119 論功行賞Ⅰ(4回目)
「やっと終わったああああああああ!!」
あれから1週間、特別恩賞のミスリル刀を仕上げることだけに集中し、何とか7本を完成させた。
しかし7本ってのは服持ちの最大人数分ってだけなので、みんなが貰えるかどうかはまだわからん状態だ。
オリハルコン刀はまだ与えるつもりはない。安売りしてしまうと将来の目標がなくなってしまうからな。その代わり今回の論功行賞では身分が与えられる。
今回はダンジョン服を与えられる人数が多いので、手持ちの女性服ストックがほぼなくなるのが確定している。三河の二人の装備を完成させたら、すぐにでもダンジョンで補充しなきゃな~。
その交渉の支払いはもう考えてある。アレならば絶対に食いつくハズだ!
ドワーフ達に作ってもらっていた大量の照明が昨日届いたので、論功行賞の後は光生成の付与ラッシュが待っている。それが終わったら虎徹さんの黒衣の付与だ。
「はぁ・・・、先は長いぜ・・・」
ウォータースライダー作りたいんだけどなー。
最近さ、大浴場に行くのがすげえ楽しみなんだよ。
女の子達とプールで遊ぶのが楽しくないワケがない!しかもみんな裸なんだぞ!?
俺の中で、ウォータースライダーの優先順位はもの凄く高いのだ。
けど予定が詰まりすぎてて、マジで作る時間がねえ・・・。
がんばれ俺!付与を終えたら、キャッキャウフフの未来が待ってるのだから!
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そしてとうとう論功行賞の日がやって来た。
今回からの論功行賞は、ミケネコ城の玉座の間で行うことになっている。
皆が注目する晴れ舞台なので、入口の方まで兵がビッシリと集められた。
「これより論功行賞を始める!」
その一言で、騒がしかった玉座の間が静まり返った。
「我らはとうとうジャバルグ軍を撃破し、尾張を手中に収めることに成功した!。ようやく尾張は平和な国となったのだ。・・・いや、これから我らの手で平和な国を築き上げるのだ!!」
「「オーーーーーーーーーーーーッ!!」」
「ジャバルグとの決戦は、尾張の命運を賭けた非常に大きな戦だった!なのでまずは皆の奮闘を称えて、戦に参加した兵全員に金貨50枚を授ける!」
「「うおおおおおおおおーーーーー!!」」
今回は参加人数が多いので、盛り上がりが半端ねえな!
「当然今回も、特に活躍が目覚ましかった者達には、更なる特別な恩賞を与えるぞ!そして、晴れて尾張の正規軍となった皆にはそれぞれ身分が与えられることになる。その身分に恥じぬよう、これからより一層の活躍を期待する!」
「「ハッ!!」」
「戦功一位は、先制攻撃で敵に甚大なダメージを与え、宿老ジャグルズを単独で倒してみせた小烏丸だ!これにより敵の前線は崩壊し、戦いを圧倒的優位に進められる事となったのは誰の目にも明らかだろう!」
まあ今回は俺だよな。ジャグルズって宿老どころかジャバルグの右腕ってレベルの実の弟だし。ただジャバルグを単独撃破したミスフィートさんの方が、俺よりも戦功一位だけどね。
「そして戦功二位は、宿老シャガールを撃破したカーラだ!追撃戦ではシャガールの粘りに我が軍は相当苦しめられた。しかしシャガールの死によって、我々は多くの敵兵を倒す事に成功したのだ!この功績は非常に大きいと考える。二人とも前へ!」
階段の下まで進み、カーラと並んで床に片膝をつく。
「小烏丸とカーラを部将に任命する!部将には論功行賞での報酬以外に、毎月金貨50枚が支給されるぞ。そして侍大将以上の身分の者には、今回から領地が与えられるからな!しかしまだ尾張を平定して間もないので、地名を言っても皆わからないだろう?なので場所は後程、地図を見ながら説明するぞ!」
「「ありがたき幸せ!」」
領地ねえ・・・。
正直あんまり嬉しくなかったりする。
予定が詰まりすぎてて領地の経営なんてやってる暇がないし、俺は自分の街作りよりも、この城で楽しく暮らしたいんだよなあ・・・。皆といると色々楽しいしさ。
「というのが最初の予定だったのだが、一つ変更するぞ!」
ん?
「小烏丸の身分は、やっぱり部将ではなく軍師とする!正直な所、ジャバルグ軍を撃破出来たのは小烏丸がいてこそなのだ。我らに刀という強力無比な武器を与え、聖水で皆の生存率を上げ、数々の魔道具で生活力も向上させ、三河との同盟まで成立させた!」
目が合うと、彼女は優しく微笑んだ。
「そして尾張の国を豊かにするには、小烏丸の知識が必要不可欠なのだ。私はどうしても小烏丸を傍に置いておきたい!」
・・・ミスフィートさんは、俺のことをわかってくれていたんだな。
そこまで信頼されていて、NOと言えるわけないじゃないか。
「というか小烏丸は便利なのだ!一家に一台必要なのだ!次々と面白い物を生み出してくれるから飽きないのだ!本当に毎日が楽しいのだ!」
「途中までちょっと感動してたのに、結局便利屋じゃないかーーーい!!」
「「どわははははははははっ!!」」
「でもわかるわ!小烏丸といると全然飽きないのよね!」
「うんうん!」
「どんどん便利な物を作ってくれるから、いつも面白いっス!」
「この恩賞の服にしたって驚きよね!今まではお洒落の楽しさなんて考えもしなかったもの」
「お城にずっといてもらわなきゃ困るわ!」
確かにみんなが言ってることもわかる。俺がいなきゃ文明の発展速度は非常に緩慢になるだろう。そもそも内政出来るヤツが1人もおらんし。
とにかく城を出て行くのが嫌だったんで、これは渡りに船だ!
「了解しました。軍師としてミスフィートさんの傍に仕えましょう!」
それを聞いて喜ぶミスフィートさんや皆の笑顔を見て、この世界に来て本当に良かったと、心から思えたのだった。




