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太陽と19の巨人   作者: 満足気
3/6

イルディゴ暦 200年と21日 1

晴れ

巨人目覚めた



恐ろしい

どうしたらよい

彼等は何者なのか

神の怒りでないのか

なぜ






昨晩は我を忘れて記録をしたためながら倒れてしまった。

昨晩というのは、21日のことだ。私は22日にこれを書いている。

書いている私からは21日は昨日だが、記録上では21日を今日として記す。


晴れであった。

朝は水を汲み、あったものを食べた。

先日の記録を確実に遺すため、干すことにした。

外に出て左手を見ると、巨人は砂を被りつつあった。

私は昨日の私の祈りが彼らを斥け、彼等は死んだのだと喜んだ。

それなので私は意気揚々と粘土板を取り出し始めた。

あまり多くは無かったので太陽が天上へ登ったころには大方の作業が終わっていた。

朝には風が吹いていたが、止みつつあった。

巨人はもうその白い肌が砂の色になっていた。

私はアムラ河へ昼食のために魚を捕りに行こうとして、漁労の道具を探し始めたとき、神殿が揺れた。

先日のような大きな揺れでこそなかったので、私は気に留めなかった。

道具を整えて外に出たとき、ようやく私は巨人たちが目覚めたのを知った。

私が見たときにはすでに彼らは向かい合って座っていた。

低い音が彼らの口から交互に発せられていた。

私はこのとき彼らが私たちのような心を持つ存在だとはっきりと感じた。

ゆえに、私は更なる恐怖に憑かれた。

私が語らう彼らを固まって見ていると、彼らのうちの片方が私に気づいたらしかった。

彼は細身で頭の後ろから背の中央に沿って金色の毛が生えている。先日私に腕を振って見せた方である。

その視線に気づいて、私に背を向けていたもう片方の巨人も、私へ振り向いた。

少しの間、私たちは見つめ合っていたが、やがて金色の髪の巨人が腕をついて私へ顔を近づけた。

私には理解できないが、何か言葉を発したようだった。

しきりに「--」、と言っては様々なものを腕で指し示すような仕草をしていた。

私はしばらく声を上げられなかった。

彼等が私と意志を疎通させようという考えを持っていることを理解したくなかった。

巨人は口からものを吐き出すような仕草を始めた。

しかし私はようやく彼等の意図を理解することを受け入れようといていた。

あ、あ、と私は呻くように声を絞り出した。

巨人はあからさまに興味を示した。そしてそれまでよりも高い声を出した。

おお、預言者イルディゴがここに人として立っていたならなんとしただろう。

巨人は笑った。まさしく私の真似をしたことについて笑いかけてきた。


私は彼らと意思を疎通することを決意した。


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