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宿花に願いを乗せて  作者: 薔薇茶
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第11話 幼馴染

 一華が売店の方へ歩いていくのを見ながら、僕は大きく息を吐いた。

 訳ありな予感はしていたけれど、一華が語ってくれたこれまでの人生は、かなり衝撃的なものだった。辛かったのは一華なのに、僕ばかり泣いてしまったのは恥ずかしい。

 そこで、少しでも一華に楽しい思い出を作って欲しいと考え、先程の提案に至ったのだ。ネタ切れなのも本当なので、行きたいところがあると言われて凄く助かった。


(そういえば、アネモネの花言葉で教えてくれたもの、ネガティブな表現ばかりだったけどあれで全部なんだろうか?)


 花については詳しくないが、花言葉といえばどちらかというとポジティブな意味を持っているイメージが強い。気になったので、スマホで開いていたアネモネの紹介ページを見てみる。スクロールしていくと、花言葉の欄を発見した。


(確かにネガティブなのばっかり……ん?色ごとに違う花言葉があるのか)


 どうやらアネモネは、花の色によって更に花言葉があるようだ。『赤神』だし、という安直な理由で赤いアネモネの花言葉のリンクを開く。

 するとそこには――


「ごめんお待たせ!コーラで良かった?」


 いつの間にか一華は飲み物を持ってベンチに戻ってきていた。僕は慌ててホーム画面まで戻し、コーラを受け取った。


「何か見てたの?」

「ああ、大丈夫、もう見終わったから」


 画面は見られていなかったようで安心した。

 赤いアネモネには、ポジティブな意味の花言葉があったのだ。あったのだが、なかなか扱いに困る言葉だった。


(でもある意味使うべき言葉なのかな……うん、頑張ってみよう)


 それから、残りの施設をさらっと見て、僕たちは動物園を出た。

 一華の行きたいところへは電車で移動する必要があるようなので、駅に向かって歩き始めた。


「あれ、テレポートは?」

「実体化したら使えなくなっちゃうのよ。だから普通の交通手段を使わないと」


 そうなのか、と相槌をうって視線を前に戻したところ、見覚えのある人影を発見した。

 人影もこちらに気づく……や否や、走ってこちらへ向かってきた。


「おー『チキン』じゃねえか!久しぶりだな!」

「ちょ、こんなところでその呼び方するなよ律!」


 いきなり僕のあだ名を大声で発したのは僕の幼馴染、山面律やまづらりつである。

 小中と同じ学校で、高校からは別になったがそれでもよく遊んでいた。明るく気さくで、身長も高くイケメンなので僕とは違い友人は多い。

 しかも今は髪を金色に染めている。傍から見たらカツアゲの現場みたいに見えることだろう。


「わりわり、ついな。……ところで後ろにいるのってもしかして彼女?」

「え!?いや友達、友達だよ!?」


 まさか死神と一日デート中と言っても信じないだろうし、さっき友達になったから間違いではないはずだ。

 僕が死んでからまだ数時間しか経っていないし、最近そこまで連絡を取り合ってはいなかったので、事故の事は知らないのだろう。


「お前、成長したなあ……コミュ障で童貞のまま終わるんじゃないかと心配してたんだぞ」


 律の言葉が胸に刺さる。実はもう終わってるんですけどね……。


「なあ彼女さん!真大はへなちょこチキンだけどいい奴だからな、よろしく頼むぜ!」

「は、はい!」


 一華は話しかけられると思っていなかったのか、やけに緊張した声で返事した。

 というか、彼女じゃないって言ったのに。


「邪魔して悪かったな、俺サークルの集まり行くんだ、また今度遊ぼうぜ」

「うん、また」と言いかけて、次が無いことを思い出した。

「あの……律、色々ありがとうな」

「ん?おう、どういたしまして。じゃあな!」

「うん、バイバイ!」


 律が曲がり角を曲がって見えなくなるまで手を振り続け、僕は一華の方へ向き直った。

 一華は緊張が解けていないのか、顔がこわばっていた。


「大丈夫?」

「まさか話しかけられると思わなくて……」

「あんな見た目だからびっくりするよね、あれが僕の幼馴染だよ。めっちゃいい奴」

「真大の友達になってくれるくらいだもんね?」


 冗談を言えるくらいには落ち着いてきたようだ。大きなお世話です。


「やっぱり駄目だなあ。大人はもちろんだけど、怖い人って認識しちゃうと固まっちゃって」


 どうやらトラウマに引っかかってしまったらしい。心配だけど、こういう時どうやって励ませばいいんだろう?うまい言葉が見つからない。

 おろおろしている僕の眉間へ、突然一華の指が突き刺さった。割と強い力でぐりぐりされている。


「また眉毛下がってるし!ほらほらー」

「うっ一華さんやめてっ」

「ありがとね、心配してくれて。でももう大丈夫だから」


 どうやらまた顔に出ていたらしい。恥ずかしいからこの癖、早く直したい。


「律くんだっけ?幼馴染との会話、あんなに軽くでよかったの?最後なのに」

「うん、あのくらいがむしろ丁度良いんだ、しんみりするの苦手な奴だし。でも後でびっくりするだろうなあ。ごめんよー」

「本当に軽いわね……」


 今まで沢山の別れを見てきた一華でも驚くくらい軽かったらしい。

 でも僕もしんみりするより笑顔でいたいし、むしろ会えてよかったと思っているくらいだ。


「さて、そろそろ行かないと」

「そうね、まだ電車に間に合いそうだから急ぐわよ!」


 時間を確認すると、間に合いそうだとはいえギリギリだった。僕たちは全速力で駅へ向かった。

お待たせしました。

アネモネの花言葉、もしかしたら真大くんと一緒にググった人もいるかもしれませんね。どうやって使うのか、むしろ真大くんに使えるのか(笑)。応援してあげてください。


今朝大阪で地震があったことで、色んなニュースが聞こえてきて心配です。関西の方々は身の安全を確保して、遠い地域の方々も災害への備えは忘れずにしておいてください。

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