第8話
「ここに人手は必要ない。だいたい、ここに居座っていれば依頼も受けられなくなるだろ」
「依頼ですか? 何かあるんですか?」
「……あれ? フィル、ティアナさんに依頼の説明してないのか?」
フィルはティアナを自分の研究室に置く気はないと言うがティアナはフィルの口から出た『依頼』の意味が理解できないようで首を傾げるとジオはフィルに必要な事だろと言いたげに聞き返すと、
「……それは学園の不備だろ。俺は学園施設を案内しろとしか言われてない」
「言われた事しかできないのを棚に上げるわけ? 情けない男よね」
「あ? どう言う意味だ?」
「そのままよ」
「あ、あの。2人ともケンカはやめましょうよ」
フィルは自分が説明すべき事ではないと言い切るがフィリアはフィルにティアナを受け入れないフィルに文句があるようでケンカ腰に言うと2人は睨みあいを始め出し、ティアナは苦笑いを浮かべながら2人の仲裁に動き、
「まぁ、説明しないことには始まらないし、フィル、説明してやれよ」
「何で、俺だよ?」
「お前の説明次第ではティアナさんも納得するかも知れないだろ」
ジオはすでにフィルとフィリアの間で板挟みになっているのがティアナの定位置になったように感じているようで苦笑いを浮かべるとフィルに説明をしてやるように言う。
「……そうだな。確かにジオの言う通りか? 良いか。俺達、学園に所属している生徒達は義務として学園及び国からいくつかの依頼を受けるんだ」
「俺とフィルがティアナさんと会ったのもその依頼の途中だよ。あの時の依頼は何だった? 俺はお前の護衛みたいな形で付いて行っただけだから、依頼の内容を聞いてないんだよ」
「地質調査、最近は近隣の村で山の木が異常な枯れかたをしていると言う話が出ててな。その被害が拡大すると他の植物や農作物にも影響が出る可能性があるかも知れないからだ」
「地質調査ですか? ……あ、あの。フィルさん、それに付いてはわかった事ってあるんですか?」
フィルはジオの言う事にも一理あると考えたようで学園や国から引き渡される仕事があると言う事を説明し始めるとジオは自分とフィルがティアナと出会った時は依頼の途中だったと言うとティアナは2人の依頼の内容に興味があるのかフィルにその時の依頼に付いて教えて欲しいと言うが、
「……依頼状況は教えられない。一応は国からの依頼でもあるからな。誰が聞いてるかはわからないからな」
「そうなんですか?」
「フィル、あんた、もったいぶってないで教えてあげなさいよ」
フィルはティアナに教える事はできないと言うとティアナは肩を落とし、ティアナの様子にフィリアはフィルを責めるように言う。
「……あのな。情報ってのは大事なんだ。簡単に教えられるわけじゃないだろ」
「でも、ティアナを見た感じ、その被害はティアナの村にも出てるんでしょ。それもその問題は終結してないわけよね? ティアナが聞きたいのも無理はないでしょ」
「……そうだな。だとしても教えるわけにはいかない」
「何でよ!!」
しかし、フィルは教える事はできないと首を横に振るとフィリアはフィルを怒鳴りつけるがフィルの考えは変わる事はなく、
「まぁ、フィアも落ち着け。フィルが動いているんだ。悪いようにはならないだろ。性格はひねくれてるが魔法の腕は確かだしな。お前が余計な事を言ってフィルのへそを曲げるほうが問題あるしな。それにフィア、そろそろ、俺達は戻らないといけない時間だ」
「だけど」
「話は終わりだ。さっさと行け。単位を落とすと余計な事を言われるぞ」
ジオはフィルの様子に何かを察したようでフィリアに向かいフィルに任せておけと言うとフィルは納得がいかないようでフィルを睨みつけているがフィルはフィリアを追い払うように手を振ると、
「とりあえず、依頼の説明まではしてやるから、それが終わったら追い出すからな」
「は、はい。お願いします」
「それじゃあ、フィル、そっちは任せるからな」
「あぁ。さっさと行け」
フィルはティアナに説明の続きをしてやると言い、ジオはそんなフィルの様子を見て苦笑いを浮かべるとフィリアを引きずって研究室を出て行く。