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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

異世界で神々の大戦争に参戦した~異世界相手に無双する~

作者: ネツアッハ=ソフ

 「・・・・・・何処だ?此処は」


 現在、俺は天空にそびえる神殿(しんでん)に居た。


 それは、決して比喩(ひゆ)では無い。星々の瞬く天空に、巨大な神殿が建っていたのだ。


 余りにも神々しく圧倒的な存在感を誇る神殿に、俺は思わず平伏(へいふく)しそうになる。


 しかし、それを何とか堪えて俺は神殿の中へと入る。・・・何故かって?俺の鋭すぎる直感が中に入れと言っているからだ。他に理由など無い。全く無い。


 俺は幼少の頃から面倒事に巻き込まれやすい体質だった。事件や事故に巻き込まれるなど、もはや日常茶飯事なのである。しかし、直感に従っていれば大体それらは全て解決したのだ。


 だから、直感に従う事に何の躊躇(ためら)いも無い。そのまま、巨大な門を開く。


 瞬間、俺は七色の光に包まれた。


 『光あれ』


 俺の耳に、そんな声が聞こえた気がした。


  *********


 気付けば、俺はやたら神々しい青年の前に立っていた。周囲を見渡すと、宇宙空間だった。


 青年は玉座の様な豪奢(ごうしゃ)な椅子に座っている。俺は、一目で理解した。この青年こそ、この宇宙を統べる神なのだと。直感がそう言っている。


 「やあ、初めまして神代(かみしろ)ヒノワ君。私はヤーヴェ、一応は君の居た世界の神だよ」


 「ああ、うん・・・何となくそんな気はしていた」


 何だか面倒事の予感がして、俺はうんざりした表情をした。そして、彼はヤーヴェと名乗った。


 ヤーヴェとは、聖書に記された神の御名だ。その名を直接口にする事は禁忌とされており、主、唯一神などと呼ばれている。アブラハムの宗教の神だ。


 ・・・と、言うことは此処は至高天か?何故、そんな所に俺が?


 そんな事を考えていると、俺の思考を読んだのか神様は不敵な笑みを向けてきた。


 思わず、俺は身構える。


 「まあ、とりあえず座りなさい」


 「あっ、はい・・・」


 突如、俺の背後に椅子が出現したのでとりあえず俺は座った。満足そうに頷く神様。


 で、結局俺は何で此処に居るんだ?


 「ふむ・・・単刀直入に言おう。ヒノワ君、君には神候補として神話大戦に参戦して欲しい」


 「・・・・・・・・・えっと、とりあえず何故?」


 色々と聞きたい事はあった。何故俺なのか?何故大戦が行われるのか?その意図は?目的は?


 若干混乱してきた。


 「うむ、それについても答えよう。・・・君が選ばれたのは、君に神の資格があったからだ。そして、大戦の目的は次代の神を選定(せんてい)する事だ」


 「かっ、神の選定!?」


 俺は仰天(ぎょうてん)した。どうやら、大戦の目的は次世代の神様を選ぶ事らしい。


 「もちろん、神の資格もそう安くは無い。魂の質、純度、規模、強度などが問われる」


 どうやら、俺の魂は神の資格があったらしい。俺は呆然とした。


 「・・・・・・・・・・・・・・・」


 「呆然としているな・・・。まあ良い、君の魂を覚醒させておいた。此れを見ろ」


 神様は俺に、一枚のカードを渡した。硬質のカードだ。


 名前:神代ヒノワ。


 カラー:翡翠(ひすい)


 質:計測不能。


 純度:計測不能。


 規模:計測不能。


 強度:計測不能。


 権能:直感EX、次元超越者、神候補。


 「・・・・・・・・・・・・・・・」


 俺は更に呆然とした。質も純度も規模も強度も計測不能。どんな魂だ。


 しかし、一緒に見ていた神様はかなり喜んでいる。


 「ほほう、計測不能か。かなりぶっ飛んだ結果を出したな。これだけでもう、結果は見えたようだ」


 「嬉しくねえ!!!」


 思わず俺は叫んだ。ありえねえ。マジでありえねえよ。がっくりと俺は項垂(うなだ)れる。


 「まあ、良いたろうが。そろそろ送るぞ」


 「ちょっ、待———」


 俺は再び光に包まれた。あの神様、今度会ったら一発殴る!!!


