き続け、家老まで昇り詰めた者には渡そうと思ってる。
もちろん渡す相手に野心が見えたらダメだ。俺の武器で反旗を翻されたら洒落にならんし。
「じゃあ俺はそろそろ次の仕事に行きます。一般兵達が使える浴場を作ってやりたいのですよ」
「おお!それはきっと皆喜ぶぞ!刀の強化、本当にありがとう!」
ミスフィートさんの部屋を出て、ルルを探しに城門に向かった。
・・・・・
「おーい、ルルー!」
「ん?あっ小烏丸さん、ボクに何か用事ですか?」
「前に言ってたヤツ。一般兵の為のお風呂を作って欲しいんだ」
「今度は外にお風呂ですか・・・。ボクはお風呂職人に転職したです!?」
「悪いな、今はルルしか作れる人がいないんだ。えーとな、城内のお風呂はそれなりの身分が無いと使えないからさ、足軽や小物達が使える浴場も必要だな~ってずっと考えてたんだよ。入口を二つ作って、男湯と女湯に分けようと思ってる」
もちろんイメージしたのは日本の銭湯だ。
「えーと、一つの建物を半分にする感じです?」
「そうそう!少し横に長い建物を作って、その真ん中を壁で仕切るんだ。ああ、作る場所に案内するんで、そこでもう一度説明するわ」
「了解です」
その日の昼から銭湯の建築を開始した。
大きさと浴槽の設置場所などの説明をし、あとは完全にルル任せ。彼女が建物を造ってる間に俺はお風呂セットを作る。
お風呂セットとは勿論いつものアレですわ。大量の照明やシャワー、そして水生成機にお湯生成機といった小烏丸印のお風呂セットだ。
************************************************************
「よーし!これで完成だな!」
「絶対みんな喜ぶですよ!城の大浴場より少し小さくてプールも無いですけど、結構な人数が一斉に入っても大丈夫と思うです!」
「足軽組頭以上の全員を合わせた人数よりも、足軽以下の方が断然多いからな~。これくらいの大きさじゃないと話にならんのだ」
「あとは注意事項の説明と、定期的な見回りも必要なのです」
「そうだな、なら見回りは足軽組頭の仕事にしよう。男女一名ずつって感じか」
これからは全部俺1人でやる必要なんてない。使える人はいくらでもいるんだから、逆に仕事をどんどん振り分けて行かないと駄目だろう。風呂掃除は足軽の仕事にすっかな?
とりあえず最初は、風呂を良く知っているボヤッキーとユリに説明係をやってもらって、定期的な見回りは足軽組頭の誰かに任せよう。
早速銭湯を一般兵に開放すると、これがまた驚くほどの大盛況ぶり。
毎日訓練の終わりにひとっ風呂浴びるのが、兵士の楽しみの一つとなったようだ。
ルルと相談し、ルーサイアの街の中にも銭湯を建てることが決定した。
目指すのはお洒落な街なのだから、民衆も綺麗好きになってもらわんとな!
この建物よりもっと規模をデカくし、銭湯の他にも食堂や売店を設置するなどして、憩いの場としてルーサイアの中央に君臨させる予定だ。
銭湯の料金は格安にして、貧乏人にも使ってもらえるようにしたいな。
どうせお湯は無限に製造できるのだから、コスト?何それ?状態だし。
ただ建築出来るのがルルだけってのはよろしくない。
そろそろ他のエルフ達も、こっち側に引き摺り込む必要があるな!
評価やブックマーク、そして誤字報告をしてくれた方々、
本当にありがとうございます!これからも応援宜しくお願いします。




