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欠片たち  作者: 稲井
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冷凍都市

「スイカバーって何の味?」


ちいちゃんは私に聞いた。

西瓜の味だろう、と思ったけれど私は本当の西瓜は食べれない。じゃあ何の味?


「……夏の味かな?」


我ながらよく分からない答えだ。小さな子の質問に答えられないのと、嘘を教えるのと、どちらがいけないことだろうか。


「ふうん」と呟いたきり、ちいちゃんは黙々とスイカバーを食べ続ける。


「お姉ちゃん、分からないって言ってもよかったんだよ」


見透かされていた。

ぎょっとした私をすまし顔で見上げて、

「でも、ロマンチックだわ」

と言った。


チョコの種が一粒落ちた。

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