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110 城が完成するまでに

 なぜ、ダンジョンに連れて行ってもらう交渉をしないかには理由がある。


 まず、俺は現在やることがギッシリ詰まっている。

 2着の服の最大強化、剣2本の最大強化、毘沙門天の最大強化、あと短剣2本か。

 そして美濃や伊勢が、すぐにでも攻撃してくる可能性。


 それにダンジョンで収集するからには、どうせならガッツリ行きたいのだ。


 1日程度じゃ魔石集めもそれほど出来ないから、思う存分ガチャが出来ない。

 聖水の補給や食材の補給だけでもって気持ちはあるんだけど、一度行ってしまったら、すぐにもう一回ってのはちょっと頼み辛い。なので、ゴタゴタを全部片付けてから一気に休みを取り、思う存分補給をしようって作戦だ。


 問題は交渉材料の方なんだけど、渡すブツはもう考えてある。


 すなわち、日本では普通にあったのにこの世界には無いモノ。要は、我慢が解消される魔道具を作れば良い。あの二人が飛びつかずにはいられないモノをな!

 


 まあそれは後だ。とりあえずはニーニャさんの武器の付与をやってしまおう。






 ************************************************************






 指輪ブーストの効果もあって、予定の半分の時間で2本の短剣の付与が終わった。

 城の完成まで何日かかるかわからないが、何にせよ余裕が出来たのだ。

 でも馬鹿正直に報告はしない。時間がかかった方が、付与に苦しんでるように見えるからな~。


 付与魔法が交渉材料になっているのがとても重要で、まあ、簡単に出来るとなると価値が下がってしまうワケですよ。

 恩賞にしてもそうなんだけど。苦労して強化しているからこそ価値がある。

 まあ服の場合は単純に見た目が可愛いから、強化前のデフォルト状態でも十分魅力的だろうけどね。



 トントン



 ん?作業部屋に客だと!?一体誰だろう?



「どうぞ~」


 ガチャッ


 作業部屋に入って来たのはミスフィートさんだった。


「なあなあ、小烏丸!」


「あれ?ミスフィートさん、どうかしましたか?」

「私のラビちゃん号を出してくれないか?皆に自慢したいのだ!」


 あ、そうだ!ずっと俺が持ったままだった。


「ああ、それならパンダちゃん号も一緒に披露しましょうか?」

「そうだな!そうしよう!!」



 作業部屋を出て訓練場に移動し、マジックバッグからラビちゃん号とパンダちゃん号を取り出した。



「おおおお!何っスかそれ!?」

「ラビ?なんかすごく大きいけど・・・」

「わあ~!何これ?可愛い!!」



 訓練をしていたみんなが集まって来た。



「これはな、三河で買って来たのだ!凄いんだぞ!?これに乗って遠くまで移動出来るのだ!」


 ミスフィートさんがラビちゃん号に乗って、うにょうにょと歩き出した。


「おおおおーーーー!凄いっス!むっちゃ可愛いっス!」

「かわいい~~~~!!」

「すごいすごい!こっちの白黒のも動くの?」

「こっちも動きますよ。乗ってみて下さい。操作方法を教えますので」

「やったーーーー!!」


 セーラがパンダちゃん号に乗ったので、動かし方の説明をする。


「わわわわっ!動いたーーーー!!」


「あーーーっ!ずるいっス!ウチも乗るっス!」


 ルーシーがセーラの後ろに飛び乗った。

 こう見えて結構パワーがあるから、二人乗りくらいは楽勝だろう。


「あはははははははっ!!」

「むっちゃ面白いっスーーーー!」

「ずるい~~~!私も乗せて~~~~!」

「ハハハッ!ならこっちのラビちゃん号に乗るといい!」


 ミスフィートさんと交代で、他の人らがラビちゃん号に二人乗りした。


「あーっはっはっはっはっは!すごく楽しいねこれ!」

「すごいね!世の中にこんな物があるなんて!」

「三河ではな、この乗り物がうじゃうじゃ歩いてるのだ!圧巻だぞ」


 この国には娯楽というモノが無いからな・・・。

 こうして皆が楽しそうに遊んでるのを見ると、こっちまで楽しくなる。

 絶対にこの平和を守らなくてはならない。美濃や伊勢の思い通りにはさせん!


 かなり気分転換になったので、魔道具を作りに作業部屋へと戻った。






 ************************************************************






 魔道具作りを頑張って、水生成機が5個、氷生成機が5個、拡声器、瞬間湯沸かし器などが完成した。


 拡声器は、ビームライフルをぶち込んだ後、敵を追っ払うのに必要と思って作った。デカい声で怒鳴り散らすのは、それだけでも大変だからな。


 瞬間湯沸かし器は、熱生成機の危険性を考慮して作った。

 水を出して温めるよりも、最初からお湯を出した方が手っ取り早い。コレをお風呂の水生成機の横にセットして、熱生成機の方は撤去するつもり。


 とりあえず予定していた仕事が終わったので、ミスフィートさんと一緒に城の進行状況を確認しに行くことにした。




 ・・・・・




「おおーーーーー!!すでに完成してるやん!」

「本当に凄いなっ!こんな短期間で城を作り上げるなんて・・・、清光殿の土魔法はとんでもないレベルだぞ!」


「あ、二人ともいたにゃー!清光がにゃかで呼んでるにゃ」

「了解です!じゃあ入ってみましょう」



 すげえ・・・、三河で見たあの城に匹敵する、美しくも頑強な城だ。

 交渉を持ち掛けたのは大正解だったな。


「こっちにゃ」


 ニーニャさんが巨大な扉を開けると、中は玉座の間だった。



「どうだ?」


「なんて素晴らしい城なのだ!清光殿、美しい城をありがとう!」

「いや~、本当に凄いですね!短期間でこれほどの城を作り上げるなんて」

「これなら文句あるまい?服の強化は頼んだぞ」

「任せて下さい。出来上がったら順次連絡を入れますので」


 プルルルル


 ・・・ん??通信機が鳴っているな。


「10番、ヴォルフか!」


 すごく嫌な予感がするぞ・・・。10のボタンを押した。


「ヴォルフ、どうした?」


『大変です!美濃の軍勢が国境に集結してます!』


「なんだと!?」


『まだ1000人ほどですが、続々と兵が集結しています』


「わかった。そのままそこで待機して、随時状況を伝えてくれ」


『了解です』


 ちっ!こんなタイミングで来やがるとは・・・。



「聞いての通り、美濃が攻めて来るようです。とりあえず俺が行ってビームライフルぶち込んで来ますので、ミスフィートさんは戦の用意を」

「わかった!」


「ちょーっと待った!なあアニキ、折角だからオレらも行こうぜ」

「面白い。俺達が居る時に攻めて来るとは、実に間抜けな奴等よ!」


「え?一緒に来るんですか?」

「ミスフィート殿、軍の招集は部下に任せて、まずは此処にいるメンツだけで行こうや。尾張と三河が手を組んだ事実を知れば敵も震え上がるぜ」

「・・・ハハハッ!面白い!その提案、乗った!」



 なんか、いきなり面白いことになったぞ!!

 この最強メンバーに喧嘩を売るハメになった美濃の大名がちょっと哀れだ。

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