第7話
「特待生? 待って、ウチの学園ってお金かかからないでしょ? 王立で全員に学ぶ資格が」
「……ティアナはこの国の人間ではないからな。他の国の人間が学ぶにはそれなりに金がかかる」
フィリアはティアナが特待生だと言う事に首を傾げるとフィルはそれくらいは察しろと言いたげに皮肉交じりのため息を吐くが、
「そうなんだ。それなら、知らないところに1人でいるのは不安よね?」
「はい。学科は魔法学科を専攻しようと思うんですけど、知らない人ばかりの研究室はやっぱり怖いですし……」
「そうよね。それなら、ここに所属でいいわね」
「……おい」
フィリアはフィルの皮肉交じりのため息など気にする事なく、ティアナと話を続けて事もあろうかティアナの所属の研究室をフィルの研究室にしようとする。
「何? 文句あるの?」
「当たり前だ。何で、お前が勝手に決めるんだ? ここははっきり言えば俺の私設の研究室だ。ティアナに合っているわけがないだろ。せっかく、学ぶ機会が与えられたんだ。それを選ぶ事から……」
「……フィル、無駄みたいだぞ」
「……」
フィリアは文句がありそうなフィルの態度にフィルを睨みつけるとフィルはこの研究室ではティアナが学ぶ事はないと言い、彼女に適した研究室を探すように言うがすでにティアナとフィリアは2人で話を完全に決めているようでジオはため息を吐きながらフィルの肩を叩くとフィルの眉間にはくっきりとしたしわが浮かび上がり、
「何で、わざわざ、面倒な場所を選ぶんだ?」
「面倒な場所?」
「こいつが勝手に言ってるだけよ。自分は嫌われものだから、ここに入り浸ればティアナにも変な噂が立つからね」
「……わかっているなら、ここを薦めるな。それに俺はティアナの研究を手伝うほど暇じゃないんだが」
フィルはこの研究室はティアナが学ぶのにふさわしい場所ではないと言い、ティアナはフィルの言葉の意味を理解できないようで首を傾げるとフィリアはフィルが女々しいと言いたげにフィルの歪んだ性格が原因であると言い切るとフィルはティアナの研究に付き合う暇はないと言うが、
「ティアナ、そう言えば、特待生って事は学費は私達と一緒で免除でしょ。住む場所や生活費ってどうなってるの?」
「えーとですね。住む場所は寮の一室を借りられるようになっているんですけど、生活費は自分でどうにかしないといけないんですよね。しばらくは学園が用意してくれた編入の準備金でどうにかなりますけど」
「そうなの? 特待生って割には学園も気が利かないわね」
「……」
「……フィル、だから、諦めろってフィアが言いだしたら聞かないのはわかっているだろ」
フィリアは気にする事なく、ティアナの今後の生活に付いて確認するように言うとティアナは生活費を稼がないといけない事が不安なようで心配そうな表情をするとフィリアが学園側の配慮が足りないと言いたげであり、フィルは自分の話を聞こうともしない2人の態度にこめかみにはくっきりとした青筋が浮かぶがジオはフィリアの性格くらいわかっているだろと言うと、
「しかし、そうなると研究室はやっぱりここが良いんじゃないのか? フィル、お前は国から研究費や何だと言ってかなりの金額を貰ってるんだろ。この荒れた研究室の掃除や整理を頼んでティアナの給料に払えば良いだろ」
「あのな。これは俺にしかわからないがしっかりとまとめて置いてあるんだ。他人が触るとどこに何があるかわからなくなるだろ」
「片付けのできない人間の言い訳でしかないわよ」
「……えーと、でも、確かに自分の部屋には自分でしかわからない何かがありますし」
ジオは机や本棚に乱雑に置かれている研究書などを給金を払ってティアナに片付けて貰うように言うとフィルはこの研究室は片付いていると言うがフィリアはフィルの言葉は片付けのできない人間の言い訳でしかないと言い切り、ティアナは苦笑いを浮かべる。