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欠片たち  作者: 稲井
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告白

息をすう。

息をはく。


右手には花。

誰かの庭、一本だけ咲いていたばら。

ときめきの棘が僕の胸を刺し、君への思いが身体中に溢れ出た。

勝手に摘んでごめんなさい。

後できっと謝りに行きます。


僕は走っていく。

左手にあなたの手のひらを感じるために。

右手のばらが弱る前に。


息をすう。

息をはく。


「あげるよ」


あなたは笑ってばらを見つめる。ジンジャーエールの瓶の中で、ばらも真っ赤に笑う。

本当は別の事を言うはずだったけれど、問題はない。

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