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バス停の血文字【怨】の知られざる真相

 

「チラチラ見ても俺のワッフルちゃんは貴様にはやらん」

 分厚い文庫本とスクエア眼鏡の奥から物欲し気な視線を送っていた杉並は、苦いかおで舌打ちする。

「そんな事より、安藤。聞いてくれ。あれは、春の事だ。憂鬱な曇り空の夕方だった」

「何だ、藪から棒に」

「こうして免許取得の為試験場に足を運び、田舎のバス停の発車間隔に途方に暮れていた俺は、ふと壁の落書きに気付いた」

 とかく、工業学校というものは資格取得のカリキュラムが鬼の様に組まれている。

「若さ故の過ちを、俺は偶然持っていたスプレーで消してやったんだ」

「貴様が何故スプレーを所持等していたのか甚だしく疑問なんだが? 寧ろこの血文字もどきの元凶は貴様か!」

「ゴシゴシ拭ったら【怨】の文字が出て来たんだ。滲んだけど、其れ以上消えなかった」

 テヘペロ、と舌を出した杉並の頭に拳を見舞う。安藤の右側の壁には、赤く滲む「怨」の文字が、煤けたような黒い縁取りをされ浮かんでいた。

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