第68話
「な、何ですか!?」
「フィル」
「……わかってる」
光は縮みきったようだが、直ぐに反発する力が働いているようでバチバチと音を立てており、ティアナはフィルの後ろに隠れるとフィルは1歩前に出て、次に来るであろう現象を理解しているようで4人を包み込む魔法障壁を展開する。
「あ、あの。魔法障壁を張るって事は」
「それなりの衝撃が来るだろうな」
「ティアナ、吹き飛ばされないようにね」
そこでティアナは何が起きるか理解したようで顔を引きつらせるがジオとフィリアは落ち着いた様子でティアナの肩を叩く。
「危ないですよね? 絶対に危ないですよね?」
「大丈夫だって、フィルの魔法は何度も見てるだろ」
「……お前ら、騒いでないで身構えていろ。くるぞ」
ティアナはどうして良いのかわからずに慌てふためき始めるがジオは彼女の姿を見て楽しそうに笑っており、フィルはその様子に呆れているのか眉間にしわを寄せる。
「ティアナ、来るよ」
「ふぇ!?」
その時、上空に浮かんでいた光の球は力を抑えきれなくなったのか光の球は力を一気に解放するように広がって行くと同時に剛音とともに4人を衝撃波が襲う。
「し、死んじゃいます!?」
「……死なん。落ち着け。だいたい、障壁の外から出ると死ぬぞ」
「フィル、こう言う時はティアナを優しく抱きしめて落ち着かせなさいよ」
「な、何を言ってるんですか!?」
ティアナは魔法障壁を打ちつける衝撃波に慌てて逃げ出そうとするがフィルはため息を吐きながら彼女の首根っこをつかんで彼女を引き止め、2人の様子にフィリアはティアナをからかうように笑い、ティアナは顔を真っ赤にして叫ぶ。
「……耳元で騒ぐな」
「何と言うか、緊張感がないな」
「緊張感? そんなもの、私達に最初からないでしょ」
「まぁ、確かに」
フィルは眉間にしわを寄せると3人の様子にジオは苦笑いを浮かべ、フィリアは呆れたように答える。
「とりあえずは衝撃波も治まったな。成功しているか?」
「あ、あの。フィルさん、結局、獣性を封じるって言ってましたけど」
衝撃波が治まるとフィルは先ほどまで上空に浮かんでいた光の球があった場所に視線を動かし、ティアナは不安そうにフィルの服をつかみながらフィルの視線を追いかけるように上空に視線を移す。
「光は弱くなって高度は落ちてきているな。行ってみるか?」
「そうだな」
「ちょ、ちょっと待ってください!? まだ、心の準備が!?」
フィルは上空に浮かんでいる光の球がゆっくりと地面に向かっている様子に魔法が成功したか気になるようでティアナを引きずったまま歩きだすがティアナは何があるかわからないため、声を上がるがそのまま引きずられて行く。
「まだ、大部、上だな。フィル、どうだ? 何か感じるか?」
「……そうだな。特に何も感じない。どうなっているかわからんな」
「大丈夫なんですよね? いきなり、攻撃されたり、しないですよね?」
「ティアナ、そこまで怯えなくても大丈夫だって」
ティアナは何があるかわからないため、びくびくと怯えているが3人は気にする事なく、降りてくる光の球を見上げている。