102 内政が出来る人材
しかし実際に着てもらうと、この衣装・・・どこかで見た記憶があるな。
まず、パッと見は黒いドレスだ。
首元にはゴージャスな感じの羽っぽい毛が生えている。
で、ドレスのいたる所に金の装飾がしてあり、それが女帝の雰囲気を出している。
そして腰の部分に赤いひらひらが付いており、その部分からスカートが外せるようになっていて、ズボン姿にもなれるのだ。なんでそういう作りなのかは謎だが、たぶんこっちの姿も格好良いと思う。
ふむ・・・。あ、そうか!これってセミラミスに似てるのか!
いや、違う!正確にはアニメキャラ化された方だな。
「んーー、確かに格好良いとは思う。でもなんかお嬢に近くないか?」
「ドレスが豪華ですからねー。でもこれは取り外してズボン姿にもなれますよ」
「そっちのがいい!」
「そうですねー。普段はズボン姿で良いと思います。首のフワフワも外しましょうか」
「おお!これも外せるのか!」
羽を外して、スカートをズボンにチェンジした。
「おお、楽になったぞ!」
「こっちでも十分格好良いですね!でも折角なので、三河との話し合いの時や行事ごとの時は、フワフワとスカート着用で行きましょう」
「エーーーー!これで良くないか?」
「女性に生まれたのですから、時には女らしさで勝負することも必要ですよ」
「ぐぬぬぬぬ・・・」
美人なのに、女らしさに拘らない所がミスフィートさんらしい。
とりあえず俺の要件は終わったので、次は内政の話し合いだ。
・・・・・
「あれ?隊長の服がいつもと違うっス」
「か、格好良い!」
「すごく凛々しいわ!でもなんでいきなり?」
まあいきなりゴージャスな服になったら、そりゃ気付くよな。
「ミスフィートさんは晴れて大名になりましたからね。なので、大名に相応しい恰好にするべきだと判断して着替えてもらいました」
「私としては、あまり乗り気じゃないのだが・・・」
「格好良いから、これでいいっス!」
「いつもの服も可愛いけど、こっちも素敵よ!」
「大名らしいのは断然こっちね」
「威厳があって良いと思う」
「同じく」
みんなの反応は上々だ。どうせならスカート姿で来れば良かったかな?
「まあ格好の話は置いておこう。今日集まってもらったのは尾張の内政についてだ」
―――尾張を統治する為の会議は丸一日にも及んだ。
************************************************************
「あー、疲れた・・・」
「俺もですよ・・・。初めての話し合いだから、まあしょうがありません」
「んで、明日はやるべき事を全部やって、明後日出発でいいんだな?」
「ですね。ああ、城から持ち出した財宝や金貨はどうします?」
「うーん、ココでは保管場所がなあ・・・。暫くそのまま持っていてくれ」
マジックバッグに入れとくのが1番安全だしな。
「わかりました。あ、そうそう!今回恩賞で渡す報酬はいくらにします?」
「みんな頑張ったからな。んー、1人金貨50枚出せるか?」
「えーと、生き残りが1900人ほどですから・・・、合計で金貨95000枚かな?」
「そ、そんなに必要なのか!?」
ちょっと金額がデカいよな・・・、でもみんな頑張ったからな~。
「回収した金貨が30万枚以上ありますから、まあ、余裕っちゃ余裕です。それ以外にも、白金貨や大白金貨がかなりありますんで、両替さえ出来れば当分安泰かと」
「そんなにあるのか!ジャバルグの奴はどんだけ溜め込んでたのだ!!」
「逃げた家族がある程度持って行ったハズですので、本来はもっとあったと思いますよ?まあ馬車が重くなると逃げ切れないので、程々だとは思いますけど」
「国民を奴隷のように働かせて財を貯め込むとは、天罰が下るぞ!」
「いや、もうすでに死んでますし」
そのお陰で兵達に褒美を与えてやれるのだから、ぶっちゃけると有難くもある。
なんらかの形で国民を豊かにする為に使わんとなー。
「私らはもっと民を思いやる方針で行くぞ!」
「そうですね。兵の給料や経費などを細かく計算し、数年先を見据えて、余裕がある分を色々な方面から国民に還元しましょう」
「うわーーーーーん!なんかすごく面倒臭そうだ!!」
わかりますよ、その気持ち。
ただ、内政が得意そうな人材が重臣に一人も見当たらない件。
・・・ひょっとして、俺がやらんとマズいんじゃないのか!?
「あの~、ミスフィートさん。内政が出来そうな人っています?」
「おらん!ジャバルグ軍が脳筋と前に言ったが、私等も脳筋だったようだ」
「のおおおおおおおおおおおおお!!」
やっぱりかーーーーー!!
これはまいったぞ・・・、とりあえずは俺が頑張るとしても、内政官の育成が急務だな。俺はこれから付与ラッシュだというのに、同時に内政と育成までもしなきゃならんのかい!
「はあ・・・、わかりましたよ。とりあえずは俺が何とかします。ミスフィートさんは頭の良さそうな人を見つけて下さい。育成しますんで・・・」
「本当か!?わかった!」
「あ、まだ論功行賞前なので、とりあえず古参の女性達からでお願いします。内政官にもそれなりの身分が必要ですから」
「なるほど!確かに軍に入って間もない奴に、金の管理など任せられんな」
「近いうちに、重臣みんなが石高の管理をすることになるのですから、身分が高い者ほど勉強する必要がありますけどね」
「えーーーーー!?じゃあ全員が勉強会をしなきゃ駄目じゃないか!!」
「まあ、追々やって行きましょう」
こりゃあ先が思いやられるな・・・、俺もそんなに頭が良い方じゃないのに。




