第59話
「……あ、あの。ジオさんもフィアさんも強かったんですね」
「ん? 今回の魔獣とは戦闘経験もあるからな。攻撃パターンもある程度は予想が付くからな」
「だ、だからと言っても、無傷で魔物8匹相手に互角以上に戦っているってのはどうなんですか!?」
ティアナは目の前で繰り広げられているジオ、フィリア対魔獣の戦いが信じられないようであり、顔を引きつらせるがフィルは特に気にした様子もなく、
「……魔法式の連動を切るのは」
「……私って完全に場違いかな?」
フィルは他の人間が依頼を受ける時の事を考えているようで魔法式の考察に入っており、ティアナは明らかにレベルの違う3人の様子にどうしたら良いかわからないようであり、苦笑いを浮かべると、
「フィル、ティアナ、片付いたよ」
「フィル、1匹、呼び出してくれ」
魔獣8匹を片付けたジオとフィリアが上位種の魔獣を呼び出して欲しいと言っている。
「あぁ。ティアナ、少し下がっていろ。ここからは少し厄介だ」
「はい」
フィルはティアナを自分の後ろに下がらせると2つの上空に浮かんでいる魔法陣の1つが描かれて行き、鈍い光を発すると同時に、
「……これは予想外だったわ」
「……いくら上位種って言ってもこれはないだろ」
上空には1匹の強大なドラゴンが呼び出され、ジオとフィリアはドラゴンは予想していなかったようで顔を引きつらせる。
「ド、ドラゴンって、あのドラゴンですか?」
「どのドラゴンを言いたいかはわからないが上位種の魔獣である事は確かだな」
「な、何で、フィルさんはそんなに冷静なんですか!?」
「ん? ドラゴンの1匹や2匹で慌てるな」
ティアナは上空に飛んでいる今まで見た事のない巨大なドラゴンの姿に顔は蒼白になっているがフィルは落ち着いた様子であり、
「一先ずはブレスを防ぐためにと龍鱗を切り裂かないければ行けないから」
「で、ですから、どうしてそんなに!?」
フィルはドラゴンと戦うためにジオとフィリアに補助の魔法を詠唱を開始した時、ドラゴンは視線をフィルとティアナに向け、ティアナはドラゴンの視線に腰を抜かして地面にへたりこんでしまう。
「ティアナ、立つ。座ってると危ないわよ!!」
「で、でも」
「まぁ、フィルもいるし、どうにかなるだろ。だいたい、普通に考えたら逃げようがない」
ティアナの腰が抜けたのを見てフィリアは彼女に声をかけるが対照的にジオはティアナと一緒にいるフィルに全面的な信頼を置いているため、特に気にした様子もなく、
「フィル、補助より、先に地面に落としてくれ。飛ばれていると攻撃のしようがない」
「……そうだな」
ジオはフィルにドラゴンを地面に落とすように言い、フィルはそれまで行っていた魔法の詠唱を取りやめるとフィルの周りには先ほどまで行って具現化仕掛けている魔法なのかいくつかの光の球が浮かび上がっており、
「フィ、フィルさん、何をするんですか?」
「何? 聞いていなかったのか? ドラゴンを地面に叩き落とす」
「そ、そんな事ができるんですか?」
「無理な事なら、できるとは言わない」
ティアナは動けない事をあるのか恐怖を少しでも和らげたいようでフィルの足にしがみつくがフィルは彼女の行動を責める事なく、
「……ティアナ、動くなよ。下手に動くと落とす場所の計算がずれる」
「は、はい」
フィルは強力な魔法の詠唱を始め出すようであり、ティアナに動かないように釘を刺すがティアナは腰が抜けているため動けるわけがない。