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太陽と19の巨人   作者: 満足気
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イルディゴ暦 200年と20日

イルディゴ暦 200年と20日


今日も一日中晴れていた。

また私の行動を記録しておこうと思う。

朝、私はあまり寝覚めが良くなかった。

普段ならばまず朝一番に祈りを捧げる所だが、今日はまず始めに建物の外へ出た。

恐る恐る左手を見ると、昨日の巨人たちは変わらずそこで寝転んでいた。

時折、ズズズ…と重低音が彼らから発せられていた。

私は中へ戻り、祈りを捧げた。聖火はお変わりないようであった。

それから、私はアムラ河へ水を汲みに出た。

私が戻って来たときも、巨人はそのままだった。

私は納屋の乾物を食べて朝食とした。それで、私は昨日訪ねてきた男について思い出した。

彼は死んだままのはずだった。

朝食を終えた後、彼を弔うため聖火の一部を戴き、私は神殿を出た。

彼の遺体は半ば失われていた。大部分は鳥獣が喰らったのだろう。

私はそれを予想していたので、あくまで淡々と彼の遺体を炎で清めた。

自分でも驚くほど動揺せずに弔いを行った。

動揺せずに、というのは間違いかもしれない。私は昨日の恐怖の続きに茫然としていた。

私は彼の血肉が炎によって清め終わるまで、それを眺めていたように思う。

彼が骨だけになると、私は踵を返して神殿へ戻った。

このとき、まだ正午にはなっていなかった。

神殿へ戻ると、巨人らは動いていなかった。しかし、昨日からたてていた寝息を続いており死んでいるのではないらしかった。

不意に、私の手に持った聖火なら彼らを退けられるかもしれないと考えた。

私は足音を忍ばせて彼らに近づいていった。

しかし巨人の手にこびりついていた血を見た瞬間、私は恐怖に打たれてしまった。

私は後退りして神殿の中へ入った。

私はそれからただただ祈り続けた。

ものを口にせずに一心不乱に祈った。

陽が傾くまで祈っていたから、半日以上そうしていたはずだ。

この聖域を侵したあの悪鬼は斥けられなくてはならぬ。

預言者イルディゴは行伝第三節において大都に蔓延った悪疫を祈りを以て斥けた。

これは私の賜命なのだと考えている。神の賜命は必ず神の臣従者なら達成できるのである。


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