  *********


 光が収まると、其処は一面の大草原だった。俺の他にも、何だか厨二(ちゅうに)臭い姿の奴や武士の様な姿の奴、カソックを着た神父姿の奴が居た。何だか全員、目をぎらつかせている。


 どうやら、全員神の座をご所望(しょもう)らしい。思わず俺は溜息を漏らす。


 すると、突然空から女性の声が聞こえてきた。


 『はいはーいっ!!これよりお待ちかねの神話大戦を始めたいと思いまーす!!』


 「「「「「—————————っ」」」」」


 空から聞こえた声に、皆一様に息を呑む。というか、ノリ軽いなこの声。大丈夫か?


 『ルールは簡単。バトルロイヤル方式で潰し合い、生き残った一人が予選通過となりまーすっ!!!与えられた能力の他にも、様々な手段を取っても構いません。一時的に他の候補者と組んでもOK。では、皆さん頑張って生き残って下さいねー!!!』


 その瞬間、神話大戦は開幕(かいまく)した。大草原に、開幕を告げる鐘の音が鳴り響く。


 瞬間、いきなり神父が殴り掛かってきた。俺はそれを軽い動作で避ける。


 ボゴオッッ!!!


 ———地面に巨大なクレーターが出来た。


 「へえ、よく避けましたね」


 「いきなり殴り掛かるな!!!」


 どうやら、この神父は怪力の能力を持つらしい。恐らく、まだ全力は出していないのだろう。


 それでこの威力。恐るべき力だ。だが———


 俺は神父の腹部にえぐり込む様な掌底(しょうてい)を打ち込んだ。


 技術も研鑽(けんさん)も積んでいない、只の掌底。しかし、それだけで神父は彼方へと吹き飛んだ。


 「「「「「っ!!?」」」」」


 その圧倒的な力に、一人がいきなり脱落した。


 そして、それを見ていた全員が俺を敵と定めた様だ。一斉に俺に攻撃を仕掛ける。


 「ひゃははぁっ!!誰も俺の速さには付いては来れねえのさっ!!!」


 「我が必断の太刀、受けてみよっ!!!」


 厨二臭い奴と武士が同時に攻めてくる。光の如き神速と全てを断つ太刀筋。


 しかし、俺にはどちらも関係無い。そんな物、知りはしない。


 神速を見切り、必断の太刀を正面から砕いた。


 その後の戦いも圧倒的だった。いや、それは戦いとすら呼べなかった。


 太陽の如き灼熱を苦も無く払い、絶対零度の冷気を難なく踏破(とうは)し、矢の雨を平然と越えた。


 剣戟の雨を打ち砕き、大嵐をそよ風と断じた。


 最後に残っていたのは、俺だけだった。大草原は荒野と化していた。


 『予選ステージ1クリア、神代ヒノワ!!!』


 俺を再び光が包み、次のステージへと進む。


 第一ステージ・・・。


 「俺が操るは環境そのもの。お前は世界そのものに殺されるのさっ!!」


 「知らんわ!!」


 学ラン高校生が何かを言っていたが、正面から打ち砕いた。


 第二ステージ・・・。


 「私は死神。死は絶対の法則なり。死ぬが良い」


 「お前が死ね!!」


 ドクロの面を被った僧侶が死ねとのたまった。なので殴り飛ばした。遥か彼方まで吹っ飛んだ。


 第三ステージ・・・。


 「時間停止(とまれえええ)!!!」


 「効かんっ!!!」


 シスター姿の少女が時を止めてナイフで襲ってきた。なので、停止した世界を引き裂き大説教した。


 ・・・何故か(なつ)かれた。嬉しそうに抱き付いてきた。何故?


