第2話 追放
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6/29スキル追加、加筆しました。
ーー閉じた目を開けると、俺たちは石づくりの部屋にいた。
「どこだ、ここ?」
「なぁ、俺たちさっきまで教室にいたよな?」
神慈が戸惑った様子で話しかけてくる。
「ようこそいらっしゃいました、勇者様方」
突然、後ろから女の人に話しかけられ、みんなが一斉に振り向く。
「私は、第1王女クローネ・ロード・アストネアと申します。以後、お見知り置きを」
わぁお、めっちゃ美人やん。17くらいかな?
「ここは、異世界エレボスです。あなた方は、魔王を倒すために召喚されました」
ん?どゆこと?そう思っていると、まわりから家に帰してやふざけんななどの声が聞こえ始めた。
「質問です。私たちは平和な国で育ってきたので、魔王を倒す力なんてないと思うんですけど」
お、さすが華恋、頼りになるな。
「大丈夫です。勇者様方は、異世界に渡ってくる際にユニークスキルという強力なスキルを授かっているはずですから」
なるほど、ここで俺がチートなスキルをさずかり、魔王をぶっとばすわけだな(笑)
「では、みなさんのステータスが知りたいので、謁見の間に移動します。動かないでくださいね」
え?歩いて移動じゃないの?
「では、いきますよ。テレポート!」
一瞬で景色が変わった。これが魔法か!!「ここどこ?」、「え、なにこれ」などみんな戸惑っている。
「うむ、こやつらが召喚された勇者たちか。ワシはこの国の王、セイム・ロード・アストネアだ。覚えておくように」
王様を目の前に、俺たちはどうしていいかわからず、呆然とたちつくしている。
「貴様ら!王を前にして立ちつくすとは何事か!」
宰相みたいなひとが、そんなことを言ってくる。しょうがねぇじゃん、どうしたらいいかわかんねぇんだもん。
「ルーカス、そのくらいにしておけ。こやつらは、今しがたここに来たばかりだ。礼儀を知らぬのもとうぜんじゃ」
「王がおっしゃるなら・・」
王様、ナイスフォロー!
「では、みなさんのステータスを確認しましょう。心の中でステータスチェックと念じてください」
どれどれ、ステータスチェック!
名前 如月来人
種族 人族
職業 錬金術師
HP300/300
MP600/600
筋力 170
耐久 120
敏捷 100
器用 80
魔力 400
通常スキル
『錬金魔術』Lv10 『剣術』Lv5
ギフト
『言語理解』Lv-- 『鑑定』Lv-- 『アイテムボックス』Lv--
加護
???の加護
おお、これが俺のステータス。このホログラム?的なものはどういう原理だろう?アイテムボックスは便利そうだな。
さて、どんなチートスキルが宿ってるかな?
・・・ってあれ?おかしいな、見おとしたか?いやぁ、大事なことを見落とすなんて、俺もうっかりだなぁははは。いや、見落としてないこれってつまり・・・
俺にユニークスキルがない!!!
なぜだ!?なぜなんだーーー!?
「あの、ちょっといいですか?」
「はい、なんでしょう?」
はっ、神慈もしかしてお前もか!
「俺、ユニークスキルじゃなくてエクストラスキルなんですけど」
「エクストラスキル!?本当ですか!?」
「あ、わたしも」
「俺も」
「私も」
何ーーーーーー!?!?みんなして俺を裏切りやがってぇ!!
・・よし、一旦落ち着こう。とりあえず、
「あの、エクストラスキルって何ですか?」
王女さんにそう質問する。
「エクストラスキルとは、ユニークスキルを超えた、超強〜〜力なスキルのことです!!」
俺はユニークスキルすら持ってないんだぞ!?ふざけてんのか!
「それで、どんなスキルですか?」
「俺は、『真の勇者』って言うスキルですね」
「前任の勇者と同じスキルじゃないですか!凄いです!」
にこやかな笑顔で、ピョンピョン跳ねながら話す王女さん。
・・俺のポジションをとったのはおまえか!神慈!
「私は『剣の操者ね』
華恋のは、イメージがつかないな。
「おれは、領域の支配者だ」
ん?こいつは・・・ああそうだ、いつも偉そうにしてるやつだ!名前は、坂村火偉だったはず。それにしても、ぴったりなスキルだな。
「なるほど・・。他にエクストラスキル持ちはいませんか?」
「あ、自分『魔物吸収』と『自己改変』っす!」
「う〜ん、聞いたことないスキルですね」
コイツは、小島芳樹、マイフレンドだ(一方的)。
「あ、あの・・」
「はい、何ですか?」
この子は、朝倉凛ちゃんだ。おっとりしてるとこが可愛い。華恋とは真逆だね。
「わ、私『略奪』と『スキル付与』もってます」
「略奪、ですか」
「は、はい」
何だ?この不穏な空気は?
「そうですか。あなたの名前を伺っても?」
「朝倉凛です」
「では朝倉凛さん、あなたを城から追放します!」
え?どうしてだ?
「な、なんでですか!?」
朝倉も意図が読めないようで、そう言い返す。
「略奪のような盗賊まがいのスキルを持っているあなたがいると、国の民に悪い印象をもたれてしまいます。それはこまるんです。勇者には、正義でいてもらわないと」
冷たい視線をむけ、朝倉にそう言い放つ。
「そ、そんな。これからどうすればいいの?」
今にも泣きそうな顔で言う朝倉。
「大丈夫です。出て行く前に、ちゃんと生活費を渡しますから。それで生きてください」
随分と上から目線なもの言いだな。あ〜イライラしてきた。一発かましてやる!
「おい、王女さん」
「はい、何でしょう?」
「さっきから、いいかげんにしろよ!そっちが勝手に呼び出したくせに、都合が悪かったら追放?ふざけんな!仮にも国を治める者なら、隠匿するくらいできるだろ!」
「何ですか、あなたも朝倉凛といっしょに追放しますよ!」
「上等だ!やってみろ!」
「おい来人、その辺にしとけって!」
「謝ったらきっと許してもらえるわよ!」
神慈と華恋がおれを押さえにくる。
「離せ!俺はあいつが許せないんだ!絶対に引かない!」
俺は二人を押しのける。
「では、二人を追放とします。最後に言いたいことはありますか?」
「そうだな、金は二人分用意しろ、あと俺はユニークスキルを持ってない」
「それでは、なおさらあなたは要りませんね」
「最後に、俺たちはお前らより先に魔王を倒す!」
「そうですか、では騎士の者よ二人を追放せよ!」
騎士たちが、俺達の腕を掴む。
「来人、いくな!」
「戻ってきて!」
去り際に叫んできたので俺は笑顔で言い返してやった。
「神慈、華恋、またな!」
ーーこうしておれたちは、転移早々勇者組から、追放された。