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春風
少し肌寒かったので手探りで毛布を探しているうちに、目覚まし時計が鳴った。
ジリジリと鳴るそれをぼんやり眺めていると、勝手に鳴り止んでしまった。
母さんと少し会話をし、少し朝食を食べて家を出た。どちらの内容もほとんど覚えていない。
風の唸る音がする。スニーカーは黄砂で汚れていく。
コンクリートで綺麗に舗装された道は歩きやすいが、雨上がりには水溜まりがたくさんできるから嫌いだ。
生ぬるい突風が軽いランドセルをぱたぱた揺らす。
新しいクラスでうっかり友達が出来てしまわないか不安になる。
春なんて来なければいいのに、と少しイライラして、
すぐに忘れた。