第57話
「準備は良いか?」
「良いから、始めなさいよ」
「フィア、お前には聞いてないって」
「……」
翌朝、朝食時に昨日の夜に話した事をフィリアに伝えると彼女は朝食後にはすでにやる気を見せているが対照的に戦闘経験のないティアナの顔は真っ青である。
「落ち着け。お前は攻撃魔法を使えるわけでもないんだ。やれる事は1つだけだろ」
「そ、そうなんですけど」
「まぁ、おとといは戦闘って感じじゃなかったしな」
「あぁ。初日の襲撃ね。そう言えば、あの男ってなんだったの?」
フィルは素気なくだがティアナに落ち着かせようとするがティアナはそれどころではなく、フィリアは初日の夜に現れた事を思い出したようで首を傾げるが、
「……お前は気にするな」
「今まで、忘れてたんだ。必要ないだろ」
「あんた達の反応は何なのよ!!」
フィルとジオのフィリアへの対応は冷たく、彼女は不満なようで声をあげる。
「今はそれより、目の前の事だろ」
「まぁ、それもそうね」
「……これで静かになったか。単純は簡単で良いな」
「あ、あの。ジオさん、その言い方はちょっと」
フィルはフィリアの相手をするのが面倒なようで目の前の事を考えるように言い、フィリアはその言葉に戦闘を心待ちにしているようで目を輝かせ始め、その様子にジオはフィリアに聞こえないように彼女を小バカにするとティアナは言い方が酷いと非難するような目をするがその声は未だに震えており、
「どうする?」
「どうするも何もな」
「良いでしょ。フィルが守ってくれるから、ティアナはフィルの背中の影に隠れていれば良いのよ」
フィルとジオは顔を見合せてティアナを落ち着かせる事を諦めかけるとフィリアはフィルにティアナを守れば良いと彼の肩を叩く。
「フィ、フィルさんのせ、背中にですか!?」
「まぁ、今回の前線は俺とフィアがいるからな。フィルは後衛でかまわないからな」
「……そうするか。ティアナ、昨日の首飾りは持っているな?」
「は、はい。で、でも、フィアさんが前線に立つんでしたら、これはフィアさんが持っていた方が」
ティアナは顔を赤くして慌てる姿にジオはフィルとティアナの顔を交互に見比べてニヤニヤと笑うがフィルは気にする様子もなく、ティアナに渡してあった首飾りを付けるように言うがティアナは前線で魔獣と戦うフィリアが持っていた方が良いと首から取り外そうとするが、
「良いから、良いから、それはティアナが付けててよ。それに私のガラじゃないしね」
「確かに、フィアは大剣振り回してれば良いからな。女らしさとは無縁だ」
「……ジオ、あんた、何が言いたいわけ?」
フィリアは苦笑いを浮かべるとジオはまた余計な事を言い、フィリアは額にくっきりと青筋を浮かべてジオの胸倉をつかむ。
「あ、あの。2人とも落ち着いて下さい!?」
「……お前らは依頼を成功させる気があるのか?」
ティアナは2人の様子に慌てて2人の間に割って入るとフィルはいつまでも進まない状況に眉間にしわを寄せる。