 そして、最終ステージ・・・。


 目の前には詰襟の軍服を着た、黒髪に黒い瞳の東洋風の青年が居た。


 今までの奴らとは全く違う。別格の力を感じる。恐らく、今までの奴らよりかなり強い。


 「君は、私を楽しませてくれるか?」


 「さあ、試してみたらどうだ?」


 青年は凄絶(せいぜつ)な笑みを浮かべ、掌に灼熱の火球を生み出した。只の火球では無い。


 それは———掌サイズに圧縮された、原初宇宙だ。


 「ハンドレットビッグバン」


 宇宙開闢の優に百倍を誇る大爆発。青年は初手から加減をしない。そもそも青年にそのつもりが無い。


 しかし———俺もこの程度は通用しない。


 「ふんっ」


 腕の一振りで、ビッグバンを払う。まるで、羽虫を払うかの様な軽さだ。手には火傷一つ無い。


 それを見て、青年はさも嬉しそうに笑った。


 「すばらしい!!!」


 そして、青年は宇宙の法則を操りある事象を引き起こす。それは———


 宇宙が急速に収束してゆく。星々が爆発し、砕けてゆく。


 「これは・・・ビッグクランチか!?」


 「そうだ!!早く私を倒さなければ、宇宙空間ごと消滅するぞ!!!」


 ビッグクランチ———宇宙の終末が始まる。


 確かに、並の奴らならこれで倒せただろう。しかし、それでも俺を甘く見すぎだ。


 「下らん!!」


 俺は、空間に向かって拳を振るった。それだけで、宇宙は砕け散った。


 「ははっ・・・すばらしい。実に、すばらしい・・・」


 そう言って、青年は宇宙と共に散っていった。俺の優勝が決まった。


 しかし———刹那、俺の脳裏を嫌な予感が過った。


 『緊急事態が発生しました~。強い次元干渉を観測しました~』


 相変わらずの軽い声。だが、次の瞬間、俺の前にありえない人物があらわれた。


 白いワンピースに黒髪と黒い瞳、顔立ちは俺とそっくりだ。


 「やっほー、お兄ちゃん。迎えに来たよ」


 「うげっ!!ツキヨ・・・」


 神代ツキヨ。俺の妹だ。


 少し・・・いや、かなりヤンデレが入っている為に俺は幼少期から面倒事ばかり会っていた。


 それ故、俺はツキヨが苦手なのだ。嫌いでは無いが、かなり苦手なのだ。


 「お兄ちゃん・・・大好きなお兄ちゃん。今、私からお兄ちゃんを奪った奴らを殺すからね」


 妹の瞳からは、既にハイライトが消えている。まずい、本気で殺すつもりだ!!!


 「・・・・・・・・・・・・」


 「お兄ちゃん・・・何のつもり?」


 俺は、ツキヨの前に立ち塞がった。俺が出鱈目(でたらめ)なのと同様に、ツキヨも出鱈目だ。


 さて、今の俺でどれほど戦えるだろうか?気を抜いたら、俺が殺られるだろう。本当に面倒だ。


 「ツキヨ・・・俺はお前が誰かを殺す事を許容しない。だから、お前を止める」


 「あはっ。そっかー、お兄ちゃんを取り戻すにはまず、お兄ちゃんを倒さなきゃいけないんだね」


 全く訳が解らない。しかし、ツキヨは本気だ。ツキヨからは殺気が溢れ出している。


 「やれやれ・・・。また面倒事か」


 「愛しているよ・・・おにいちゃあああああああああんっっ!!!」


 こうして、俺と妹の多元宇宙の存続を賭けた戦いが始まった。

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